(2008/8〜) 取材日:2008/8/26
DAIHATSU ムーヴコンテ
L、X [エクステリア インパネ・収納 シート周り 荷室その他&試乗]
カスタムRS [エクステリア 外装パーツ インパネ・収納 シート周り 荷室その他]
スペース効率を追求した車として人気となった「ムーヴ」が、その役目を「タント」に譲り、スタイリングや高級感を追求するようになった今、「やっぱり四角いムーヴがいい」という声に応えて登場したのがこの「ムーヴコンテ」です。 「ムーヴ」をベースとし、性能や価格はほぼそのままに、直線基調のスクエアボディとまったりくつろげるインテリアを身にまとった新型車です。 しかし、この車は単に「四角いムーヴ」という車ではありません。 今までの軽になかった装備やこだわりのシート、そして徹底した静粛性の追求によって、使うほどに快適性を実感できる車となっているのです。 では、どんなところがこだわりなのか、早速たくさんの写真で見ていくことにしましょう。
5ページ目以降にカスタムシリーズの情報を追加しました!(2008/10/8)
この車にはノーマルシリーズとカスタムシリーズがありますが、先にノーマルシリーズでこの車の特徴を紹介し、後のページでカスタムシリーズについてノーマルシリーズとの違いを中心に紹介します。
まずはフロントマスクですが、どこかで見たような・・・。 はい、スズキの「ラパン」の初期型にそっくりですね。 「ラパン」も登場から6年以上経過しており、そろそろ買換え需要が出てくるころなので、それを狙った車という一面があることは間違いないでしょう。 実際、運転席に座ったときの眺めも、ラパンをそのままリフトアップした感じなので、違和感なく乗り換えできるはずです。 ただ、「ラパン」が全高1500mm程度のセダンタイプなのに対して、この「ムーヴコンテ」は全高1645mmもあるトールワゴンタイプ。 デザインは似ていても、車のジャンルはまったく異なり、「ラパン」のかわいいデザインに満足しながらも室内の狭さが気になっていたという人には、この車は非常に魅力的でしょう。 大きさは、ちょうど「ムーヴ」と「タント」の中間という感じで、そこそこ立派に見えますが威圧感はないというちょうど良い大きさです。 しかし、別の言い方をすれば存在感もなく、ディーラーに展示していても新型車としてのオーラがなく、その存在に気付く人は少ない様子でした。 カスタムシリーズは個性的なデザインでそれなりに存在感もありますが、ノーマルシリーズは良くも悪くも目立たない車です。
斜めから見るとそれなりに大きな車であることがわかりますが、日産の「キューブ」をそのままサイズダウンしたようなイメージです。 この車は、随所に他の車のアイデアを参考にしたような部分が散見され、目新しさがないものの、それゆえに前から知っている車のような親しみやすさがあり、それこそこの車のエクステリアデザインの狙いといえるでしょう。 最近の車はグレードによる外観の違いが少ない傾向がありますが、この車はグレードによって外観イメージが大きく異なります。 写真の車は廉価グレードの「L」ですが、「Lリミテッド」になるとドアミラーターンランプが付き、「X」になるとさらにAピラーからCピラーまでがブラックアウトされます。 そして、「Xリミテッド」にはフォグランプや14インチアルミホイールが付くというふうに、外観を見ただけでどのグレードかすぐ判別できます。 車そのものは目立たないですが、控えめな主張も忘れていないという、なんともつかみ所のない不思議な雰囲気の車です。
背が高くボンネットもルーフも水平のサイドビューは、ホンダの「ザッツ」に近いイメージで、サイズ的にも同じくらいです。 水平基調のスクエアデザインですが、角を面取りしていることで硬いイメージにはなっていません。 「タント」よりもボンネットが長いため、キャビンスペースはやや短くなっていますが、フロントウインドウが立っていてフロントクォーターウインドウもないため、フロントドアの開口は「タント」よりもかなり広くなっています。 「X」以上のグレードでは、AピラーからCピラーまでがブラックアウトされるので、さらにスクエアなデザインが強調され、前後に伸びやかな印象になります。 ベースが「ムーヴ」であるため、2490mmというロングホイールベースはそのままで、最小回転半径4.2〜4.5mという性能もそのままです。 この車は「四角いムーヴ」という別名が付いていることからもわかるように、ベースの「ムーヴ」とはデザインはまったく違いますが、数値上の性能や車両価格はほとんど同じです。 文字通り、「ムーヴ」の性能そのままに四角いデザインが欲しい人のための車というわけです。
