DAIHATSU ムーヴ
L [外観 外装パーツ インパネ周り シート周り 荷室その他]
カスタムRS [外観 外装パーツ インパネ周り シート周り&試乗レポ]
フロントシートは、ノーマルシリーズのものより若干座面が長いように感じましたが、座り心地はあまり変わらない感じでした。 カスタムシリーズはインテリアがブラック基調となるため、より大人びた印象になっています。 また、カスタムシリーズのセンターアームレストは収納ボックス付きとなります。
後席の広さはもちろんノーマルシリーズと同じ。 左右一体255mmスライドや独立リクライニングなどの機能面やシート形状なども同じです。 違うのはシート表皮と縫い目くらいでしょうか。 それにしても広いです。
実は、軽最大の居住空間にも、若干の問題はあります。 リヤシートを後ろへスライドさせると、このとおりヘッドレストがバックドアぎりぎりのところまで来ます。 この場合、後面衝突は大丈夫なのかと、ちょっと心配になるのです。 また、ルーフ後端がやや下がっているため、座高の高い人が座ると頭が天井に当たってしまう場合があります。 もちろん、これらはシートのスライドで解消できることなので問題ないと言われればそれまででしょう。 ただ、この室内の広さは究極の姿であって、リヤシートを最後部までスライドした状態は、実用的な範囲を超えているのかもしれないと、そんなことも少し感じました。 斜め後方の視界はやや悪いですが、車の向きがわかりにくということはないので、バック時に困ることはありませんでした。
「ムーヴ」は、イルミネーションも充実しています。 パワーウインドウスイッチはすべてイルミネーション付きですし、上級グレードはカップホルダーもイルミネーション付きです。 また、「Xリミテッド」は、ルーフイルミネーション、フロアイルミネーション、グローブボックスランプまでも装備するという充実ぶりです。 夜間の使い勝手の良さは、軽の中でトップレベルと言えるでしょう。
「Xリミテッド」以上のグレードでは、バニティミラーも両席照明付きです。
カスタムシリーズは、NAエンジンとターボエンジンの2種類が用意されています。 NAエンジンはノーマルシリーズと同じものですが、ターボエンジンはソニカと同じエンジンになります。 スペックは、64馬力/10.5kg・mとなっていて、数値上はインパクトはないですが、低速から力強く、ターボであることを意識しなくてよい扱いやすいエンジンです。 また、CVTとの組み合わせにより、ターボエンジンでありながら21.5km/Lという驚きの低燃費を実現しているのも注目点です。 タイヤサイズが大きくロングホイールベースであるため、最小回転半径は4.5〜4.7mと、やや大きめですが、そのぶん安定感の高さは格別です。 実際に、「カスタムRS」の2WD車に乗ることができましたので、その感想をお伝えしたいと思います。
キーフリーシステムが標準装備なので、キーを挿し込む必要はなく、ツマミをひねるだけでエンジンがかかります。 旧型の4気筒と比べると、3気筒になったことでエンジン音が「ヒュルヒュル」と軽らしい音質になった感じがありますが、振動はそれほど気になりません。 車道に出る際にちょっと意外だったのが、16インチの大径ホイールを履いているのに、段差を越えるときのショックがあまりないことです。 試乗前は、16インチではさすがに乗り心地が悪いのではないかと心配したのですが、実際に乗ってみると実用上まったく問題ないレベルでした。 走り出すと、さすがに低速時のゴロゴロ感と路面の凹凸を忠実に拾うコツコツ感が気にはなりますが、タイヤを乗り心地重視のものに交換すればそれも解消されるでしょう。 外観から想像するよりも、実際の乗り心地はずっとキビキビしたもので、トールワゴンにありがちな動作の緩慢さというものがなく、新しい感覚の乗り心地だと思います。 アイドリング時はとても静かですが、加速を始めると、やや高めの「シュルシュル」という感じのエンジン音と「ヒュイーン」というCVTの音が大きくなります。 室内に鳴り響くようなうるさいものではないのですが、ボンネットが短い分、エンジンなどの放射音が車外に逃げにくいのではないかと思います。
低速から十分なトルクのあるエンジンなので、力強い加速感が得られますが、「ソニカ」と比べるとボディが重いぶんだけ加速の強烈さは薄れている感じがします。 しかし、ターボラグがなく、過給音もあまり大きくないので、扱いやすさという点では非常に優れています。 プレミアム&スポーティな「ソニカ」に対して、「ムーヴ」の乗り心地はあくまで快適で安心して乗れる車という感じです。 ロードノイズは、グリップ重視のタイヤの割にはよく抑えられていて、風切り音もほとんど気になりませんでしたが、他の騒音が抑えてあるせいもあるのか、減速時はCVTの音だけが気になりました。 カーブでは、前後スタビライザーや16インチタイヤなどがかなり効いているようで、ほとんどロールせず、かなりのスピードでも車が地面に吸い付いているかのようにきれいに曲がります。 アンダーステアを感じることはなく、コーナリングの限界は非常に高いです。 ただ、「ソニカ」と違って重心は高めなので、車の限界は高くてもコーナーを攻めるという気持ちになる車ではなく、良くも悪くも無表情に曲がってくれる感じです。 ロングホイールベースや前後スタビライザーなどによって揺れが非常に少ないので、ピタッと安定した走りを求める人にはオススメの車です。 全体的な印象としては、走りのプレミアム感なら「ソニカ」ですが、安心して落ち着いた走りができるのは「ムーヴ」という感じです。 フロントガラスが大きいことも、気持ちよさや安心感につながっているように思います。 ゆったりロングツーリングを楽しむには最適の車と言えそうですね。 走りの次元は非常に高いので、あとは音質のチューニングによって重厚感が増せば文句なしといった感じです。
いかがでしたか? 後席の広さや安全装備の充実度などは文句なしに軽トップですが、トータルバランスの良さも光っています。 歴代「ムーヴ」の特徴を取り入れると同時に、大胆なイメージチェンジも図った4代目は、非常に完成度の高い車に仕上がっていて、ダイハツを代表する車というだけでなく、軽自動車の究極の姿の1つを示した車と言えるでしょう。 まだまだダイハツのモデルチェンジラッシュは続きますが、軽自動車のレベルがまた1つアップしたことを実感でき、これから登場する車がますます楽しみになってきました。 軽自動車の進化を体感するには、この車は外せない存在と言えるでしょう。
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