SUZUKI パレット
[外観デザイン 外装パーツ インパネ周り シート周り 収納 荷室&試乗レポ]
この車の特徴の一つでもある大きなヘッドライトは、内部のデザインも凝っています。 横長に光るウインカーは、反対方向からでも見えやすいようにレンズに突起も付いています。 スモールランプは、取り付け位置や被視認性にやや不安はあるものの、電球そのものを目立たせてデザインの一部にしてしまっているところが面白いですね。 「XS」以上のグレードには、Hi/Lo切替式のプロジェクター式ディスチャージヘッドランプ(HID)を標準装備しています。 夜間も安心して運転できますし、見た目の質感も高いですね。 しかも、HID装着車には、オートライトまで標準装備されます。 オートライトは、トンネルなどでのライトスイッチ操作から開放され、ライトの消し忘れの心配もない便利なもので、これが標準装備となっている車は普通車でもそれほど多くありません。 これでまた軽と高級車の装備の差が縮まったと言えます。
リヤコンビランプのデザインはシンプルで、ブレーキランプはマルチリフレクター式できれいです。 ピラー埋め込みタイプのため、リヤデザインがすっきりしますし、ランプの位置が高く被視認性は高いですが、そのぶんテールゲートの開口幅が狭くなるという欠点もあります。 このあたりも、「タント」との方向性の違いが現れていますね。
エクステリアで特にすばらしいと思うのが、高級車並みの質感を持つ、このドアハンドルです。 最近の車は、確実な操作ができるグリップ式が主流になっていて、軽でも最近になってやっとグリップ式が主流になりつつあります。 ライバルの「タント」もグリップ式を採用していて、その数は確実に増えていますが、毎回気になっていたのが、キーシリンダーの処理です。 いくらドアハンドルの質感を高くしても、ドアパネルにぽつんと取り付けられた鍵穴が非常に安っぽく、軽の質感はこの数年で大幅に向上したのに、ここだけはずっと変わらないなと残念に思っていました。 このコーナーでも毎回指摘してきた部分ですが、どのメーカーもなかなか改善してくれませんでした。 ところが、この車は、ちゃんとドアハンドルに鍵穴を埋め込み、非常に上質なイメージに仕上げています。 キーフリーシステムのリクエストスイッチもドアハンドルに埋め込まれていて、高級車のドアハンドルとなんら違いはありません。 毎日触る部分であり、毎日目にする部分でもあるだけに、これは所有する喜びに大きく影響します。 他メーカーもぜひ見習って欲しいですね。 キーフリーシステムは、「G」以外のすべてのグレードに標準装備されていますが、ダイハツのシステムと違い、完全自動ロックではなく、自分でリクエストボタンを押してロックの操作をします。 このシステムは、ボタンを押すという操作が必要になりますが、その代わりに、近くを通るたびにドアロックが作動してしまうというわずらわしさがなく、意に反した動作を防げるメリットがあります。 どちらがよいかは好みの問題になりますが、「タント」と「パレット」を比較する際には、携帯リモコンを実際に車外に持ち出して、キーフリーシステムの使い勝手を自分で確かめてみることも必要かもしれません。
ワイパーは、視界の邪魔をしないように取付位置を低くし、前方の視界を良好にしています。 また、ウインドウウォッシャーノズルはボンネットの下に埋め込まれているので、質感が高く、ボンネットにウォッシャー液の跡がつく心配もありません。 最近の軽は、やっとこういったところまで気を使ってくれるようになりました。 この写真を見てもわかるとおり、室内空間を優先した車の割にはボンネットはそれほど短くなく、極限までボンネットを短くした「タント」とはずいぶん印象の違う車になっています。
ルーフアンテナは樹脂製で可倒式となっていて、天井高に余裕がないところでもアンテナが折れてしまうような心配はありません。 手が届きやすいようにルーフサイドに寄せて設置されていますが、なかなか中途半端な位置にあり、デザイン性や使い勝手は微妙です。 「XS」以上に標準装備されるルーフスポイラーは、大きめですが大げさではなく、なかなかかっこいいですね。
この手の室内空間優先の車は、リヤ周りが安っぽくなりがちなのですが、この車はかなり凝ったデザインになっています。 ガラスの中に埋め込まれたリヤワイパー、ガラスに直接取り付けられたエンブレム、両端が跳ね上がったガラスとパネルの分け目のライン、微妙なプレスラインなど、今までの軽ではあまり見られなかったデザイン手法が目立ちます。 これらのこだわりによって、全体的な質感はかなり高くなっています。 平面的なデザインでありながらクリアパネルのガーニッシュで高級感を演出した「タント」とは違い、それぞれのパーツの処理や複雑な面構成などで全体的な上質感を高めた「パレット」は、少し大人の雰囲気が漂っています。
最近は、軽でも15インチは珍しくなく、16インチを採用する車もありますが、この車のタイヤサイズは、165/55R14で、スズキは大径ホイールの採用には消極的です。 しかし、それでも意外にホイールは大きく見え、全体的なバランスは悪くありません。 スズキは、快適装備に関しては積極的に新しいものを採用しますが、走りに関する装備に関しては従来のものをずっと利用する傾向があります。 そのため、車両価格も割安にできますし、タイヤなどのパーツの交換も安くできるというメリットがあります。 軽の高級化に賛成の人にとっては少し物足りない部分がありますが、そこまで望んでいない人にとっては、スズキの考え方のほうがありがたいでしょう。 「タント」と違い、フロントスタビライザーは全車に標準装備となっていて、乗り心地の良さと安定感の良さを両立しています。 ベンチレーテッドディスクブレーキは、「タント」と同じでターボ車と4WD車に装備されます。 なお、「G」の場合は、タイヤサイズは155/65R13となります。 アルミホイールは、「XS」以上に標準装備。 EBD・ブレーキアシスト付ABSは全車標準装備となっています。
次は、高級感抜群のインテリアです。
|