リヤ周りは、余計な装飾がなくすっきりしています。 マフラーも見えないように斜め下にカットされていて、これもすっきりしたリヤビューに貢献しています。 グレード構成は、4AT搭載の廉価グレードの「L」、ドアミラーターンランプやオートエアコンなどが付く「Lリミテッド」、CVT搭載の量販グレード「X」、フォグランプやアルミホイールなどが付く上級グレードの「Xリミテッド」という4種類で、これと別にカスタムシリーズの「X」と「RS」が用意されています。 ボディカラーは、ソリッドカラーはなく、すべてメタリック・パール系で、濃色系から淡色系まで幅広い全9色が用意されています。 あまり特徴のないシンプルなデザインなので、どの色でも似合いそうですね。
リヤビューは、とにかく四角です。 フロントから見ると、幅広感はありますがそれほど大きな車という印象はないのに、リヤから見ると縦にも横にもかなり大きな車という印象になります。 この、前後のギャップがまたこの車のおもしろいところです。 「ムーヴ」が絞込みを強調しすぎて先代より小さく見えるリヤビューなので、どっしり大きなリヤビューがいいという人にはこちらの「四角いムーヴ」がいいですね。 リヤビューはグレードによる違いはなく、スモークガラスやリヤワイパーも全車標準装備となっています。 また、リヤワイパーはリバース連動式となっていて、フロントワイパー作動中にシフトレバーを「R」レンジに入れると、自動的に数回作動して後方視界を確保してくれます。 この車は、運転のしやすさという点にも多くの配慮が見られ、大きな車は運転が不安という人も一度試乗してみる価値のある車だと思います。
ヘッドライトは、四角い枠に丸いヘッドランプというオーソドックスなもので、これといった特徴はありません。 あえて特徴を探すとしたら、ポジショニングランプのレンズカットが凝っていることと軽では珍しい横長のウインカーくらいでしょうか。 カスタムシリーズが非常にユニークなデザインを採用しているので、こちらはあえて普通にまとめて両車の違いをはっきりさせているのでしょう。 ノーマルシリーズはハロゲンランプのみの設定で、ディスチャージヘッドランプ(HID)の設定はありません。 HIDが欲しい人はまったく雰囲気の異なるカスタムシリーズを選ぶ必要があり、この点は少し不親切な気がします。 大きなマルチリフレクター式のヘッドランプは光の漏れも少なそうなのでハロゲンでもそれなりに明るいと思いますが、やはりHIDのオプション設定は欲しいところです。 「Xリミテッド」にはオートライトがオプション設定されていて、価格もプラズマクラスターとセットで約26,000円とそれほど高くないので、これはぜひ付けたいですね。 オートライトがあれば、トンネルでのスイッチ操作も不要になりますし、ヘッドライトの点け忘れや消し忘れの心配もなくなりますので、利便性がかなり高くなります。 その他のグレードでもディーラーオプションでオートワイパー&オートライトが用意されていますが、こちらは約43,000円とちょっとお高くなっています。
リヤコンビランプは、コンパクトにまとまっていて、あまり特徴はありません。 レンズカットがやや複雑ですが、全体としてはシンプルなデザインです。
