(2008/1〜現行モデル) 取材日:2008/1/24
SUZUKI パレット
[外観デザイン 外装パーツ インパネ周り シート周り 収納 荷室&試乗レポ]
フロントエンジンで1BOX以上の広大な居住空間を実現する「セミ1BOX」とも言えるジャンルは、今までダイハツの「タント」が独占してきましたが、ついにスズキからそのジャンルの新型車「パレット」が登場しました。 しかし、「パレット」は、単に「タント」を真似した車ではなく、スタイルこそ似ているものの、目指している方向性はずいぶん違います。 軽初の装備や贅沢装備を満載し、軽自動車であることを忘れてしまうほどの高級感が味わえる車となっています。 これからのスズキ車のクオリティがかなりのレベルになることを予感させる車でもある「パレット」について、さっそく細かく紹介していきたいと思います。 なお、グレードや年式によって装備内容等は異なりますので、購入を検討される際は、必ずカタログ等でご確認ください。
※6ページ目に試乗レポートを追加しました!
マイナーチェンジで追加された上級モデル「SW」については、管理人ブログに写真を多数掲載しています。
縦長で大きなヘッドライトが特徴のフロントフェイスは、「ワゴンR」と同じテイストで、誰にでも受け入れられやすいすっきりとした印象です。 フロントグリルとバンパー開口部の一体感を強めたデザインは、上級感とスポーティなイメージを両立して存在感もありますが、全体的にすっきりまとまりすぎて、「タント」と比べるとあまり目立たない車です。 前に立って見たときの印象も、ボンネットが比較的長めで低く、「ワゴンR」とあまり変わらない雰囲気なので、ボンネットの位置が高くフロントウインドウが目前に迫っている大迫力の「タント」と比べると、印象は薄いです。 「タント」は、「ムーヴ」とのコンセプトの違いがはっきりしていますが、「パレット」は、あくまで「ワゴンR」の延長上にある車という感じなのです。 しかし、そのぶん違和感を感じる部分がなく、メッキフロントグリルやエアロパーツ、フォグランプなどによって適度な高級感とスポーティさがあり、素直なかっこよさを感じます。 このように、あまり冒険をせず、誰にでも受け入れられやすいデザインにまとめるのは、スズキの得意とするところで、迫力の「タント」か、すっきりフェイスの「パレット」か、まずはここが両車を比較する際の一つのポイントとなるでしょう。
斜めから見ると、大きなフロントクォーターウインドウが目を引きます。 ここだけ見ると、「タント」の真似のように思えてしまいますが、よく見れば似ているのはそこだけで、ガラス面積を大きくして視界を重視した「タント」に対して、「パレット」はウエストラインを高くして視界よりもスタイルを重視しているなど、全体的なバランスから個々のパーツまでちゃんと見てみると、両車は意外に似ていません。 フロントエンジンで広大な室内を実現した車という意味で両車がライバル関係であることは間違いないのですが、目指している方向性はかなり違い、ターゲットとしているユーザー層もまったく同じではないようです。 写真の車は、「TS」という最上級グレードで、エアロパーツやドアミラーウインカー、アルミホイールなどが装備されているのでスタイリッシュですが、下位グレードではこれらの装備はなく、フロントグリルもメッキではなくなるため、もっとおとなしい印象になります。 さらに個性を求める人には、スズキ車お決まりのスズキスポーツ製エアロバンパーも用意されていますよ。
横から見ると、やはり居住空間の広い車であることは一目でわかります。 新設計プラットフォーム採用のボディは、「タント」と比べると、全高は15mm低い1735mmで、ホイールベースは90mm短い2400mm。 タイヤサイズも一回り小さいので、サイドビューもやはりタントと比べると迫力はありません。 しかし、前から後ろまでストレートに貫くサイドウインドウや、大きめのサイドアンダースポイラーなどによって、スタイリッシュにまとめられているのが印象的です。 スズキは、ロングホイールベース化やタイヤの大径化ではダイハツよりも一歩遅れていて、走りの質感がどうしても軽くなってしまうのが気になりますが、そのぶん小回り性能やタイヤの買い替えコストでは有利で、安定感をとるか利便性や経済性をとるかという点も、両メーカーを比較する際のポイントになるでしょう。
箱型のデザインなのに、1BOXとは違ったスタイリッシュなイメージとなっているリヤ周り。 「タント」は居住空間の確保が最優先なので、平面的なリヤ周りになっていますが、「パレット」は、スタイリッシュさを失わない程度に居住空間を広げるというスタンスなので、リヤ周りに微妙な凹凸や曲線が確保され、非常に上質な車という印象に仕上がっています。 グレード構成は、ベースグレードの「G」、左側電動スライドドアの「X」、エアロパーツなどが付く「XS」、両側電動スライドドア+ターボエンジンの「T」、高級装備の「TS」という5種類。 「タント」のように「カスタム」などの特別なシリーズはなく、64馬力ターボの搭載グレードもありません。 しかし、スズキはいつも後からスポーツグレードや上級モデルを追加するので、この車も後で特別なモデルが登場する可能性が高く、購入を検討している人はそれを覚悟した上で購入に踏み切る必要があります。
「ワゴンR」より大きく、「エブリイワゴン」よりもスタイリッシュなリヤビュー。 「タント」のようにクリアガーニッシュや凝ったデザインのランプを採用しているわけではないのですが、全体的なデザインの質が高く、写真で見ると2Lクラスのミニバンに見えますね。 最近の軽は、マフラーを斜め下に向けて目立たないようにしている車が多く、この車もそうです。 特に、この車はマフラーカッターの設定さえなく、オプションでスポーツマフラーを設定している「タント」とは方向性が違います。 ボディカラーも、4色の特別色を設定する「タント」に対し、この車の特別色は2色のみ。 つまり、派手に存在を主張する「タント」に対し、「パレット」はさりげない主張を大切にする車なのです。 写真の車は、特別色のミステリアスバイオレットパールというボディカラーで、一見すると黒に見ますが、光が当たる部分は紫色に見えます。 カラーラインナップは、このほかに、パールホワイトをはじめ、メタリック・パール色のみの全9色となっていて、ソリッドカラーは用意されていません。
では、エクステリアのパーツをもう少し細かく見てみます。
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