カーチェック

DAIHATSU ソニカ

[外観 外装パーツ インパネ周り インパネ周り&収納 シート周り 荷室&試乗レポ]

荷室 ほとんど欠点のない車のようですが、やはり荷室の広さだけはちょっと我慢が必要です。
 テールゲート開口部の高さもあまり高くないので、大きな荷物を載せるには不向きですし、奥行きもあまりありません。
 ただ、幅は広めですし、軽で最小というまでではないので、日常の買い物程度ならまったく問題にはならないでしょう。
 ただ、リヤシートのスライドやリクライニングはできないので、「あとちょっとなのに入らない」という悔しい思いをすることはあるかもしれませんね。

荷室拡大 荷室容量が足りないときは、シートバックを倒して荷室を拡大することができます。
 荷室の段差はほとんどなく、操作も簡単で6:4の分割可倒式を採用(RSリミテッドのみ)するなど、使い勝手は非常に良いです。
 ただ、ショルダー部のレバーが安っぽいのだけが気になりました。
 隅々までプレミアム感を追求しているため、逆に一つでも安っぽいパーツがあると非常に目立ってしまうのです。
 いつも目にする場所ではありませんが、できれば「どこから見ても隙のないプレミアム感」を追求して欲しかったですね。

アンダーボックス これだけ低いボディなのに、荷室フロアの下にも収納スペースを用意しています。
 ここには工具類があらかじめ収納されていますが、左右のトレイなどは深さもけっこうあるのでなかなか使えそうです。
 さらにこの下にはスペアタイヤもきちんと装備されていて、本当に最近のダイハツの車は無駄なスペースが無いですね。

新開発ターボエンジン エンジンは、新開発のターボエンジン1種類のみ。
 このエンジンは、KF型と呼ばれる新世代エンジンで、ロングストローク化による中速トルクの向上と優れた環境性能を実現しています。
 「エッセ」に初搭載されたこのエンジンに、今回はターボチャージャーを追加し、さらにエンジンマウントも新開発して低騒音・低振動を実現したほか、世界初の構造を持つ新開発のCVTと組み合わせることで、ターボエンジンでありながら23.0km/L(2WD車)というNAエンジン並みの驚異的な低燃費まで実現してしまったのです。
 一応、「エッセ」のエンジンのターボバージョンということなのですが、振動や騒音の面ではまったく別物と考えたほうがよいくらい、とにかくこの車は走りがスムーズです。
 環境性能に優れたエンジンといっても、エンジンスペックは、64馬力/10.5kg・mと十分なもので、圧倒的なパワーと低燃費を両立した画期的な車と言えます。
 最小回転半径は4.7mとなっていて、軽としては小回りが効かないほうですが、そのぶん非常に安定した走りが得られます。
 では、その新開発のエンジンやCVTによる走りはどうなのか、早速試乗レポートでお伝えしましょう。

