SUZUKI エブリイワゴン
[外観デザイン 外装パーツ インパネ周り シート周り 荷室&試乗レポ]
1BOXですから、当然シートはフルフラットになります。 室内長に余裕があるので、フロントシートのヘッドレストを外さなくてもフルフラットにできます。 ただ、ベンチシートを採用する「アトレーワゴン」と違い、フルフラットといっても凹凸はけっこうあります。 本格的に睡眠をとりたいなら、マットなどを敷く必要があるでしょう。 インテリアカラーが明るいので、とてものびのびとした気分になれますね。
リヤシートを一番後ろにスライドさせた状態でのラゲッジスペース。 リヤコンビランプが両脇にあるので、開口部の幅は若干狭いですが、完全にフラットな荷室なので使い勝手は良いでしょう。 荷室面積を広げたい場合には、リヤシートをスライドさせればさらに拡大することができます。 荷室までベージュで統一されているのは上質なイメージがありますが、汚れ物などを載せるにはちょっと心配ですので、汚れが気になる場合は、マットやカーペットなどを敷く必要があるかもしれません。
リヤシートを格納すると、このように広大な荷室を作ることが可能です。 リヤシートの格納方法は、シートバックを倒し、座面を床下に落とし込むという2段階で、ヘッドレストを外す必要がなく、簡単です。 ただ、スライドをうまく調整しないと格納できなかったので、少々慣れが必要かもしれません。 荷室との段差は、5cmくらいでしょうか。 乗用タイプの軽1BOXとしては、平均的なレベルだと思います。 写真ではわかりにくいですが、リヤシートを固定している中央のフックを、布で隠せるようになっているため、荷物に傷を付けたりする心配がありません。 見た目にもすっきりしますし、細かい部分まで気を使ってあるなと感心しました。
荷室の壁には、ポールを差し込める穴が左右上下合計で20個装備されていて、オプションのラゲッジバーなどを使えば荷室を様々にアレンジすることができるようになっています。 大きめのポケットも両サイドに装備され、収納スペースも充実しています。 右下に見える黒い丸は荷室用の電源ソケットで、アウトドアで活躍しそうです。 上部にある大きな張り出しは、リヤスピーカーで、かなり大きなものを装備しているようです。 軽1BOXでは、スペースの都合上リヤスピーカーを省略したり、サテライトスピーカーで対応したりするケースが多いのですが、この車はピラーの中に大きなスピーカーを埋め込むことで迫力のあるサウンドを実現しています。 実際にラジオの音を聴いてみましたが、広い室内空間を最大限利用した迫力のサウンドを奏でていました。 「バモス」のようにツィーターまで装備していたら、さらにメリハリと広がり感のあるサウンドが楽しめたでしょうね。
天井のデザインも非常にスッキリとなりました。 ルームランプはきれいにビルトインされ、オーバーヘッドコンソールも小型にはなりましたが、そのぶんきれいに収まっています。 軽1BOXでこういったところまで質感にこだわっている車はまだ少ないです。 ルームランプは後席頭上にも装備されていますが、こちらもキレイにビルトインされています。 運転席のサンバイザーにはバニティミラーを装備。 Aピラーには乗降グリップを設けていて、これ自体は珍しい装備ではないのですが、そのデザインがしっかりしていて、握り心地や質感がとてもよいのが印象的でした。 ここはずっと視界に入る部分なので、他メーカーも質感に気を使ってほしいですね。
さて、新型エブリイワゴンの一番の注目の装備といえば、やはりこれでしょう。 なんと、軽で初めて、電動スライドドアを採用しているのです。 運転席のスイッチ、キーレスのスイッチ、ドアのグリップという3種類の操作方法のどれかによって、自動でスライドドアを開閉することができます。 スイッチを押すと、「ピーピー」と音が鳴りながらゆっくりとドアが開閉します。 普通車では採用車種も増えてきましたが、こんなに早く軽に採用されるとは思ってなかったので、驚きです。 これなら、後ろに人を乗せたくなりますね。 この装備は、「PZターボ」は左のスライドドアのみで、「PZターボスペシャル」は左右両方のスライドドアに採用されています。 さらに、「PZターボスペシャル」には、乗り降りをアシストする電動オートステップまでも装備。 ここまでされると、もう軽だとは思えませんね。
