(2009/8〜) 取材日:2009/8/18
DAIHATSU ミラココア
[エクステリア 外装パーツ インパネ・収納 シート周り 荷室・試乗レポ]
最近、軽自動車の高級化・高価格化が進んでいますが、その一方で、親しみやすさや運転のしやすさといった「軽自動車らしさ」を求めるニーズも根強く、特に軽自動車メーカーにとって女性ユーザーの支持を集めることは、販売シェアを伸ばす上で必須条件となっています。 そんな中、他メーカーの「ラパン」や「ライフ」といった女性に人気の車に対抗するために、ダイハツが新たに投入した車がこの「ミラ ココア」です。 この車は、広さや高級感を追求した車ではなく、新しい技術もほとんど採用されていませんが、素材や表面処理などに細部までこだわり、本当に落ち着く空間を実現しています。 ライバル車を徹底研究して、その良さを取り入れながら、さらにこの車だけが持つ独特の雰囲気を楽しめる車になっているのです。 では、そのこだわりの数々を、早速見ていくことにしましょう。 なお、掲載内容は取材日時点のものですので、購入を検討される場合は、各メーカーの公式サイトやカタログなどで最新の情報をご確認ください。
5ページ目に試乗レポートを追加しました!(2009/9/3)
さて、まずはフロントマスクです。 この車は、「ミラ ジーノ」の後継車種という位置づけになりますが、「ムーヴ ラテ」の後継車種となる「ムーヴ コンテ」がまったく違うイメージの車になってしまったため、現在「ムーヴ ラテ」に乗っている人にとっては、この「ミラ ココア」のほうがデザイン面では違和感なく乗り換えられるかもしれません。 「ミラ ジーノ」と「ムーヴ ラテ」の両方の雰囲気を併せ持っているようなフロントマスクなので、どちらのユーザーもこの車は乗り換えの対象になるでしょう。 ボンネットは水平に近く、やや長めですが、全高が1530mmとあまり高くないので、それほど大きくは見えません。 ライバルの「ラパン」の全高は1510mmですから、大きさはほぼ同じくらいですが、「ミラ ココア」のほうがフロント周りの丸みが強調されていてやさしい印象です。 フロントグリルとバンパーが完全に一体化されたデザインが、全体のやわらかいイメージに大きく貢献しています。 写真の車は、「プラスG」という最上級グレードで、シルバーリング付フォグランプやシルバーモールなどがプラスされ、かなり個性的な顔つきになっています。 また、ルーフレールも装備されているため、全高も1560mmと、ベースグレードと比べると30mm高くなっています。 「ミラ ココア」の最大の魅力は、なんといってもこの個性的なデザインなので、この車を選ぶなら、ノーマルグレードよりもこちらの「プラス」グレードがオススメです。 しかし、ディーラーオプションも数多く用意されていて、ヘッドライトやフロントグリルのモール、アンダーガーニッシュ、メッキモールなど、様々な表情にアレンジできるようになっていますので、あえてノーマルグレードを選んで自分好みに仕立てるというのも楽しいかもしれません。 ちなみに、メッキモールをフル装備すると、「ミラ ジーノ」に近いイメージになります。
フロントからでは、ずいぶん丸い車に見えますが、斜めから見ると水平基調のラインが強調されます。 フロントウインドウがかなり立っていて、ルーフがまっすぐに伸びているこのスタイルは、「ラパン」のイメージそのものですが、丸く大きくくりぬいたようなサイドウインドウのデザインは、「ムーヴ ラテ」のイメージです。 外観のデザインは、「ラパン」のボディに「ジーノ」と「ラテ」のデザインを貼り合わせたというとイメージしやすいかも(?) 全体的にはおとなしいイメージで、ショールームでも新型車だと気付かずに素通りする人が多かったのですが、気付いた人は気になって中を覗き込んだり何度も振り返ったりしていました。 「一見あまり目立たないけど、よく見てみるとどこか惹かれてしまう」という、そんな車なんです。
