SUZUKI ラパン
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インパネのデザインは、一目でラパンとわかるものです。 平面的なカラーパネルにぶら下がるように配置されたエアコンパネルと、メーターやエアコン吹き出し口に設けられたシルバーリングなど、全体的なイメージはほとんどそのままという感じですが、シフトレバーがコラム式からインパネシフトに変更されたのが一番の違いです。 また、オーディオが完全に一体化されたデザインになったことや、「ラパン」の特徴であった引き出し式の小さなアクセサリーボックスが廃止されたことなど、実はいろいろな変更点があります。 写真では、カラーパネルの両端が丸くなったくらいの違いにしか見えないかもしれませんが、フロントガラスがさらに遠くなり、インパネの奥行きが若干大きくなったことなどによって、乗ったときの雰囲気は旧型とは少々違います。 ルーフの形状も変わり、中央が盛り上がった形状になっているため、頭上の広々感はやや薄らいだ感じがします。 数値上でも、室内高は旧型より40mm低い1215mmとなっています。 それでも、私の座高で頭上にコブシ1つ分くらいの余裕はあり、ルーフの絞込みもほとんどないので、「ラパン」らしさは失われていませんけどね。 もちろん、旧型より良くなった点もたくさんあります。 例えば、メーターが大型化され視認性が良くなったことや、フロントガラスが遠くなったことで斜め方向の視界が良くなったこと、それに、インパネシフトにより操作性がよくなったことなど、運転のしやすさという点では確実に進化しています。 「Lapin」のロゴが入った専用デザインのステアリングは質感も高いですし、一部グレードにサイド&カーテンエアバッグがオプション設定されたのも大きな進化です。 旧型は、設計が古いということもありますが、デザインを優先しすぎて快適性や利便性が損なわれている面があったので、新型はそこのバランスをうまく調整しています。 雰囲気を大切にしながらも、安心して快適に乗れる車であることが第一条件というコンセプトのようですね。
これも旧型からの大きな進化です。 新型は、全車にキーレスプッシュスタートシステムが標準装備されています。 ステアリングコラムにはキーを挿すところはなく、インパネに設置されたスタートボタンを押してエンジンをかけます。 もちろん、エンジンをストップするときもこのボタンを押すだけです。 つまり、車に乗り込むときから降りた後まで、キーを取り出す必要は一切ないのです。 例えば「ソニカ」のように、全車キーフリーシステムを標準装備している車は他にもあります。 しかし、プッシュスタートボタンまで全車標準装備となっている車は、私の記憶では軽ではこの車が初です。 これも、所有する悦びが感じられる部分ですね。
この丸型メーターは、「ラパン」の特徴のひとつですが、実はこのメーターも進化しています。 まず、ウインカーは、「ワゴンR」と同じ電子音に変更。 盤面発光タイプのアナログメーターという点は同じですが、文字盤が立体的になり、周りからも光が漏れるような凝った照明になったほか、目盛りの途中も白く発光して質感がかなりアップしています。 さらに、新型には大型の液晶マルチインフォメーションディスプレイを搭載しています。 ここには、写真のようにシフトインジケーターやエンジン回転数などのほか、様々な情報を表示することができるようになっています。
そのマルチインフォメーションディスプレイに表示されるものの一部を撮ってみました。 左上は、燃料残量が少なくなったときの表示で、警告音とともに文字で警告してくれるので、非常にわかりやすく、うっかり燃料切れになってしまう心配もありません。 右上は、リモコンキーを身につけて乗り込み、ブレーキを踏んだときの状態です。 エンジンスタートの準備が整うと、このように文字でスタートボタンを押すように促してくれます。 中段は、エンジンをスタートした直後のアニメーションです。 実際にはもう何コマかありますが、ウサギが餅つきをして「Hello!」と挨拶してくれます。 下段は、エンジンを切ったときのアニメーションです。 こちらももう何コマかあるのですが、「ラパン」から降りたウサギのイラストが表示され、フェードアウトしながら最後に「See You!」と挨拶してくれます。 このほかにも、カレンダー表示や各種警告など、非常にわかりやすく、そして楽しく表示してくれます。 これは本当に便利ですし、車と対話しているような気分になれて、車に乗るのが楽しくなります。
オーディオパネルは、インパネと完全に一体化されたデザインになりました。 デザインは「ラパン」専用のものですが、スイッチの配置は最近のスズキ車は基本的に同じになっているため、他車から乗り換えても操作に戸惑うことがないというのが親切ですね。 ハザードスイッチの位置も統一してあります。 ディスプレイの周りをブラウンのアクセントカラーで覆っているのがユニークですが、実は、新型「ラパン」には内装色が3色用意されていて、写真はブラウン内装のものです。 ボディカラーによっては、アイボリー内装となり、アクセントカラーがオレンジでインパネのカラーパネルやシートカラーもアイボリーになります。 また、ターボ車の場合はブラック内装となり、アクセントカラーやシートカラーがブラックでインパネのカラーパネルはシルバーになります。 こだわっているのは、デザインだけではありません。 「X」以上のグレードには、CDプレーヤー+6スピーカーが標準装備となり、純正にしてはなかなかいい音を聴かせてくれます。 オプションのUSB接続ユニットを装着すれば、iPodなどのデジタルプレーヤーも接続可能です。 ただちょっと残念なのは、旧型で採用されていたアナログ時計が、新型ではオーディオのデジタル時計に変わってしまったことです。 実用上は問題ないですが、軽では珍しい装備だっただけに、無くなってしまったのはちょっと残念です。
