DAIHATSU アトレーワゴン
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1BOXのお楽しみといえば、やはりフルフラットシートです。 もちろん、この車もフルフラットにすることが可能で、前席シートバックと後席座面を段差なくつなげることができます。 また、フロントベンチシートと大型センターアームレストを採用したおかげで、まったく穴のない、完全なフルフラットが可能なのです。 これなら、どんな姿勢で寝ても、足がシフトレバーに当たったり、シートの間に物が落ちたりする心配もないですね。 凹凸の少ないシート形状で、クッションも柔らかいので、寝心地はなかなか良さそうですよ。 写真では運転席を倒していませんが、もちろん運転席も倒してフルフラットにできますので、ご安心を。
リヤシートを一番後ろにスライドさせた状態でのラゲッジスペースです。 リヤコンビランプをバンパーに移動したことで、開口部がギリギリまで広げられました。 積載性に関しては何も問題ないでしょう。 リヤシートを一番前に移動したのが写真右上です。 ちょっとわかりにくいと思いますが、シートを移動しても床にレールが残るため、実質的には床面積は広がりません。 もちろん、スライドすればシートバックが前に進むので積める荷物の量は増えますが、床面積を広げたいときには、シートを格納する必要があるでしょう。 もっとも、これだけの面積があれば、シートをスライドさせる必要はほとんどないかもしれませんけどね。
リヤシートを格納すると、こうなります。 広いですね、一人暮らし用の家具なら余裕で積めそうです。 リヤシートの格納方法は、シートバックを倒し、座面を床下に落とし込むという2段階で、ヘッドレストを外す必要がないので簡単です。 また、操作レバーも直感的にわかりやすい位置にあり、壁面にある操作説明を見なくても簡単に操作できます。 格納時は、荷室との段差が若干できますが、軽1BOXとしては平均的なレベルに収まっていて、特に問題となることはないでしょう。 うれしいのは、荷室カーペットとリヤシートバックカーペットに防汚・防水加工が施されていること。 1BOXは、アウトドアで使う人も多いでしょうから、こういった配慮はうれしいですね。 また、荷室内には、伸縮パイプなどを固定できるユースフルホールやフックなどを取り付けられるユースフルナットが合計16箇所も用意されていて、豊富なオプションを利用して荷室を様々な状態にアレンジできるようになっています。
写真の車は、リミテッドパック付きなので、荷室の照明がこのように蛍光灯になっています。 発光面積が広く、白く明るい蛍光灯は、夜間に車内でくつろぐときに重宝しそうです。 デザインも良く、ムラなく光る蛍光灯の灯りに照らされた車内は、まるでリビングルームにいるかのような雰囲気が味わえます。 リミテッドパック無しの場合は、ごく普通の電球の照明になります。 ちなみに、ルームミラーのつけ根にもルームランプを装備していますが、私の目が正しければ、フロントのルームランプは「エブリイワゴン」と同じ部品のようです。 新型「アトレーワゴン」は、価格の安さも魅力ですが、なるべく安い部品を探してコストダウンを図る努力をしたのだろうなと感じました。 高い天井に収納BOXなどがないのは少々もったいない気がしますが、ティッシュボックスなどが収納できるオーバーヘッドシェルフというオプションがしっかり用意されています。 便利そうなので、できれば標準装備してほしかったですね。
荷室の壁面には左右にポケットが用意されていますが、リミテッドパック付きの車には、写真のようにアクセサリーソケットが装備(右側のみ)されます。 軽でインパネ以外にアクセサリーソケットが付いている車は珍しく、これは便利ですね。 リミテッドパック付き車につく装備として、もう一つスライドドアイージークローザー(左側のみ)があります。 これは、スライドドアが半ドアの状態のときに、自動的に全閉状態にしてくれるというもの。 この車のスライドドアは操作が軽いので、それほど必要性は感じませんでしたが、動作が非常に静かで、半ドア状態から静かにゆっくり閉まる様子はとても上質でした。 イージークローザー+荷室蛍光灯+荷室アクセサリーソケット+CD/MDオーディオのセットで42,000円というリミテッドパック、なんだか微妙な価格設定で、付けるかどうか迷いそうですね。
