試乗したのは、マイルドハイブリッドを搭載する中では一番下のグレードとなるFXです。
車重が軽いだけあって、走り出しはとても軽快でスムーズなので、発進のたびにもたつくといったことがなく、まずはその点が好印象でした。
エンジン音はとても軽くスムーズな感じなので、耳障りではありません。
加速時はやや音が大きくなるものの、会話ができなくなるほど車内に響くような感じではないので、エンジン音に関しては静かで快適といった感じです。
ただ、それ以外の騒音についてはあまり改善されている印象はなく、ロードノイズも旧型と同等という感じですし、風切り音が大きいのも旧型から改善されていない感じでした。
さらに、外からの騒音がわりとよく聞こえます。
静粛性という点では、ライバルとなるムーヴのほうが優れている印象です。
モーターによるアシストがありますが、登坂ではそれを明確に感じることはなく、メーター内のエネルギーフローメーターでアシストされていることはわかるものの、体感的には普通のNAエンジンの軽自動車という感じです。
ただ、平坦な道ではあまり回転数を上げなくても比較的スムーズに加速できる感じはあり、これは軽量ボディ+モーターアシストのおかげなのかもしれません。
さて、新型ワゴンRで一番気になっていたのが、EV走行です。
新型ワゴンRは、モーターのみで最長10秒までクリープ走行が可能になっています。
これは、ピュアEVのアイミーブを除けば軽自動車では唯一の存在で、渋滞時ならほとんどモーターのみで静かに走ることができるのではないかと期待して試乗しました。
ところが、10分ほどの試乗の間に、おそらく20回以上は信号停車をしましたが、そこからモーターのみでクリープ走行ができたのはわずか3回でした。
それ以外は、ブレーキから足を離すと瞬時にエンジンがかかってしまいました。
しかも、モーターによるクリープ走行は極低速で、渋滞のノロノロについていけるほどの速度ではありません。
一般のエンジンによるクリープとはまったく別物で、進んでいるのか進んでいないのかほとんどわからないレベルといってもいいくらいです。
なので、結局周りの流れに合わせるとアクセルを踏まなければならず、現実にEV走行を行う機会はほぼないという感じです。
また、EV走行時はヒュルヒュルというモーターの音がけっこう車内に響くので、無音で進むというイメージとは程遠く、メーター内の「EV」表示を見なければEV走行になっていることに気づかないかもしれません。
アイドリングストップからの再始動が静かであることなど、従来のSエネチャージからの美点は引き継いでいるものの、そこからの進化はあまり感じられませんでした。
最終的に、旧型ともっとも違いが感じられたのは、前方の広々感で、これがもっとも明確に違う点です。
装備に関してはかなり進化しましたが、走りに関しては大きな進化は見られないというのが正直な感想です。
スティングレーのターボはエンジンの最大トルクもアップしていますし、ターボ+ハイブリッドというちょっと珍しい車なので、またちょっと印象が違うかもしれませんので、機会があれば試乗してみたいと思います。