エアコンパネルは、インパネシフトが付いたので少し大きくなりました。 ターボ車は、液晶ディスプレイ付きのフルオートエアコンが装備されますが、NAエンジン車は、写真のとおりマニュアルエアコンとなります。 スイッチ類を少なくし、直感的にわかりやすい操作パネルとなっています。 レバー式の温度調節はちょっと古い感じもしますが、軽く動くので操作性には問題はないし、この車には意外に合っているようにも思えます。 ただ、快適性の面を考えると、フルオートエアコンを「X」にも採用して欲しかったですね。 シフトレバーは、CVTなので「D」レンジと「L」レンジしかありませんが、シフトノブにあるスイッチで「S」モードにすることもでき、きびきびとした走りにも対応します。 シフトノブとステアリングは抗菌処理を施してあります。
新型は、居住性や快適性の向上に力を入れています。 それがよくわかる装備のひとつが、このアッパーベントです。 これは、エアコンの風を後席まで効率よく届けるためのもので、「MRワゴン」にも採用されていますが、セダンタイプでここまでやるのは珍しいですね。 これを使えば、夏場でも後席の人が快適に過ごせますし、室内の温度をできるだけ均一にコントロールしたいというときにも役立ちます。 新型は、デザインだけじゃなく、快適性にも徹底してこだわっているというのがよくわかる部分ではないでしょうか。 ちなみに、フロントピラーのところに見える丸いものは、ツィーターです。
収納については、かなり改善されています。 旧型は、デザインを優先しすぎて十分な収納が確保されていなかったところがあり、使い勝手は必ずしも良くありませんでした。 そこで、新型は、旧型のイメージを残しながら十分な収納を確保し、使い勝手を大幅に向上させています。 まずは、旧型の特徴であったアクセサリーボックスを潔く廃止し、代わりにCD9枚が収納できる大容量のアッパーボックスを新設しました。 吹き出し口の下の少しのスペースも、携帯などが入れられる小物入れにするなど、最大限収納を確保する努力をしています。 また、ドリンクホルダーは引き出し式でエアコンの風を当てられる位置に設置。 センターパネル脇には回転格納式のショッピングフックも装備。 そして、グローブボックスは、ティッシュボックスをセットできる容量を確保し、車検証ホルダーも装備するなど、とにかく充実しています。 収納容量を大量に確保したおかげで、インパネにややボリュームが出て、少し室内に重々しさが出ていますが、使い勝手は格段に向上しています。
センターパネルの下にも、収納が2つもあります。 1つは、引き出し式のドリンクホルダーです。 ドリンクホルダーは運転席側にもありますので、前席用として3つも用意されていることになります。 2つあれば十分な気もしますが、2人で別々のものを飲みたいときと、2人で1つのものを飲み分けたいときとで使い分けができるので、これはこれで便利ですね。 ドリンクホルダーの下には、さらにアンダーポケットも装備されています。 旧型では、足元がかなりスカスカな感じでしたが、新型は、インパネシフトを採用したことと収納を増やしたことによって、足元のスペースが少し犠牲になっています。 普通に座っているときはまったく問題ないですが、サイドウォークスルー時は、旧型のほうがスムーズだったと感じます。 質感や使い勝手はアップしましたけどね。
こちらは運転席用のドリンクホルダー。 ステアリングコラムの下にも大型化されたアンダートレーがあります。
最近の軽自動車は、普通車からの乗り換えを意識しているのか、助手席の快適性に気を配ってくれる車が増えてきましたね。 この車も、例えば、グローブボックスのフタをえぐって助手席のひざ周りスペースに余裕を持たせたり、床に角度をつけて足を踏ん張れるようにしたりと、いろいろな工夫が見られます。 軽自動車は、スペースの都合上、運転席優先でデザインされる傾向があるのですが、最近は助手席も我慢せずに快適に乗れるようになってきたと思います。 室内幅は、旧型より15mm拡大しただけの1235mmで、最近の軽の中では決して広くはなく、実際に乗ってみても特に広くなったという印象はありませんが、前述のような細やかな配慮によって、快適性は確実にアップしています。 トールワゴンタイプばかりが注目されている中で、この時期にフルモデルチェンジをした意味は、本当の快適性は広さの追求だけで生まれるものではないということを、この車で訴えかけたかったということなのかもしれません。
次は、シート周りを中心に見ていきます。
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