さて、気になる走りのほうも、早速チェックしてきました。 試乗したのは、「カスタムターボRS」の2WD車です。 走り出してまず思うことは、視界がとても良いことです。 アイポイントが周りを走っているミニバンと比べてもとても高くて見晴らしが良いことに加えて、ワイパーが運転席からほとんど見えないので、とても気持ち良く運転できます。 気になる乗り心地は、とにかく柔らかいです。 シートもサポートがあまり強くなくゆったりとした座り心地なので、余計に柔らかく感じます。 まるで大きな船に乗ったようなゆったり感があり、軽自動車らしくない乗り心地に思えました。 こういったマッタリした感じが好きな人には、満足度の高い車でしょう。 路面からの突き上げも気持ち良く吸収してしまいます。 しかし、どうも前後にゆらゆらと揺れる感じがあり、それがちょっと気になりました。 他の軽1BOXでも同じような傾向を感じますが、この車は特に乗り心地が柔らかいために揺れがスッと収まらない感じがありました。 短距離では快適だと思いますが、長距離ではどうなのか気になるところです。 加速に関しては、970kgという車重はやはり重く、出足の鈍さを感じますが、一度スピードが乗ってしまえばかなりトルクフルで、ストレス無く加速してくれます。 軽1BOXはどれも車重が1トン前後ありますから、出足の遅さはやむを得ないですが、ATの変速がどうも思い通りになってくれずに違和感があったのも気になりました。 私のように、ある程度キビキビした走りを求める人の場合には、やはりMTの設定が欲しいところではないでしょうか。 エンジン自体はあまりターボを意識せずに自然に加速してくれ、トルクも十分でなかなか良いと思います。 ただ、フロントシートの下にエンジンがあるため、振動がお尻から伝わってくる感じがあり、また、音の発生源が近いので、エンジン音も気になります。 エンジン音は、音量の問題もありますが、低音・中音・高音と、いろんな騒音がするので、もう少し音質をチューニングできなかったものかと惜しい感じがしました。 リヤシートだともう少し気にならないのかもしれませんが、運転席で聴く限りでは、リヤシート下にエンジンを置く「バモス」のほうがエンジン音が気にならないように感じました。 1BOXは重心が高いのでカーブは得意ではありませんが、後輪駆動であることも影響しているのか、バランスの悪さは感じません。 最小回転半軽が大きくなったことも心配していたのですが、それを特に意識することはなく、スクエアボディのおかげもあって取り回しに苦労することはありませんでした。 ロードノイズや風切り音はほとんど気になりませんでしたが、それはエンジン音にかき消されていたのかもしれません。 エンジン位置の関係上、静粛性を上げるのは難しいかもしれませんが、もう少し音質のチューニングを行って、気持ち良いエンジン音にできれば、非常にゆったり快適に走れる車になったのにな・・・というのが正直な感想です。 それにしても、試乗車はボディカラーがピンクだったこともあり、対向車のドライバーはみんなジロジロ見てましたよ。 まあ、ほとんどの人が実車は初めて見るわけですし、ピンクの1BOXってあまり見ないですからね。 デザインも、今までの軽1BOXより1グレードアップしたような高級感がありますから、目立ちたい人にはかなりお勧めの車かもしれませんね。
この車は、外観のスポーティで高級なイメージとは裏腹に、インテリアはシンプルで機能的で、乗り心地はマッタリ快適という、なんとも不思議な車という印象を受けました。 でも、考えてみればそれはユーザーのニーズを率直に反映させた結果なのかもしれません。 外観はスポーティで高級感があって、でも使い勝手が良くて乗り心地も良くて価格が安い車・・・そんな欲張りなニーズを持っている人は少なくないのではないでしょうか。 豊富なラインナップを誇るダイハツだからこそ、こういった思いきったモデルチェンジができるのだと思います。 高級感のある外観と割安な価格設定というだけでも魅力のある車ですが、使い続けるうちに魅力が増してきそうな、そんな期待を抱かせる車だと感じました。 「1BOXは価格が高いし商用車っぽいイメージがあるから・・・」と思っていた人でも、この車は要チェックだと思いますよ。
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