「X」以上のグレードは、このようにピラーがブラックアウトされます。 グレードによってフロントのピラーがブラックアウトされるというのは、スズキの「アルト」など一部の車種で採用されている手法ですが、特に淡色系のボディカラーの場合はこれによって車全体の印象が大きく変わります。 「X」か「L」かで迷ったときは、このブラックアウトの有無で車の印象がどう違うかを実車で確認したほうがいいかもしれません。 また、「Lリミテッド」以上のグレードには、このようにドアミラーターンランプが付きます。 デザインもシャープで高級感がありますし、フロントフェンダーのターンランプもなくなるためすっきりします。 デザイン上のメリットだけでなく、歩行者からの被視認性が高いということで、最近は軽でも採用が増えている装備です。 ドアミラーそのもののデザインも大きくて奥行きがあり、しっかりした台座の上に乗っているので高級感があります。 また、全車電動格納式で、「Xリミテッド」にはリバース連動機能を標準装備するなど、機能面も充実しています。 リバース連動機能とは、シフトレバーをRレンジに入れると、助手席側のミラーがやや下向きになり、白線などを確認しやすくなるという機能で、車庫入れが苦手な人には便利な機能です。 最近の軽はワイパーの取り付け位置なども工夫されるようになり、この車もワイパーの支点を低くしているため運転席からほとんど見えません。 また、ウォッシャーノズルもワイパー付近に埋め込んでいるため、見た目がすっきりしていますし、ボンネット上にウォッシャー液の跡が残る心配もありません。
最近は、普通車ではグリップ式ドアハンドルが主流で、軽でもグリップ式が増えてきました。 ダイハツは特にその採用に積極的ですが、この車はあえてプルハンドル式を採用しています。 最初は、単に「ムーヴ」との違いを出すためなのかと思いましたが、実際に操作してみて理由がわかりました。 ダイハツのその他の車種のグリップ式ドアハンドルを操作すると、やや引っかかるような感じがあって、ドアを開けるのに少し力が必要というか、コツが要る感じなのですが、この車は操作感が非常に軽く、ドアハンドルを軽く引くとそのままドアが開くという感じなのです。 ドアハンドルに手をかけただけで軽くスッとドアが開くという感覚です。 これはドアだけではなく、バックドアやシートの操作感などすべてに共通した感覚で、とにかくすべてが軽いんです。 力の弱い人でもラクに操作できるように、操作感をひとつひとつ研究して、毎日気持ちよく使える車を目指したというのがよくわかります。 インテリアのページでも詳しく紹介しますが、この車は派手な演出はありませんが、細かいところまでこだわって作られた車で、実車を見て実際に操作してみて初めて良さがわかるという部分が非常に多いのです。 もしこの車が購入の候補に入らなくても、一度実際に触れて各部の操作をしてみてください。 そうすれば、この車の優しさが感じ取れるはずです。 ということで、いつもはグリップ式を推奨する私ですが、この車に限ってはあえてプルハンドル式を選んだということで、これは納得できます。 ただ、毎度言っていますが、鍵穴のデザインが安っぽいのだけは残念です。
ダイハツ車ではもう常識となった直角開きドア。 乗降時や荷物の積み下ろし時に大変便利で、勢いよく開けて隣の車や壁に当ててしまうことさえなければ非常にありがたい装備です。 この車の場合、前にも触れたとおり、フロントウインドウが立っているため開口幅がとても広く、直角開きドアの恩恵がさらに大きいです。 「タント」よりも全高は低いのですが、頭上の開口幅がかなり広いので、この車のほうが気持ちよく乗り降りできます。 フロントドアの上半分は2重シール構造になっていて、フロントピラーやドアミラーの形状と合わせて風切り音の低減も目指しています。
タイヤサイズは、145/80R13となっていて、「ムーヴ」と同じですが、このボディサイズから考えるとやや貧弱に思えます。 この車は、柔らかい乗り心地でまったり走る車なので、このくらいのサイズがちょうどよいのかもしれませんが、山道や高速道路などを走るときにはこのサイズを意識して走る必要があるでしょう。 「Xリミテッド」には14インチアルミホイールが装備され、155/65R14というタイヤサイズになりますが、スタビライザーやベンチレーテッドディスクブレーキなどは装備されません。 「ムーヴコンテ」はあくまで街中をゆっくり走る車であって、走りに興味のある人や遠出をする人はカスタムシリーズのターボ車を選択する必要があるようです。 サスペンションは「ムーヴ」のものをベースにしていますが、よりソフトな乗り心地にチューニングされているようです。
では、次に注目のインテリアを見ていきましょう。
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