SUBARU R2
[外観デザイン 外装パーツ インパネ周り 収納 シート周り 荷室&試乗レポ]
ラゲッジスペースは広いとは言えませんが、セダンタイプとしては標準的な範囲だと思います。 デザイン優先のパッケージングにしては悪くないレベルではないでしょうか。 4人乗車よりも2人+荷物というシーンを優先させたのかなという気がしますね。 日常の買い物程度なら不足はないはずです。 しかし、4輪独立サスペンションの影響なのか、左右の張り出しが他車より大きく感じます。 ファーストカーとして使うには少し厳しいかもしれませんが、あのボリュームのあるリアビューを手に入れられるなら、これくらいは我慢しなければいけないのでしょう。
リアシートのシートバックを倒せば、荷室の拡大が可能です。 2人までしか乗らないなら、この状態であれば特に困ることはないでしょう。 決して広いとは言えないし、大きな段差もできてますし、積載能力は高いとは言えません。 でも、この車を積載用に使おうと考えている人はほとんどいないはず。 積載能力の高い車は他にもたくさんあるわけですから、この車にはこれだけで十分でしょう。 ヘッドレストを外す必要もなく、左右一度ずつの操作でこの状態になるわけですから、フラットな荷室を作るためにいくつもの操作を必要とする車よりは、逆に使い勝手が良いかもしれません。 床下にはアンダーボックスなどはなく、スペアタイヤがあるのみ。 できれば、アンダーボックスは装備して欲しかったですね。 そうでないと、隠し収納に使えるようなフタ付きのまとまった収納ボックスがないのです。
「R2」のエンジンは3種類あり、全車4気筒エンジン。 「S」に搭載されるスーパーチャージャーエンジンは64馬力で、「プレオRS」のエンジンに改良を加えたもの。 「R」に搭載される可変バルブタイミング機構付きDOHCエンジンは新開発のもので、54馬力を発生しながら、i−CVTとの組み合わせで24.0km/L(2WD、10・15モード)という低燃費を実現しています。 「i」に搭載されるのは46馬力のSOHCエンジンですが、低速トルクがあるため一般の街乗りではしっかり走ってくれます。 ミッションはi−CVTと5MTがありますが、「S」は7速スポーツシフトi−CVTのみの設定となります。 i−CVTと4気筒エンジンによる滑らかな走りこそこの車の最大の特徴で、これはぜひ試乗で確かめていただきたいと思いますが、以下に私なりの感想をレポートしますので、試乗できない方は参考にしてみてください。
この写真は売れ筋になると思われる「R」のものですが、今回試乗したのは、スポーツグレードの「S」。 あいにく国道が混んでいたため、狭い道がメインの試乗となってしまいました。 まずは、エンジンをかけたときの音が軽らしくなく、その後のアイドリング状態ではエンジンがかかっているのかわからないくらい静か。 走り出すと低音の効いた「ブォーン」という音になり、力強さを感じます。 そして、振動もほとんどなく、これはさすがに4気筒エンジンです。 発進時に少し気になったのが、i−CVTの独特の感触で、通常のATと同じようにラフにアクセルを踏むとカクンと軽い衝撃があり、またアクセルを戻した時にも同じような衝撃があります。 ですから、低速時のアクセル操作は丁寧にしてやらないと、ギクシャクした動きになってしまいます。 これは他のCVT車でも感じたことなので、この車特有のものではないと思いますが、初めてCVTに乗る人の場合は、スムーズな低速走行ができるようになるには少し慣れが必要だと思います。 裏口から狭い道に出るときに、少し不安になってしまったのは、小回り性能についてです。 4.8m(「S」以外は4.7m)という最小回転半径は、軽の中ではかなり大きなほうで、しかもボンネットの見切りが悪いので、狭い道ではかなり気を使います。 そのときは「初めて運転する車だからかな?」と思いましたが、あとでカタログで最小回転半径を確認して「なるほどな」と思いました。 この点は注意が必要だと思いますので、不安な人はコーナーポールなども検討したほうが良いかもしれません。
狭い道を抜け、3車線の国道に出たところで、やっとこの車の良さを存分に味わうことができました。 まずは、室内が静か。 空気抵抗の少ないボディ形状や2重シール採用のドアなどよって、風切り音が抑えられていて、非常に快適。 助手席の人と快適に会話が楽しめます。 ロードノイズやエンジンの低音がやや気になりましたが、これはその他の騒音が抑えられているために、相対的に気になったのだろうと思います。 タイヤがグリップ重視のポテンザだったことも影響しているでしょう。 ガサガサといったメカニカルノイズがほとんどなく、心地よいサウンドを奏でてくれます。 乗り心地は、フワフワ感がなくしっかりした感じで安定感があります。 剛性感が高く、ブルブルとした不快な振動のない、引き締まった乗り心地が好印象でした。 決して硬くはないのですが、路面からの突き上げがやや気になることがありました。 これも、たぶん大径のスポーツタイヤの影響ではないかと思いますので、他のグレードではもう少しマイルドだろうと思います。 カーブでは4輪独立サスペンションのおかげでアンダーステアがほとんど感じられず、思ったとおりに車が曲がってくれます。 スーパーチャージャーエンジンは、ターボのように意に反した急激な加速をしないため、自分が想像したとおりの加速をしてくれ、まったくストレスを感じません。 「プレオRS」より60kgも軽いため、発進時のもたつきも感じられません。 また、無段変速なので変速ショックがなくスーッと加速してくれるのが気持ち良いですね。 そして、何と言っても7速スポーツシフトがすばらしいです。 スポーツシフトを採用したATは他車にもありますが、「R2」の場合は7速あるため、シフト操作だけで思いどおりの細かなスピード調整ができてしまうのです。 また、反応の速さも特筆もので、タイムラグはまったく無いと言って良いくらい、操作した瞬間にシフトチェンジしてくれます。 シフトレバーの位置がちょうど良いので、カーブでのシフトチェンジも楽々で、MTにも勝る楽しさが味わえます。 自分でシフトが選べるので、スポーツ走行だけでなく低燃費走行も可能。 7速では60km/h巡航で2000回転を切っていましたから、うまくシフトを選べばかなりの低燃費が期待できます。 心配した斜め方向の死角は特に気になりませんでしたが、後方視界は良くありませんので、狭い道での取り回しや車庫入れなどは慣れが必要かもしれません。 全体を通しての感想は、「楽しい」という一言に尽きます。 ATでここまで運転を楽しめる車は他にないと思います。 ドライバーが車に合わせるのではなく、ドライバーのためにすべてがあるという感じの造りに、思わず笑みがこぼれてしまうのです。 この「操る楽しみ」は、ぜひ試乗で確かめてみてください。
他の車では味わえない、この車ならではの魅力・・・それはずばり「所有する悦び」と「運転する悦び」だと思います。 居住スペースを犠牲にしてまでも追求したどこにもないデザイン、ストレスのないドライビングを実現するために装備された独自のメカニズムなど、方向性がはっきりしてるのです。 カタログの最初に、こんな言葉があります。 「世界には、SUBARUがつくるクルマを熱烈に支持してくれている人たちがいます。−(中略)−彼らの期待に、これからも応え続けたい。」 つまり、万人受けする車ではなく、スバルにしかつくれない車をつくり、その良さがわかる人に乗ってもらいたいということなのだと思います。 個性的な車の多い軽の中でも、特に個性を大事にしたこの「R2」。 見ただけではわからない魅力がたくさん詰まっています。 ぜひ試乗してみてください。 きっと、「車の価値は広さだけでは決められないな」と気付くきっかけになると思いますよ。
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