SUZUKI パレット
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インパネのカラーは、グレードによる違いはなく、ベージュとブラックの2トーンカラーで非常に上品です。 さらに、「G」以外のグレードではピアノブラック調パネルを採用し、今までの軽自動車とは一味違う高級感たっぷりのインパネとなっています。 センターメーターやフローティングセンターパネルなどで遊び心を感じる「タント」のインパネと比べると、非常にまじめで高級なイメージのインパネとなっているのが印象的。 ガングリップタイプのインパネシフトを採用する「タント」に対し、「パレット」はオーソドックスなインパネシフトで、質感や操作性も良いです。 センターにボリュームを持たせたインパネデザインは、クラスを超えた質感で非常に上質ですが、左右ウォークスルーの時には、このボリュームとそこから飛び出たシフトレバーが若干邪魔に感じなくもないです。 フロントガラスの大きさは「タント」ほど極端ではなく、前方の開放感では「タント」のほうが上回る感じがしますが、フロントクォーターウインドウは「パレット」のほうが大きく、斜め方向の視界が良好なのが特徴です。 「パレット」の室内高は、「タント」を1cm上回る1365mmとなっていて、クラストップの数値となっているわけですが、なぜかシートに座ったときにはそれほど天井の高い車という印象はありませんでした。 おそらく、「タント」でこの天井の高さに慣れてしまったことと、ウエストラインを高くしてガラスの面積をやや小さめにしたデザインであることが、室内高の高さのインパクトを薄めてしまった原因ではないかと思います。 もちろん、「タント」以外の車から乗り換えれば、この広々感は相当なインパクトがありますけどね。
最近は、軽でも自発光式メーターが増えてきましたが、まだまだ上級グレードに限られている場合がほとんどで、一般的な装備になったわけではありません。 ところが、この車はなんと全車自発光式メーターを採用しています。 ブラックアウトされたメーターは、エンジンをかけると文字が浮かび上がり、赤い指針が一度振り切れてからスタンバイします。 こんな光景は、ほんの少し前までは一部の高級車だけに許されたものだったのに、あっという間に軽にも普及しました。 スズキは、初代「MRワゴン」で軽初の自発光メーターを採用したメーカーなので、その採用には積極的で、すでに「ワゴンR」でも全車採用となっていますが、この車の場合はさらに高級感がアップしています。 特に、「XS」以上のグレードに採用される3眼メーターは、メッキで縁取りされ、中央が間接照明になっているような立体的なデザインで、軽のものとは思えない高級感が味わえます。 また、中央下部のトリップメーター表示部は、平均燃費、瞬間燃費、航続可能距離などを切り替えて表示することが可能なマルチインフォメーションディスプレイ機能を備えるなど、機能的にも完璧です。 また、シフトインジケーターが大きな文字で表示される上に、シフトレバーの直視でもポジションが確認できるため、シフト操作のミスを防ぎやすくなっています。 この点も、「タント」とは違う点の一つです。
さて、ここからも高級な贅沢装備が続きます。 まずは、最上級グレードの「TS(ハイグレードサウンドシステム装着車)」に装備されるこのオーディオです。 ピアノブラック調パネルやメッキリングなどで装飾され、大きなディスプレイを持つこのデザインは、軽の標準装備品とは思えない質感を持っています。 また、携帯電話のハンズフリー機能も搭載されているようで、おそらくブルートゥースに対応しているものと思われます(カタログに明記されていないため、未確認です)。 さらに、車速によって音量や音質を自動調整するという「ツインラウドネス機能」を採用し、常に最適な音響を提供してくれるという、非常に贅沢なものなのです。 MDプレーヤーは搭載されていませんが、CDプレーヤーはMP3/WMA方式対応で、ディーラーオプションでiPod接続ユニットも用意されています。
驚くのはまだ早いです。 このオーディオシステムのすごいところは、なんと軽初となる10スピーカーを採用しているというところ。 どこにあるのか数えてみたら、ちゃんと10個ありました。 写真左上から、インパネ上部のセンタースピーカー(7cm)、その下がインパネ上部のツイーター(2.5cm)×2、そして右上がドアスピーカー(16cm)×2、その下が運転席下のサブウーハー(2.7L)、その下がリヤフェンダー内側のリヤクォータースピーカー(12cm)×2、そして写真中央のルーフスピーカー(7cm)×2で、合計10個になります。 このスピーカーシステムでは、あらゆる方向から音を発するため、室内全体が音に包まれる感じで、特にルーフスピーカーは天井から音が降ってくる感じなので、どこから音が鳴っているのかわからず不思議な感覚です。 この広い室内が好きな音楽で満たされると想像するだけで、うれしくなってしまいますね。 ただし、包まれ感は抜群なのですが、スピーカーの数が多いぶん、それぞれのスピーカーにコストがあまりかけられなかったのか、音のクリア度はイマイチに感じました。 音源がFMラジオだったことや、音質の調整を行っていなかったこともあり、これが本当の実力なのかはわかりませんでしたが、オーディオにこだわる人は、自分のお気に入りのCDなどを実際にかけさせてもらって確認してみたほうがいいかもしれません。 なお、ルーフスピーカーはブルーのイルミネーション付きとなっていて、夜間の室内をムーディに演出してくれます(「タント」に対する対抗意識?)。
