HONDA ライフ
[外観デザイン 外装パーツ インパネ周り シート周り 荷室&試乗レポ]
新型「ライフ」で一番コストがかかっているのは、フロントシートかもしれません。 旧型よりも大型化されたベンチシートは、ミドルクラスのセダン並みのサイズというだけあって、本当にゆったりしています。 特に、お尻周りと腰周りの包まれ感は軽自動車のシートとは思えないほどに心地よいです。 また、座面も長く、太ももをしっかり支えてくれるので、長時間乗っても疲れにくいはずです。 サイドサポートもかなりしっかりしていますが、肩周りは比較的自由に動く感じです。 クッションの厚みも増したというだけあって、座り心地は本当にしっかりしています。 このシートに座るときは、ぜひ深く腰掛けてみてください。 包まれ感と腰周りのサポートなどが、他の軽のシートとは違うということがわかるはずです。 空間の余裕があることも心地よさを感じる要因のひとつです。 30mmアップして1315mmとなった室内高は、「ワゴンR」や「ムーヴ」よりも高く、頭上空間にはこぶし2つ分くらいの余裕がありますし、20mm拡大して1295mmとなった室内幅は「ワゴンR」と同じ数値で、横方向の余裕も十分に感じることができます。 シート生地は、ノーマルがブルー、パステルがブラウン、ディーバがダークグレーと、それぞれでカラーが異なります。 運転席ハイトアジャスターはパステルとディーバに標準装備、チルトステアリングはディーバに標準装備となっています。
センターアームレストは、幅は二人で使うにはやや狭い感じですが、高さがやや高めになっていて、一人で使うには非常に心地よいです。 収納ボックスはありませんが、そのぶんクッションが気持ちいいので、上質なシートと合わせて軽自動車らしくないゆったりした気分を味わえます。
リヤシートは、ずいぶん快適になりました。 まずは、大幅に厚みが増した座面クッションですが、非常に深く柔らかく体を受け止めてくれます。 座面の長さはそれほどありませんが、シートバックは見た目よりも高さがあり、リクライニングをうまく調節すればなかなか快適です。 また、空間の余裕も旧型より大幅に拡大しています。 頭上空間はこぶし1つ以上の余裕がありますし、ひざ周りも足を組めるほどの余裕があります。 フロントシートの肩周りがあまり大きくなく、また、シートバックが部分的に薄くなっているので、後席に座ったときに圧迫感がありません。 これで、「ライフ」も文句なしに「広い車」と言えるようになりました。 なぜここまで後席が快適になったのかというと、全高のアップやリヤサスペンションの形状変更などももちろんですが、一番の要素はシートアレンジを犠牲にして快適性を追求したことです。 旧型にあったチップアップシートや後席ダイブダウン機構をあっさり捨て、シートの座り心地と空間の確保を最優先して開発したから、快適性が飛躍的にアップしたのです。 実際、カタログにもシートアレンジの説明はほとんどなく、この車がシートアレンジを重視した車ではないことがわかります。 ホンダには、もうひとつ「ゼスト」というトールワゴンがあり、こちらは積載性の高さを売りにしているので、シートアレンジは「ゼスト」に任せ、「ライフ」は快適性の追求に徹することで、より魅力を高めたのだと思います。 リヤシートスライドもないし、助手席前倒しなどもできないし、カタログ上ではライバルと比べて魅力が薄いように思えてしまいますが、実際にシートに座ってみれば、それを犠牲にした意味がわかると思いますよ。
カタログには明記されていなかったので試してみたのですが、フルフラットはOKでした。 アームレスト部に隙間ができたり、フロントシートのサイドサポートが大きいためフラット感に欠けたりと、寝心地に関しては特筆するレベルではありませんが、少し工夫をすれば小休憩は可能でしょう。
フロントドアトリムは、質感もなかなかです。 ベージュにブラウンのパネルと生地を合わせたことで、落ち着いた印象になっています。 ドアアームレストが高めで、幅も広めなので、腕を置いたときにとても安定します。 さらに、肘が当たる部分をえぐっているため、腕が窮屈になりません。 ドアポケットは大きく開いていて、深さがあまりないので、よく考えて使う必要がありそうですが、掃除はしやすそうです。 フロントドアの上半分は2重シール構造になっていて、風切り音などにも配慮されています。 ディーバは、ドアトリムなどもすべてブラックとなります。
助手席のドアトリムには、コンビニフックも装備しています。 普通はインパネの下部などにフックを設置していることが多いのですが、助手席のドアトリムにある車はあまり見ません。 ここなら、自然な姿勢のまま使えるので便利ですね。 折りたたみ傘をかけたりとか、いろいろな使い方ができそうです。
リヤドアトリムも、ドアアームレストの幅がそれなりに確保されていますし、ブラウンのパネルと生地もちゃんと省略せずに使っていますので、質感はフロントと同等です。 しかし、デザインや使い勝手はフロントとは大きく異なり、非常にユニークなドアトリムとなっています。
リヤドアトリムのドリンクホルダーです。 一部にブラウンのクリアパネルを採用し、その脇にパワーウインドウスイッチを配置しています。 こんな光景は軽自動車では今まで見たことがないですね。 他車では、リヤのドリンクホルダーはドアポケットに内蔵しているケースが多く、やや使いにくい場合が多いのですが、この車はフロントと同じ感覚で使えますので、後席でも快適ですね。 また、壁面についたパワーウインドウスイッチというのは一般的に使いにくいものなのですが、この車の場合はドアアームレストに腕を置いたままで使える位置にあるため、それほど使いにくくはありません。 特に、ウインドウオープン時には、ドアアームレスト上にあるスイッチと同じような感覚で操作できます。 ただ、ウインドウクローズ時には、手のひらを返すように操作することになりますし、スイッチがややカタイので、クローズ時の操作性はよくないです。 ドアロックのノブも何やら変わった感じですし、とにかくこの車のリヤドアトリムはとてもユニークです。
これは、センターピラーグリップというもので、後席の乗降時に握ることでスムーズに乗り降りができるというものです。 1BOXやスライドドアの車ではよく見かけますが、ヒンジドアのトールワゴンでは珍しいですね。 かなりしっかりしたグリップで、確かに乗降時にはあると助かります。 後席に座ったときは目障りになるかと思いましたが、特に気になることはありませんでした。 ただ、センターピラーグリップがあることによって、ルーフのアシストグリップが省略されているため、走行中に体を安定させようとすると、このセンターピラーグリップを握るしかありません。 でも、このグリップは、座った状態で握るには少々位置が遠く、走行中のアシストグリップとしては使いにくいものです。 できれば、天井のアシストグリップも装備しておいて欲しかったですね。
最後は、荷室や後方視界などを中心に紹介します。
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