名前に「ミラ」がついていることからもわかるように、ベースは「ミラ」です。 外観寸法やホイールベースなどは「ミラ」と同じで、車重がやや重くなっていることを除けば、基本的な性能は「ミラ」と同等です。 しかし、水平に長く伸びたルーフのおかげで、ミラよりもずいぶん全長が長く見えます。 また、リヤクォーターウインドウが後ろまで回り込んでいるため、リヤピラーが無いように見えるのも特徴で、これは良好な視界確保にも貢献しています。 「ミラ ジーノ」と比べると、ルーフが長くなりましたし、ホイールベースが10cmも伸びているので、かなり胴長に見えますね。 リヤハッチが垂直に近くなったことで、後席の頭上空間にも余裕ができ、室内長も90mm長くなっています。 セダンタイプには珍しいルーフレールも、伸びやかさや独特の車格感に貢献していて、サイドビューはこれまでの軽自動車にはなかった雰囲気が漂っています。
こちらは、ノーマルグレードの「X」の写真です。 ルーフレールがないことなどによって、よりシンプルな印象になっていて、こちらは普通のセダンに近い感じがします。 立体駐車場を利用する際の目安になる全高1550mmを意識するのであれば、こちらのノーマルグレードを選んだほうが安心ですね。
斜め後方から見ると、大きなリヤクォーターウインドウが目立ちますね。 これは、リヤラウンドガラスと呼ばれ、バックドアにまで一部食い込んだようになっていて、できる限り斜め後方の視界を確保しようとしているのがわかります。 実は、中から見るとそれほど大きな窓ではないのですが、デザイン上のインパクトは大きいですね。 このリヤラウンドガラスは、「ミラ ジーノ」にはなかったもので、おそらく大きなリヤクォーターウインドウを採用した「ライフ」をお手本にしたものと思われます。 また、ライバルの「ラパン」はリヤピラーが太く、後方視界がやや犠牲になっているので、それに対するアドバンテージとして採用したという面もあるでしょう。 このアングルから見てもルーフレールの効果は大きく、数値的にもイメージ的にも、セダンよりもセミトールワゴンに分類したほうがいい気もします。 そういった意味では、スズキの「Kei」のように、どのジャンルにも属さない新ジャンルの軽自動車とも言えるかもしれません。
リヤビューは、まっすぐ斜めに下りてくるバックドアの雰囲気が独特です。 同じダイハツの「エッセ」の雰囲気に近いですが、もっと大きくてどこかクラシカルな印象です。 メーカーは、この車のデザインを「台形を基調に角を丸くしたデザイン」と表現していますが、バックドアの前に立ったときが一番それを感じられると思います。 全体的はあまり特徴のないデザインですが、ダイハツのエンブレムの部分が膨れているのが特徴で、これには理由があるのですが、それは次のページで詳しく説明します。 ボディカラーは、写真のココアベージュマイカメタリックのほかに、アイボリーやブルーやグリーンなど、ライバルの「ラパン」を意識したと思われるラインナップですが、レッドソリッドやガンメタが用意されているのが「ラパン」との大きな違いで、また、無難なシルバーの設定がないというのもこの車のボディカラーラインナップの特徴です。
こちらは、「X」のリヤビューです。 「プラスG」と比べると、ずいぶんシンプルですよね。 バンパーのシルバーモールやリヤワイパーがないだけで、ずいぶんすっきりした印象になっています。 この車は、最近の軽としては珍しく、「プラスG」以外の2WD車は全車リヤワイパーがオプションとなっています。 これは考え方次第だと思いますが、車のデザインにこだわる人の中には、リヤワイパーを邪魔な存在と考えている人も少なからずいますし、ほとんど使ったことがないという声もよく聞きます。 私も個人的には、オプション設定で問題ないんじゃないかと思います。
次のページでは、外装パーツをもっと細かく見ていきます。この車一番の注目の装備もありますよ!
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