(2006/1〜現行モデル) 取材日:2006/1/7
MITSUBISHI アイ
[外観デザイン 外装パーツ インパネ周り シート 荷室&試乗レポ]
2003年の東京モーターショーで日本初公開となったコンセプトカー「アイ」が、軽自動車となってついに市販化されました。 斬新な卵形フォルムやリヤミッドシップレイアウトなどはそのままに、サイズを軽自動車枠に収め、エンジンを660ccとし、より洗練されたデザインで登場しました。 この車、デザインが斬新なだけではなく、装備も今までの軽自動車には無かったものを積極的に採用していて、まさに新世代軽と呼ぶに相応しい内容となっています。 では、どんなところが新しいのか、さっそくチェックしてみましょう。 なお、装備内容などについてはグレードや年式によって変わりますので、購入を検討する際は必ずカタログ等でご確認ください。
この車の最大の特徴は、軽自動車でありながらエンジンをリヤミッドシップレイアウトとしていることですが、それは外観デザインにも大きな影響を与えています。 その一つが、この立体的なフロントフェイスです。 一般的に軽自動車は小さなボンネット内にエンジンを収めなければいけないので、どうしてもフロントが平面的になってしまいますが、この車はそういった制約がないので、凹凸の大きいデザインが可能となり、軽自動車らしくない風格があります。 また、フロントグリルを設ける必要もないため、完全なグリルレスデザインを実現でき、まるで電気自動車のような近未来的な雰囲気があります。 ボンネットとフェンダーをヘッドライトで完全に隔てることで、パネルの隙間を意識させない一体感のあるフロントマスクを実現しており、これも近未来感や高品質感につながっています。 フロントウインドウが縦に長く、運転席が遠く感じるので、ゆったりと伸びやかなインテリアであることが車外からも想像できます。
卵形の完全なワンモーションフォルムを実現し、サイズ以上に伸びやかな印象を与えるエクステリアデザイン。 特にフロントウインドウの傾斜の強さは軽自動車中随一で、本当に全長が軽自動車枠に収まっているのかと疑いたくなるほどです。 ボディカラーは全部で8色で、種類は特に多いわけではありませんが、シルバー、ガンメタ、ブラック、ホワイトといった定番カラーから、レッドやライトイエローといったビビッドカラー、そしてライトブルーメタリックやブラウンメタリックといった個性的なカラーまで、幅広いニーズに応えられるようになっています。 なお、ホワイトパールが2006年3月に追加される予定で、最終的には全9色となります。
サイドビューは、今までのどの軽自動車とも違う雰囲気です。 前後のタイヤを最大限外側に配置し、フロントピラーは前輪の上にまで伸びています。 この独特のデザインによって、キャビンスペースは1BOX並みの長さを実現しています。 ドアミラーを含め、前後ドアのピラーをすべてブラックアウトしたデザインも、キャビンスペースの広さを強調しています。 ただし、実際の居住スペースは見た目ほど広くはなく、室内寸法は、長さ1775mm、幅1270mm、高さ1250mmとなっていて、全高1600mmの大きめのボディのわりにはセダンタイプ並みの寸法となってしまっています。 これは、安全性や走りを追求した結果ですし、シートに座ってみれば寸法から想像するよりもずっと広く感じますので、あまり寸法にこだわる必要はないと思います。 ただ、超ロングホイールベースとリヤミッドシップエンジンなどから、驚くほど広い室内になっていることを想像してしまうと、期待はずれになってしまう可能性があります。 確かに、ホイールベースは同社の小型車「コルト」より5cmも長い2550mmとなっていますし、リヤミッドシップエンジンはフロントのボンネットを短くできるため、室内空間の広さを期待してしまいますが、それよりも、走りの安定感やハンドリングなどのメリットが大きいと考えたほうが良いと思います。 リヤドアは卵形デザインを強調するような形になっていてデザイン優先に見えますが、ロングホイールベースのおかげで乗降性はとても良いです。
リヤフェンダーがそのままリヤバンパーと一体化しているデザインは、フロント同様に近未来的な印象です。 サイドのプレスラインがリヤ周りまですべてつながっていることも、一体感を強めている要素のひとつでしょう。 リヤコンビランプと一体化されたルーフスポイラーは全車標準装備で、ハイマウントストップランプも内蔵されています。 グレード構成は、ディスチャージヘッドランプやアルミホイールなどを装備する上級グレードの「G」、プライバシーガラスや電動格納式ドアミラーなどを装備する量販グレードの「M」、走りや安全性などに影響しない装備を省いた廉価グレードの「S」という3種類。 詳しい装備内容については後述しますが、「S」でもフルオートエアコンやキーレスエントリーなどの装備は揃っているので、質感などにこだわらないのであれば「S」でも十分だと思います。
リヤデザインは、フロントほどのインパクトはないものの、フェンダーの盛り上がりが強調されたバンパーやガラスの中からまっすぐ生えているリヤワイパーなど、この車ならではの雰囲気があります。 リヤにエンジンがあるため、バンパーの位置が高く、テールゲートはやや小さめになっていて、積載性の面ではリヤエンジンのデメリットが出てしまっていますが、それもデザイン面では斬新さにつながっていると思います。 ドアハンドルはナンバー上のガーニッシュの中に隠されており、マフラーも斜め下に向けて目立たないようにするなど、高品質な印象のエクステリアを目指しているのがよくわかります。 また、エンブレム(写真左上)はこの車のシルエットをイメージしたデザインとなっていて、所有する喜びも感じられます。 軽自動車の中ではもっとも太いリヤタイヤも、リヤビューのどっしり感をより強調しています。
次ページは、こだわりのエクステリアをもっと細かく見てみます。
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