RSリミテッド ここからは試乗レポートです。
 今回試乗したのは、最上級グレードの「RSリミテッド」です。
 まず、イグニッションのつまみをひねると、「キュルン」と元気良くエンジンが回り出します。
 アイドリングのエンジン音はとても静かで振動も少なく、シフトをDに入れてもブルブルした振動はありません。
 3気筒エンジンはどうしても振動や騒音が大きくなりがちなのですが、この車は3気筒であることをまったく意識しなくてよいくらい静かな空間を実現しています。
 エンジンが暖まるとさらに振動や騒音は少なくなり、4気筒エンジンの小型車並みに静かで振動の少ない車内となります。
 歩道から車道に下りるときの段差は、けっこうドスンときます。
 走行安定性を重視してサスペンションがローダウン化されているため、サスペンションのストロークが短く、一定以上の衝撃はボディにダイレクトに伝わってくるのです。
 ただ、「コペン」ほどにガチガチのセッティングではなく、初期段階の衝撃は柔らかく吸収してくれるので、一般的な路面では不快感はありません。
 柔らかい乗り心地の車に乗り慣れた人だと、ときどき不快な衝撃を感じるかもしれませんが、ドッシリとした足回りによる安心感のほうが不快感よりも勝るはずです。
 カーブでの安定感は抜群で、ほとんどロールもしません。
 どれだけスピードを上げてもアンダーステアを意識することはなく、「まだ曲がるの?」というくらいよく曲がります。
 コーナリング性能で順位をつけるなら、この車は「コペン」の次に位置すると思いますが、「コペン」ほどにクイックではないので、コントロールが難しいということもなく、常に安心感のあるコーナリングが楽しめます。
 加速に関しては、これはもう軽でナンバー1かもしれません。
 ターボ特有の低速域のトルクの細さやターボラグといったものが感じられず、発進時からいきなり高トルクで車を引っ張ってくれます。
 そして、その加速感がレッドゾーン手前の7000回転くらいまでずっと続くのです。
 これは、ロングストローク化により低速トルクを高めたエンジンと新開発のCVTによる絶妙なバランスがもたらしているものなのでしょう。
 発進時の力強さという点では、スーパーチャージャー+CVTを搭載するスバルの「R2」と甲乙付けがたい感じですが、その後の伸びの良さやスムーズさという点では「ソニカ」のほうが勝っています。
 それに、4気筒の「R2」のほうが騒音や振動面で有利なはずなのに、逆に3気筒の「ソニカ」のほうがスムーズなくらいで、4気筒エンジンの採用を縮小し、新世代エンジンを3気筒にしたダイハツの選択は正解だったのではないかと思いました。
 さらに、7速マニュアルモードに関しても、「R2」よりはほんの一瞬変速時のタイムラグが長い感じがしますが、そのぶん変速ショックが抑えられていて、快適性と走りの楽しさのバランスから考えれば「ソニカ」のほうが優れている感じがしました。
 実際の加速感やスムーズさに加えて、音に関しても「ソニカ」はまさに爽快です。
 今まではダイハツのエンジンは加速時の低音が気になることが多かったのですが、この車は騒音の低減やチューニングについても徹底して研究されているようです。
 ターボの過給音とCVTのわずかな音が合わさった「ヒューン」という音と、どこまでも加速し続ける感覚は、まるでジェット機に乗っているような感覚です。
 回転を上げてもずっとスムーズでジェントルなサウンドのエンジンは、本当に爽快としか言いようがありません。
 サイズが大きくグリップ重視のタイヤを装着しているわりには、ロードノイズもほとんど気にならないレベルで、騒音に関しては風切り音が若干気になったのみで、現時点では静粛性は軽自動車の中でナンバー1と言ってよいでしょう。
 加速時の「ヒューン」という高い周波数の音がなければ、リッターカークラスの車と同等の静粛性と言っても過言ではないです。
 外見から想像するよりも着座位置が高めで視界が良く、また、バック時もそれほど車両感覚がつかみにくいという感じではありません。
 慣れが必要な部分といえば、ゲート式シフトの操作くらいでしょう。
 走りや快適性に関しては本当に現時点で最高のレベルにあると言ってよく、やや硬めの足回りさえ受け入れられるなら、これは次世代の軽自動車と言えるでしょう。

 いかがでしたか。
 「ソニカ」は、プレミアム感やスポーティな走りを求めながら、経済性や実用性も非常に高いレベルにある車です。
 特に、プレミアム感の演出については、「レクサス」の協力を得たのではないかと思うほど、高級車の域に達している部分もあるように感じます。
 今までの軽自動車と比べると、すべてにおいて1ランク上の高級車と言える「ソニカ」は、まさに「軽自動車の中のレクサス」と呼べる存在でしょう。
 おそらく、写真や文章だけではそこまで感じないと思いますが、実際に触れて、乗ってみれば、きっとそう感じると思います。
 この車に興味のある人はもちろんのこと、「とりあえず軽自動車を検討中」という人も、軽自動車がどれだけ快適になったかを知る上で、この車にはぜひ一度試乗してみることをお勧めします。

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