HONDA ゼスト
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フロントシートはベンチタイプなのですが、座り心地はベンチシートとは思えないほどフィット感が良く、サイドサポートもしっかりしています。 着座姿勢も自然で、ベンチシートの座り心地に違和感のある人でも、このシートなら満足できるかもしれません。 クッションは柔らかすぎない感じで、肌触りも良いので上質な感じです。 カタログによれば、体圧を均等に分散するためにクッションの厚みやシート表皮の伸縮性まで配慮したのだとか。 座ってみれば確かにそういった配慮を感じることができます。 また、足の踏ん張りもよく考えられていて、運転席にはフットレストがあり、助手席も床面にちょうど足を踏ん張れるような角度をつけてあるため、体が安定して疲れません。 1315mmという室内幅はムーヴやワゴンRなどよりも広く1BOX並みの数値で、大きなガラスによる気持ちいい視界と相まってとても快適な空間を実現しています。
座面に2人分のカップホルダーを設けたのはユニークです。 1BOXのリヤシートでは装備したケースもありますが、フロントベンチシートで座面に2人分のカップホルダーを設けたのは軽で初めてではないでしょうか。 場所は使いやすいと思いますが、ウォークスルー時にここに腰掛けてしまうとちょっとお尻が痛いかもしれません。 まあ、現実的には困ることよりも便利なことのほうが多いと思いますけどね。 センターアームレストはやや大きめで、高さもちょうどよく、使い心地は非常に良いです。 ムーヴなどのように収納ポケットは用意されていませんが、そのぶんゴツゴツしていないので肌触りが良いです。 収納は十分すぎるほどあるので、ここは使い心地重視で正解だと思いますね。
フロントシートには、まだまだこだわりがあります。 この車は、追突されたときにムチ打ちを軽減する機能をシートに内蔵しています。 おそらく、ヘッドレストの支柱が湾曲しているのもそのためではないでしょうか。 また、シートバックの形状を工夫して後席の膝周りに余裕を持たせたり、回転収納式のフックを設けたりと、フロントシートに関してはかなりこだわっているのがわかります。 シートというのは意外に見落としがちな部分ですが、実際には常に体を支える最も重要な部分です。 シートにこだわりがあるという人も、そうでない人も、この車のシートは一度チェックしてみる価値があると思いますよ。 ちなみに、ノーマルシリーズはグリーンのシート表皮でショルダー部より上だけがベージュのシート表皮というユニークな2トーンカラーとなっていて、これもちょっとしたこだわりです。
リヤシートは、かなり小さいです。 足元の余裕は十分なので、窮屈に感じることはまったくないのですが、体をあずけるにはあまりにもサイズが小さいのです。 これは、座面を床に落とし込むシートアレンジを実現するために仕方ないことなのですが、座り心地という点では満足できるものではありません。 しかし、機能的にはライフよりも改善されている部分があります。 改善されたのはヘッドレストの形状で、後方視界の妨げにならないような形状になっているだけでなく、ヘッドレストを外すことなく座面を落とし込むことが可能となったのです。 人が乗るときにはヘッドレストを伸ばす必要があり座り心地もあまり良くはないですが、人よりも荷物を載せることのほうが多いという場合にはありがたいリヤシートだと思います。 スライドはできませんが、もともと空間の余裕はありますし、9段階のリクライニングが可能なので、広さという点ではまったく問題ありません。 しかし、それだけに「シートの座り心地がもう少し良ければ快適なのに」と思ってしまいます。
室内長は1810mmで、ワゴンRやムーヴなどよりも狭いですが、フルフラットはOKです。 仮眠をとるにはこれで十分でしょう。 座面にカップホルダーがあるおかげで、寝たままでも飲み物が取りやすいという利点(?)もあります。
室内幅を限界まで広げたわりには立体感のあるデザインのドアトリム。 ドアアームレストの使い心地もなかなか良いです。 クロス入りでないのはちょっとさびしいですが、スイッチのレイアウトや全体のデザインはよくできていると思います。 気になるのはスピーカー部の処理の質感とドアポケットの深さが足りないことくらいですね。
一般的には、ドアトリムはフロントとリヤでイメージを統一するものですが、この車はあえて前後で雰囲気を変えています。 フロントは全体がブラックなのですが、リヤは上部をベージュにして2トーンカラーとしています。 この組み合わせだとわかりにくいかもしれませんが、ノーマルシリーズだとフロントがベージュでリヤがブラック+ベージュとなりますので、前述の「前席は開放感を重視、後席は包まれ感を重視」というコンセプトをドアトリムでも演出しているというのがわかると思います。 一見すると実用性重視の車に見えますが、実はこういった部分でけっこう遊んでいるんですね。 もちろん、きちんと腕が置けるドアアームレストと操作しやすいパワーウインドウスイッチ、そしてドリンクホルダーを兼ねたドアポケットなど、実用性はしっかりと考えられていて、その上でのデザイン上の遊び心であって、それがこの車らしいところなのです。
では、この車の自慢の荷室をチェックしてみましょう。
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