(2003/11〜モデル) 取材日:2003/11/29
DAIHATSU タント
オープンスポーツカー「コペン」の発売や主力車種のモデルチェンジで波にのっているダイハツから、今までの常識を超えた広い室内を実現した新型車「タント」が発売されました。 徹底して使い勝手や快適性にこだわった注目の車です。 早速、その魅力をチェックしてみましょう。
8ページ以降に、2005年6月に追加された新シリーズ「タント カスタム」及び同時に行われた一部改良についての内容を追加しました。なお、初めてご覧になる方は、このままこのページから順番にご覧になることをお勧めします。
フロントは、親しみやすさを感じさせる穏やかな表情となっていて、1725mmという1BOXに迫る全高がありながら、威圧感がありません。 初代ムーヴに似た印象の、小さく横長のヘッドライトは、つり目を採用する車が多くなった今では逆に新鮮味を感じます。 前に立ってみると、とにかくフロントウィンドウが大きいこととボンネットが短いことに驚きます。 乗用車というよりは、電車やバスというイメージさえあります。 それでも、分厚いバンパーや効果的なプレスラインなどによって、安心感と安定感をうまく感じさせているところはさすがです。 一部グレードにはエアロパーツが装備され、さらに安定感のある引き締まった顔つきになります。 フォグランプはエアロパーツを装備するグレードのみに標準装備となりますが、オプションでディスチャージ式のフォグランプが装備できるのはうれしいですね。(10万円超と、ちょっとお高いですが・・・) ちなみに、ターボエンジン搭載車も用意されていますが、ボンネットエアインテークなどはなく、外観はNA車と同じです。
まさにバス感覚のフロントサイドビュー。 ギリギリまでスペース効率を高めるデザインであることがよくわかります。 普通、このようなデザインにすると、どうも商用車っぽいイメージになったりするのですが、この車はそれが感じられません。 その一つの要因として、フロント(A)ピラーのブラックアウトが効いているように思います。 BピラーやCピラーなどをブラックアウトしている車は多いですが、Aピラーをブラックアウトしている車は珍しく、それがどこかモダンなイメージをかもし出しています。 これは、大型のフロントクォーターウィンドウ(後述)の採用によりピラー周りのデザインがうるさくなるのを抑える工夫だと思います。 また、ドアパネルなどにも余分なプレスラインを入れずに、フロントからリアまで続く滑らかな面構成としているのも、シンプルでモダンなイメージを後押ししているでしょう。 だからこそ、フェンダー上部にある丸いプレスラインがアクセントとなって生きています。 単にスペース効率を追求しただけの車ではなく、デザインにもしっかりとしたこだわりが感じられるところが好印象です。
ルーフの長さは、もうほとんど1BOXに近いと言っていいくらいで、フロントエンジンではこれが限界と思えるほどキャビンスペースを前後ギリギリまで伸ばしています。 リア以外のピラーをすべてブラックアウトすることで、もともと大きなウィンドウ面積がさらに大きく見えます。(濃色車を除く) また、前後ドアの窓枠の隙間からボディ色が見えることがないよう、ボディ側のセンターピラーにも黒いシールを貼ってあるところなんか、かなりこだわっていると思います。 ここまでキャビンスペースが大きいと、さすがにカッコイイとは言い難いですが、逆にここまで思い切れるメーカーの技術力と度胸には感心します。 ホイールベースは2440mmと、軽の中では最大の数値。 それでも最小回転半径4.5mという、なかなかの小回り性能です。 室内が広いだけなら1BOXでもいいのではないかと思いますが、「室内が広く、ずいぶん大きく見えるボディなのに、普通のトールワゴンかそれ以上に運転しやすい」というのがこの車の良いところなのです。 それはまた少しずつ触れていくことにしましょう。
この角度では、リアバンパーとバックドアの段差がほとんどなく、本当にギリギリまで室内空間を広げていることがわかります。 リアウィンドウは、軽には珍しく左右がラウンドしたデザインで、これもまたモダンで高級感もあります。 ガラスの製造に関して私は詳しくありませんが、このようにラウンドしたガラスを造るのはそれなりにコストがかかるはずです。 そのリアウィンドウの丸みに合わせるかのように、バックドアにも微妙なふくらみを持たせ、やさしくかわいらしい雰囲気のリアビューになっています。 ちなみにこのバックドア、力を入れずに軽く閉めるだけで完全に閉まるようになっているそうです。 バックドアを閉めるときってけっこう力が入りますが、この車なら軽く閉めても半ドアにならないということで、これは女性の意見を開発に生かした結果なのだそうです。 実際に何度か閉めてみましたが個体差があるようで、ほぼ100%半ドアにならない車と、ときどき半ドアになる車がありました。 完全ではないにしても、そういったことにまで気を使ってくれていることはありがたいですね。
直線と丸がうまく融合した、なんとも親しみやすいリアビュー。 各部の隙間も少なく、面も非常にきれいで、高品位なイメージです。 スペース効率優先の車にありがちな素っ気ないデザインではなく、やさしくてボリュームのあるデザインになっているところが良いですね。 リアコンビランプは軽では珍しい横長タイプで、ヘッドライトとイメージを合わせています。 このあたりの演出のうまさは、あの「コペン」を世に送り出したダイハツならではといった感じですね。 この車のイメージ同様、グレード構成も非常にシンプルで、NAエンジンの「L」「X」「Xリミテッド」、ターボエンジンの「R」「RS」という5種類。 「Xリミテッド」と「RS」はエアロパーツやフォグランプなどが装備された豪華版で、「L」は一部装備を省いた廉価版といった感じですが、「L」でも十分すぎるほどの装備がついていて、この車の魅力はほとんど失われません。 それでいて、998,000円からという価格設定は、かなりお買い得と言えるでしょう。 全グレードで2WDまたは4WDが選択できますが、ミッションは4ATのみ(NAエンジンの4WD車は3AT)となります。
では、意外に凝っている外装パーツを少し細かく見てみましょう。
|