そしてさらに、ハイグレードサウンドシステムにはステアリングオーディオスイッチまでも装備されます。 もう完全に高級車ですよね? ステアリングスイッチ自体は、ダイハツが先に「ソニカ」などで採用(こちらはエアコンも操作可能)していて、そこまでインパクトはないかもしれませんが、この車はスイッチのデザインや操作性が良い上に、ボリュームなどの+−操作だけでなく、ミュートボタンまでもついているのが便利。 ステアリングのグリップは本革で、上質なデザインのスイッチの周りはピアノブラック調パネルで、自発光式メーターとメッキパーツやピアノブラック調センターパネルなどに囲まれた運転席は、本当に今までの軽では味わったことのない高級感が漂っているのです。 ライバルの「タント」の特等席は左後席なのですが、この「パレット」の特等席は、もしかすると運転席なのかもしれません。 こんなところにも、両車のコンセプトの違いが表れていると思います。 ちなみに、「TS」にはオーディオレス仕様車が用意されていて、その場合はサブウーハーを除く9スピーカーが装備されることになり、その他のグレードはすべてオーディオレスが標準で、グレードにより2スピーカーまたは6スピーカーが装備されます。 全車オーディオが標準装備の「タント」とは、ここでも考え方の違いがあります。
エアコンだって、高級です。 廉価グレードの「G」以外はすべてフルオートエアコンを装備しているというだけでなく、インパネ上部から後席へ向けて風を吹き出すアッパーベントを全車標準装備しています。 軽自動車ではどうしても後席の空調を快適に保つことが難しいため、このような装備はありがたいですね。 また、抗アレルゲン+カテキンエアフィルターも標準装備となっています。 操作パネルは、オーディオと共通のイメージでデザインされ、メッキリングを配した温度調節ダイヤルを中央に配置するなど、操作性も質感もかなりこだわっています。 ただ一つ気になるのは、シフトレバーとエアコンのスイッチ類がかなり接近しているため、走行中にはエアコンが操作しづらいのではないかということです。 実際に走行中に操作していないのでなんとも言えませんが、「ソニカ」などのようにエアコンの操作スイッチもステアリングに装備されていれば完璧でしたね。 なお、エアコン操作パネルの下は、小物入れと電源ソケットになっていて、今や当たり前になっていますが、灰皿やシガーライターは装備されていませんので、必要な人はオプションで購入する必要があります。
まだまだ高級な装備は続きます。 なんと、「G」以外の全グレードには、プッシュ式エンジンスタートボタンも標準装備となっています。 これは、今までのようにツマミをひねってエンジンをかけるのではなく、まるで家電製品のようにスイッチを押すだけでエンジンがかかるというもので、普通車では急速に普及しつつあります。 軽でも、オプションとしては少し前から用意されるようになっていますが、ほとんどのグレードに標準装備という例はまだ珍しく、しばらくは優越感に浸ることができるでしょう。 実際のところ、あると便利というわけでもなく、慣れるまでは戸惑いますし、ほとんど自己満足の装備なのですが、電気自動車が本格的に普及すればこれが当たり前になるはずなので、時代を先取りしているという気持ちにはなれますね。 ちなみに、ただボタンを押しただけでは、エンジンはかかりません。 初めて見る人は戸惑うと思いますが、携帯リモコンが室内にある状態で、ブレーキを踏んだままスイッチを押せばOKですので、試乗のときは焦らずに確認しながらエンジンをかけてくださいね。 下のほうにあるスイッチは、電動スライドドア、スピーカーのイルミネーション、フォグランプのスイッチなどです。
えー、さらに高級な装備は続きます。 なんとなんと、「G」以外にはサイドエアバッグも標準装備なんです。 そして、「TS」にはカーテンエアバッグまで標準装備です。 ダイハツがすでに7エアバッグまで用意しているため、特に珍しくないと思うかもしれませんが、軽の世界では、今までは両席エアバッグ以外はオプションというのが常識だったのです。 軽の世界というよりも、普通車も含めて国産のコンパクトカーは、サイドエアバッグやカーテンエアバッグなんてオプションが当たり前だったのです。 最近になって、やっと標準装備化の動きが出始めたばかりのこの時期に、120万円台のグレードからサイドエアバッグを標準装備し、150万円台でカーテンエアバッグまで標準装備しているというのは、非常にすばらしいことです。 できればお世話になりたくない装備であるだけに、オプションではなかなか装備しないものなので、標準装備化によって普及が進み、製造コストの削減や交通事故における負傷の軽減につなげられれば、この車の存在意義もさらに高まることになります。
高級感の追求は、車本体だけに留まりません。 なんと、携帯リモコンのデザインもまったく新しくデザインし直されています。 軽ではリモコンキーのデザインが安っぽい車が多く、持ち歩くのがなんとなく恥ずかしいような気もするのですが、この車のリモコンは、まるで高級車のもののようで、逆に他人に見せたくなるようなデザインです。 つまり、この車のオーナーは、車に乗っているときだけでなく、車から離れているときも所有する喜びを感じられるということなのです。 電動スライドドアもこのリモコンで開閉できますし、本当に贅沢な気分にさせてくれる車ですね。
次は、シート周りを中心に見ていきます。
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