DAIHATSU ムーヴ
L [外観 外装パーツ インパネ周り シート周り 荷室その他]
カスタムRS [外観 外装パーツ インパネ周り シート周り&試乗レポ]
フロントシートは、全車ベンチタイプとなります(5MT車を除く)。 サイズはゆったりしていて、シート全体で体をしっかり受け止めてくれる感じです。 座り心地は、ある程度まで沈むとそこでしっかりホールドしてくれる感じで、柔らかいとか硬いとかで表現できる感覚ではないです。 軽のシートとしては優秀なほうだと思いますが、個人的には腰のサポートがもう少ししっかりしていればいいなと思います。 助手席側ではセンターパネルに膝が当たってしまい、旧型と比べると膝周りがやや窮屈になった印象がありますが、奥行きのあるフロントガラスによって前方の開放感は増しているので、それで相殺されている感じです。
「ムーヴ」と言えば、大きなセンターアームレストもその特徴の1つですが、新型は今までとは少し変わりました。 幅は今までどおり広いのですが、長さを少し短くして、大きさよりも使い心地を優先させています。 今までは、大きさを優先するあまり取り付け位置が低くなっているのが気になっていたのですが、新型では位置を高くして非常に使い心地の良いアームレストになりました。 こういった部分でも、ダイハツはきちんとユーザーの意見を取り入れているなと思います。 おそらく、インパネセンターシフトになったことで、シフト操作の邪魔にならないように大きさを調整したという面もあるのでしょう。 なお、ノーマルシリーズのセンターアームレストは収納ボックス付きではありませんが、そのぶん肌触りがソフトでとても快適です。
助手席の下にはアンダートレイを装備しています。 座面下が大きなバケツになっている「ワゴンR」と比べると容量は小さいですが、収納容量よりも座り心地を優先させたのでしょう。 何より、どうしても空間が限られてしまう軽では、シートの下も貴重なスペースなので、トレイを装備してくれているだけでもありがたいです。
新型「ムーヴ」の最大の売りが、このリヤシートです。 見てください、この広さ。 これは、フロントシートを前にスライドしているわけではなく、ごく自然なドライビングポジションをとった状態での広さです。 フロントエンジンで広大な室内空間を実現した車としては「タント」がありますが、この車の場合は丸みを帯びた外観で、「いかにも室内空間を優先した車」という感じではありません。 しかし、室内長は2110mmという、考えられないような数値を実現していて、正直、実車を見るまでは半信半疑でした。 2110mmという数値がどのくらいすごいかというと、旧型よりも19cm長く、「タント」よりも11cm長く、「クラウン」より4cmも長いのです。 リヤシートに座ってみると、インパネははるか遠くにあり、足を投げ出してもフロントシートに届かないくらい広大です。 さらに、床が完全にフラットになったため、足を置く場所も選びません。 頭上空間はさすがに「タント」のほうが広いですが、足元の広さは完全に「ムーヴ」のほうが上です。 やや硬めの座り心地は好みが分かれるとしても、座面も長く、とにかくくつろげるリヤシートであることは間違いないです。
旧型と同様に、リヤシートは左右一体でスライドが可能です。 スライド量は、5mm増えて255mmとなり、一番前にするとこの写真のようになります。 旧型では、一番前にスライドするとほとんど座れない状態になりましたが、今度は一番前にしても普通に座れる余裕があります。 この写真を見ればどれだけ広くなったかがわかるでしょう。 旧型では、シートを後ろにスライドすれば荷室が狭くなり、前にスライドすれば人が座れないというジレンマがあったのですが、新型ではその悩みを見事に解消しているのです。 ここまでされると、もう本当に何も言うことはありません。 リヤシートに関しては、他車をまったく寄せ付けない絶対的なアドバンテージを持っている車と言ってよいでしょう。
これだけの室内空間を持つ車ですから、フルフラットは余裕です。 試しにヘッドレストを付けたままやってみましたが、それでもなんとかなるくらいの余裕があります。 ヘッドレストの付け外しってけっこう大変なので、実際にフルフラットにするのは面倒なんですが、付けたままでもここまでできるなら、フルフラットにする機会も増えそうです。 もちろん、ヘッドレストを外せば、隙間無くフラットな状態にできますよ。 ただ、アームレストが旧型よりも小さくなっているので、旧型と比べればフラット感に欠けるかもしれません。
新型でもっとも感心したところが、ドアトリムです。 旧型では、ドアアームレストやドアポケットなど、どれも中途半端な感じがしていましたが、新型ではドアアームレストの形状・高さ・角度などを綿密に計算してデザインされていて、非常に使い心地が良いです。 腕が当たる部分は腕の形に合わせてクボミを作ってあるのでぴったりフィットしますし、肩周りを一番薄くして広々感を出しています。 また、ドアスピーカーの位置を高くすることで、ドアポケットの幅をいっぱいにとることに成功し、ドリンクホルダーまで新設しています。 さらに、肌が触れる部分にうまくクロスを入れているため、肌触りが良く、非常に上質な印象を受けます。 ドアトリムだけで比較すると、「ソニカ」よりもプレミアム感は上です。 機能的にこれだけよくできたドアトリムで、室内幅も軽乗用車で最大の1350mmを実現しているのですから、これはもう完璧と言ってよいでしょう。
リヤのドアトリムも完璧です。 旧型では、どこに腕を置いてよいのかわからない感じでしたが、新型ではドアアームレストの位置や大きさが絶妙で、自然に腕を置いてくつろげるのです。 また、旧型ではシートスライドの位置によってはほとんど使えないといった意見のあったドアポケットも、新型ではシートがどの位置にあってもきちんと使えるように改良されています。 これだけリヤシートが快適だと、自分で運転するのがもったいなく思えてきそうです。 ユーザーからの不満を1つ1つ改善していくという姿勢が、ここまではっきり表れている車はなかなかありません。 「ムーヴ」は、ダイハツにとって「理想を追い求めて、それを実現していく車」なのだなと、しみじみ感じました。
それでは、気になる荷室やその他の装備なども見てみます。
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