DAIHATSU タント
L [外観 インパネ・シート ミラクルオープンドア 収納 荷室その他]
カスタムRS [外観 外装パーツ インパネ周り 収納&試乗レポ]
少し前までのダイハツ車のインパネは、段差をなくしてきれいにフラッシュサーフェス化されたデザインが主流でしたが、最近は凹凸を強調したデザインが多くなってきました。 「タント」についても、旧型は凹凸のないすっきりしたインパネでしたが、新型は凹凸がはっきりした遊び心の多いインパネとなっています。 しかし、デザインは変わっても、操作性などは旧型からの乗り換えでも違和感がないように配慮されていて、センターメーター、ガングリップタイプのインパネシフト、オーディオやエアコンの配置など基本的な部分は旧型のイメージをそのまま受け継いでいます。 大きなフロントガラスに、斜め方向が見やすい大型フロントクォーターウインドウ、そして手を伸ばしても届かないくらいの天井など、「タント」ならではの開放感はもちろんそのままです。 旧型と同じく、ノーマル系はインテリアカラーがベージュ基調となっていて明るく落ち着いた印象ですが、ブラウンとベージュの2トーンカラーによって旧型よりも上質感が増している上に、ドアトリムとのつながりも重視した色分けとなっているので、包まれ感が増してとても居心地がよくなっています。 安全装備が充実しているのもダイハツ車の特徴ですが、この車も両席エアバッグなどの一般的な装備のほかにセーフティパックというものがオプション設定されていて、前席サイドエアバッグ、運転席ニーエアバッグ、ダブルプリテンショナー付シートベルトを装備することが可能です。 アジャスタブルパックとセットで15万円以上という高価なオプションとなるのがちょっと気になるところですが、安全性を重視する人にもしっかり配慮されているところはうれしいですね。 ただし、「ムーヴ」と違って、カーテンエアバッグやダイナミックサポートヘッドレストは用意されていません。 車両価格では「タント」のほうが高いのですが、こういった部分を見ると、フラッグシップモデルはあくまで「ムーヴ」なんですね。
ダイハツはセンターメーターの採用に積極的なメーカーのひとつですが、この「タント」も旧型と同様にセンターメーターを採用しています。 センターメーターの視認性については賛否両論ありますが、質感や視認性は旧型より確実に向上していて、スピードメーターのさらなる大型化や超ワイドなメーターフードの採用など、まじめに改良されているところは評価できると思います。 また、旧型で「見にくい」と指摘していたシフトインジケーターについても、メーターの右側に配置を変更して視認性を向上させています。 個人的にはセンターメーターはあまり好まないのですが、ここまできちんと改良されていれば、これでもいいかなという気になります。 なお、最近のダイハツは自発光式メーターの採用に積極的ですが、この車にはその設定はありません。 ちなみに、ウインカー音は電子音になっていますが、他車よりも音が高くなって少し音色が変わっています。
センターパネルは、旧型のインパネと一体化されたデザインから一転して独立したシルバーパネルになりました。 上質さは「ムーヴ」に任せて、「タント」はもっと楽しさを感じる車に仕上げようという考えでデザインされているようで、インパネから浮き上がっているように見えるデザインはとてもユニークです。 また、このデザインによって操作スイッチとドライバーとの距離が近くなり、小柄な体格の人でも操作しやすくなっているという点も大きなメリットです。 オーディオは全車共通で、CDプレーヤー+10cmフロントスピーカーになります。 CD−R/RWにも対応しているので、一般的には困ることはないと思いますが、音にこだわる人には不満な仕様でしょう。 オーディオにこだわりたい人は、オーディオレス仕様にしてオプションや市販品でグレードアップできます。 エアコンは、「L」のみ写真のようなダイヤル式のマニュアルエアコンになりますが、他のグレードはディスプレイ付のプッシュ式オートエアコンになり、質感も操作性も良いです。 ちなみに、最近のダイハツ車はエアコンやオーディオの操作スイッチがほとんど同じで、どの車でも操作性がほぼ統一されています。
