SUZUKI ラパン
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外装パーツは、遊び心いっぱいです。 まずはこのヘッドライトですが、バルブを覆っているカバーに、なんとウサギマークがデザインされています(写真右上)。 正直なところ、これには気付かないユーザーもいるのではないかと思いますし、他の車からも見えるものではありません。 それでも、わかる人にわかってもらえばいいという、スズキのこだわりです。 大きなマルチリフレクター式のライトという点は旧型と同じですが、デザインはまったく別物で、ここだけ見ると旧型の面影はまったくありません。 ディスチャージヘッドランプは、「T Lパッケージ」のみに、オートライト、フォグランプ、イルミネーションスピーカーとセットで装備されます。
なんと、こだわりはリヤコンビランプにも及びます。 普通に見るとわからないですが、ブレーキランプが光ると、その中心にウサギマークが浮き出るのです(写真左上)。 これはフロントと違って後続の車からも見えますし、光ったときだけ見えるというのがオシャレですね。 逆に、自分ではなかなか見る機会がないというのが悲しいですが・・・。 それにしても、放射状に光るブレーキランプだけでも注目度は高いのに、ウサギマークまで光るとは、こんな車見たことないですね。 波紋のようにデザインされたウインカーやバックランプのレンズも斬新です。
ウサギマークは、フロントエンブレムにもあります。 旧型の場合はスズキのマークの中にウサギマークがデザインされていましたが、新型では四角いプレートにウサギマークが彫られていて、それがチェッカーデザインになっています。 わざわざスズキの車だと言わなくても、「ラパン」という車そのものがひとつのブランドとして認知されているという自信の表れでしょう。
小型化されたリヤエンブレムにも、旧型と同様にウサギマークが入っています。 この車を購入したら、ぜひ一度はウサギマークがいったい何個隠れているのか数えてみたいですね。 バックドアとバンパーのつながりがスムーズになり、バックドアハンドルのデザインも上質になっているため、リヤ周りは本当に上品になりました。
スズキは、最近になってグリップ式のドアハンドルの採用を増やしていますが、「ラパン」もついにグリップ式になりました。 このドアハンドルは、デザインも握り心地も使い勝手も最高です。 キーフリーシステムのリクエストスイッチや鍵穴もすべてドアハンドル上に埋め込んでいるため、普通車並みの質感です。 また、リクエストスイッチはドアハンドルを握ったまま親指で押せるため、操作がとてもスムーズというのも他メーカーと違うところ。 さらに、この車の場合はプレスライン上に位置を合わせているため、ドアハンドルが目立たず、握りやすさも抜群です。 高級輸入車のBMWが、このようにプレスラインとドアハンドルの高さを合わせたデザインをよく採用していますが、それと同じ感じでちょっとプレミアム感もあります。 ベースグレードの「G」でもちゃんとキーフリーシステムが標準装備というのがうれしいですね。 リモコンキーを身につけておけば、ドアロックの操作は、この黒いボタンを押すだけでOKですよ。
ドアミラーは、旧型よりもやや後方に位置を変え、斜め方向の視界を邪魔しないように配慮されています。 形も砲弾型にして空気抵抗を低減しています。 「X」以上にはターンランプも内蔵されますが、このターンランプのデザインも凝ってます。 さすがにここにはウサギマークはないみたいですが、普通の車とは全然違いますね。 言葉で説明するのは難しいのですが、とにかく一度実物を見てみてください。 ただ、ひとつ納得できないのは、ミラーの台座の部分がブラックになっていることです。 旧型ではちゃんとカラーだったのに、なぜ新型ではブラックになってしまったのかがわかりません。 窓枠の延長のように設置されている車の場合はブラックでも違和感がないですが、この車のようにドアパネルから生えている場合には、ちゃんとボディカラーと合わせた色にしないと違和感があります。 コストダウンではなく、意図的にやっているのだとは思いますが、私は気になります。 なお、「X」以上は電動格納式となっています。
「ラパン」の一番の特徴といえば、なんと言ってもこのフロントガラスですね。 傾斜が少なく、上下が狭いというだけでなく、ワイパー付近がブラックでなくカラーになっていて、フロントガラスからそのままボンネットにきれいに面がつながっているというのもポイント。 このデザインのおかげで、ワイパーの取り付け位置が高くなり、車内から見るとかなりワイパーが邪魔です。 でも、これでなきゃ「ラパン」じゃないんです。 全体的には現代的で洗練された車に進化しているけど、こういった部分にちょっとレトロな雰囲気を感じることができるから、やっぱり「ラパン」だなと思えるのです。 変えていいところと変えてはいけないところを、メーカーもしっかりわかっているなと思います。 こういった部分を守りながらも、エア導入口の形状を変えてそこにウインドウウォッシャーノズルを持ってくることで、質感を向上させているあたりは絶妙ですね。 ノズルが2つになり、ウインドウウォッシャーの跡が残る範囲も旧型より少なくなって、機能的にも向上しています。 ルーフのセンターアンテナも、旧型と同じ位置にしてイメージを守りながらも、デザインはより空気抵抗の少ないものに改良されています。
運転席からの眺めは、やっぱり「ラパン」ですね。 最近の車としては珍しくはっきり見えるボンネットと、はっきり見えるワイパー。 ワイパーは正直言って邪魔ですが、それもこの車だから愛嬌と言って許せます。 旧型よりも短くなったからか、少し角度が付いたのか、ボンネットの見え方が少し少なくなった気がするのですが、それにしてもやはり車両の動きがつかみやすく運転しやすいことに変わりはありません。 洗車した後に、ピカピカのボンネットを見ながら自己満足に浸って運転できるのもこの車ならではの楽しみです。
ずっとタイヤのサイズアップに消極的だったスズキですが、「ワゴンR」に続いてこの「ラパン」もついにサイズアップしました。 タイヤサイズは、全車155/65R14で、旧型よりも1インチ大きくなっています。 単にホイールが大きくなったというわけではなく、タイヤの外径そのものが大きくなっているのです。 これで「ミラ」などと同じサイズになったわけですが、おそらくスズキも今後のモデルはこのサイズに統一してくるはずなので、これが軽のスタンダードサイズとなっていくでしょう。 そうなれば、タイヤの価格も下がってくることが予想され、経済性の心配もだんだんなくなっていくでしょう。 アルミホイールのデザインが一新されたことも、車格アップに貢献しています。 スポークが太くなり、本数が減ってすっきりした上に、リムギリギリまでスポークが伸びているので、実際には1インチアップでも、視覚的には2インチくらいアップしたように見えます。 ホイールのデザインに関しても、やはりレトロ感が薄れ洗練されたイメージになっています。 こうやって見てみると、細かい部分までトータルバランスを考えてデザインしていることがわかりますね。 タイヤサイズのアップによって、少々軟弱だった走りもかなり改善されていますが、スタビライザーの装備がないことや、ターボ車にベンチレーテッドディスクブレーキが装備されないことなど、旧型より省略されている部分もあり、あくまでも街乗り重視の足回りであることには変わりありません。 EBD・ブレーキアシスト付ABSは、「G」の2WD/4AT車を除く全車に標準装備。 ホイールベースが延長された新プラットフォームと新開発のサスペンションなどにより、実際の走りはかなり変わっていますが、それについては最終ページ試乗レポートで詳しくお伝えします。
次は、旧型のイメージと新しいアイデアが混在するユニークなインテリアを見ていきましょう。
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