(2012/9〜) 取材日:2012/9/7
SUZUKI ワゴンR(MH34S)
(MAZDA フレア)
FXリミテッド[外観 外装パーツ インパネ周り 収納 シート周り 荷室&試乗レポ]
スティングレーX[外観 外装パーツ インパネ周り シート周り 荷室ほか]
最近の軽は居住空間優先なので、トールワゴンタイプでも荷室の広さはこのくらいが標準的です。
荷室の広さが足りないときは、シートをスライドさせて調整することができます。 写真では、右側がシートを一番前までスライドさせた状態、左側がシートを一番後ろまでスライドさせた状態です。 3名乗車のときは、この状態にすれば、居住空間と荷室空間の広さを両立できますね。
2名乗車のときは、シートバックを倒せばフラットで広大な荷室スペースを作ることができます。 シートバックは、レバーを引くだけで座面も下に落ちてくれるワンタッチダブルフォールディング式なので、簡単に床面の低い荷室空間が生まれます。 ただし、シートバックを戻すときにもレバーを引いてロックを解除する必要があり、この操作は後方からではやりにくいため、わざわざ後席ドアを開けて戻す操作をしなければいけません。 写真を撮る際に、この点はちょっと面倒に感じました。
バニティミラーは、運転席は全車、助手席は上級グレードのみ装備。 大きさは大きめですが、照明は付いていません。
ルームランプは、フロントとリヤに1つずつ装備。 上級グレードでもマップランプなどの装備はなく、こういった部分はスズキ車の特徴とも言えます。
エンジンは、MRワゴンにも搭載されている、スズキの新世代エンジンR06A型。 このエンジンは、パワーは標準的ですが、スムーズで低燃費なのが特徴。 ターボはスティングレーにのみ設定されていて、標準車はNAエンジンのみですが、軽量ボディと副変速機構付CVTとの組み合わせで、ターボが必要ないくらいに軽快な走りを実現しています。 そして、なんといっても驚くのは燃費の良さ。 28.8km/Lという、今までの軽ワゴンでは考えられないほどの燃費性能です。 第3のエコカーとして宣伝しているダイハツのミライースが30.0km/Lですから、トールワゴンタイプでセダンタイプ並みの燃費ということになります。 ただし、燃料タンクが従来の30Lから27Lに縮小されているので、1回の給油での走行距離は驚くほど伸びることはないかもしれません。 給油の手間という点では、30Lの燃料タンクを持つミライースのほうにアドバンテージがあるといえますが、室内の広さでは圧倒的にワゴンRが勝っていますので、ここは両車を比べるときのひとつのポイントとなるでしょう。
さて、ここからは試乗レポートをお届けします。 正直、ここまででは旧型とほとんど同じというイメージしか伝わらなかったと思うのですが、新型の特徴は走ってみて初めてわかることばかりなんです。 ですから、試乗レポートをお届けしないわけにはいかないのです(笑)
新型に乗ってすぐに感じたこと、それは「軽い」ということです。 車にとって、軽量化というのは非常に大きな意味のあることで、燃費はもちろん、走りにも大きく影響します。 新型ワゴンRは大幅な軽量化が図られていて、試乗車と同じグレードの旧型と比べると、なんと60kgも軽くなっています。 つまり、一人で乗っているときと二人で乗っているときくらいの違いがあるのです。 この軽さのおかげで、坂道でもストレスなく上ってくれますし、動きも軽快でとても気持ちよく走れます。 タイヤのせいなのか、少し突き上げ感が強くなったように感じたのが気になりましたが、それ以外は本当に快適でした。 坂道でもエンジン音がうるさくなく、ミッションの音やロードノイズなどの雑音もほとんど気にならないレベルなので、本当に静かな車だなという印象です。 目立った雑音がないというのは、非常に快適です。 それから、前のページでも触れたとおり、アイドリングストップ中でもちゃんと冷たい風が出てくれるので、アイドリングストップがない車と同じ感覚でエアコンが効いてくれます。 運転中にメーターを見ると、加速中はブルーだった照明が巡航中や減速時などはグリーンに変わり、どんな運転をすれば燃費を節約できるかを自然に体得することができます。 ブレーキング時には、エネチャージランプが点灯し、充電中であることが一目でわかるので、これもどんなブレーキングをすればいいのか考える参考になるでしょう。 メーターの表示を意識しながら走ることで、自然に運転がうまくなるというのが、最近のエコカーの特徴ですね。 時速13kmから作動するアイドリングストップは軽自動車初の装備で注目していましたが、エアコンフル稼働の状態であったことも影響してか、実際には停車直前にストップしてすぐまたエンジンスタートして、停車してからまたストップといった煩雑な動きをする場面が多かったのが気になりました。 エアコンOFFの状態だとうまく作動してくれるのかもしれませんが、初採用の装備なので、これから調整されていくのかもしれません。 アイドリングストップからのエンジンスタートは、ブレーキペダルから足を離した瞬間に始動という感じで、ストレスを感じるようなタイムラグはありませんので、実用上の問題はないでしょう。 ただし、信号を見落として焦って発進しようとしたときなど、慌ててアクセルペダルを踏むと、クリープがなくいきなり「ガクン」と発進する感じになってしまうので、スムーズな発進のためには、気持ち早めにブレーキペダルから足を離したほうが良いようです。 全体的な印象としては、とにかく快適で走りが気持ちいいです。 トールワゴンタイプなのに、セダンタイプに乗っているときのような軽快感があるのが、一番印象に残りました。 軽トールワゴンは、広さも快適性も、もう十分なレベルに達していますから、今度は燃費と走りで競い合う時代になったのだということを、新型ワゴンRの試乗で実感しました。
いかがでしたか? 写真で見ただけでは、何のためのモデルチェンジなのかよくわからないという方も多いのではないかと思いますが、乗ってみればモデルチェンジの意味がよくわかります。 いつもは、デザインや使い勝手などをメインに紹介するこのコーナーですが、今回はそこはほとんど旧型と同じということで、試乗レポートに重点を置いて紹介してみました。 軽トールワゴンは今でも大人気ですが、燃費と走りがこれだけ改善されると、もはやセダンタイプのメリットは無くなってしまったのではないかと思ってしまいます。 もちろん、他メーカーも追随するはずですから、今後、軽トールワゴンの人気がさらに高まることは間違いないでしょう。
次ページからは、上級モデルのスティングレーについて、ノーマルモデルとの違いを中心に簡単に紹介しています。
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