フロントシートは、全車大型アームレスト付きのベンチシートとなりますが、座り心地はノーマル系とカスタム系でかなり違います。 ノーマル系のフロントシートは、非常に柔らかくてソファのような座り心地です。 旧型は、もともとノーマル系が先にデビューして、後でカスタム系が追加されたのですが、新型は最初から2系統に分かれて発売されたので、両車の違いが旧型より鮮明になっています。 ノーマル系は街中や短距離移動でより快適に、カスタム系は長距離移動でより快適にという味付けが強くなっていて、それが一番現れているのがこのフロントシートだと思います。 ノーマル系のフロントシートは深く沈み包み込まれるような感覚なので、短距離移動や休憩時にはとても心地よいですが、長距離では逆に腰が痛くなったりするかもしれません。 購入を検討する際には、必ずフロントシートに座ってみて、好みや仕様用途に合わせてノーマル系かカスタム系かを検討する必要がありそうです。 旧型同様に、頭上空間の広さなどは他車とは比べ物にならないほどで、初めて乗る人はおそらく軽自動車であることを信じてくれないでしょう。 また、ボディが直線的で車両感覚がつかみやすい上にガラスが大きくて視界がとてもよいので、初心者でも安心して運転できるというのも「タント」の人気の秘密です。 信じられないほどの広さを持ちながらも、実際の取り回しは他の軽と同等レベルなのですから、人気車となるのも当然です。 1BOXでは運転感覚や乗り心地に不満を持ってしまうという人も、この車なら問題ないはずです。
この車の特等席は、なんといってもリヤシートです。 旧型がデビューしたときはその広さに本当に驚きましたが、その後のダイハツ車ではその広さが当たり前になり、そして、ついに2代目「タント」では究極を実現しました。 写真を見ただけでも尋常でない広さであることはわかると思いますが、数値上でも、なんと日本が世界に誇る最高級車「レクサスLS460」を上回る2160mmという室内長を実現しているのです(もちろん軽最大)。 ボディサイズはそのままに、あれだけ広かった旧型よりも16cmも拡大しているのですから、本当に驚きます。 また、室内幅も旧型より50mm拡大し、1350mm(こちらも軽最大)を実現。 室内幅は、トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」と比べてもその差はわずか4cmで、つまり、軽自動車枠のボディで高級セダン以上の室内長とコンパクトカー並みの室内幅を実現しているわけです。 さらに、進化したのは広さだけではなく、シートの座り心地もしっかり改善されているのがすばらしいところで、シートアレンジなどの関係で体を包み込むような大型のシートではないものの、フィット感や座面の長さなどが旧型よりも良くなっていて、しっかりくつろぐことができます。 旧型では、広さでは「ムーヴ」を上回っても、座り心地では劣っている感じでしたが、新型は圧倒的な広さを快適なシートで満喫することができるようになり、軽自動車の中でもっとも贅沢な後席と言えるようになりました。 ちなみに、全高が25mm高くなったことにより、室内高も旧型より25mm拡大されていますが、もともと手が届かないくらい高いので、正直なところそれを実感することはできませんでした。
リヤシートは、広くて座り心地が良い上に、シートアレンジも多彩です。 旧型と同じく、左右独立で260mmのスライドができるほか、リクライニングも左右分割でOKです。 スライド量は写真のとおりかなり大きいですし、リクライニングは、角度が大きくて細かく調整でき、どんな体型の人でもフィットしやすくなっていますので、非常に快適です。 また、リクライニングレバーが腰部にあって、座ったままでも操作しやすいという点も良いですね。 ライバル車のスズキ「パレット」のリヤシートと比較すると、広さでも快適性でもこちらのほうが優れています。 さらに、座面を落とし込むことも可能となっていて、セダンタイプと比べるとややクッションが薄く硬めの座り心地であるということを除けば、広さも座り心地もシートアレンジも、すべてにおいて文句のつけようがないシートです。
次は、注目の軽初センターピラーレスドアを中心に見ていきます。
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