エンジンは、3気筒DOHCインタークーラーターボ(64馬力、10.5kg・m)と3気筒DOHC(49馬力、6.3kg・m)の2種類で、どちらもオールアルミ製。 ターボエンジンは旧型よりも若干トルクがダウンしていますが、これはおそらく環境性能を優先させた結果でしょう。 車両重量は旧型よりも数十キロ重くなっていますが、カタログ上の燃費は旧型とほぼ同レベルとなっています。
試乗車が準備されたので、試乗もしてきました。 ただ、試乗車がノンターボの「JP」だったことや、試乗した日が雨天だったことなど、あまり良い条件ではなかったので、その点はあらかじめご了承ください。 エンジンをかけるとけっこう勇ましい音がしますが、暖機が終わって回転が落ち着いてくると、とても静かです。 930kgのボディにノンターボエンジンではどうしてもパワー不足で、アクセルを踏み込んで高回転まで回すことになり、加速時のエンジン音はかなり大きいです。 また、ノンターボ車は3ATとなっているので、その点も高回転を維持しなければいけない要因です。 しかし、音量は大きいのですが、音質が軽く、耳障りな雑音も少ないので、それほど不快感はありません。 また、巡航時にはセダンタイプと大差ないレベルのエンジン音で、床下にエンジンがあるわりには快適性は高いと思います。 ターボ車はもっと余裕が出るので、かなり快適性が高いのではないかと思います。 乗り心地は、とても柔らかいです。 歩道の段差をゆっくり降りると、ふんわりゆったり衝撃を吸収してくれます。 一般道でも、路面からの突き上げはほとんど気になりません。 しかし、荒れた路面では全体がゆらゆらと揺れる感じがあり、これはやはり軽1BOXの宿命なのかなと思ってしまいます。 カーブでも不安定なのかなと心配しましたが、意外にコシの強いサスペンションで、やや強引な左折やレーンチェンジをしても、不安感はありませんでした。 ターボ車と同じブレーキが装備されているため、ブレーキの効きは良いです。 当たりは柔らかいのですが、踏み込んでいくとグッと効いてくれますので、安心感はあります。 ただ、サスペンションが柔らかいので、ハードなブレーキングをするとフロントがグォーンと沈みます。 ロードノイズや風切り音はほとんど気にならないレベルだったのですが、これはおそらく雨天による走行ノイズにかき消されてしまった結果だと思います。 静粛性は高いほうだと思いましたが、機会があれば晴天の日にもう一度試乗してみたいですね。 Dピラーが太いので後方視界が悪いかと思いましたが、実際にバックしてみると特に気になりませんでした。 リヤウィンドウが横まで回り込んでいるのがよいのでしょう。 それでも不安な人は、オプションのバックアイカメラを装備すればOKですね。 運転してみて感じたのは、シフトレバーの位置がとてもよいことです。 体に近い位置にあり、アームレストに腕を置くと自然にグリップを握れる感じの位置関係になっているので、操作性が良いのです。 ただ、「JP」のマニュアルエアコンの風量スイッチを操作する際にシフトレバーが邪魔になりますので、この点は改善してほしい点です。 全体的に、当たりは柔らかいけど懐は深くコシがあるという印象の乗り心地で、快適性は高い車だと思います。 軽1BOXですから、どうしても不安定感やのんびり感はありますが、それでも、軽1BOXであることを理解して走ればストレスなく運転できると思います。
この車は、外観はシンプルに思えますが、インテリアや装備などに関しては質感に非常にこだわった車だと思います。 乗ってみると期待どおりの快適さを味わうことができたのですが、それにはベージュ基調の明るいインテリアによる視覚的な快適さも影響しているように思いました。 エンジン、ルーフ、ミッションなど、様々なバリエーションが用意されていて、基本性能を重視したグレードから豪華装備のグレードまで、どんなニーズにも応えられるラインナップとなっているのがこの車の良いところでもあります。 軽1BOXをファーストカーに使いたいとか、質感にこだわりたいという人には、お勧めの車だと思いますよ。
※no-name999さんのご好意により、ターボ車のユーザーレポートをリンクさせていただきました。ターボ車をご検討の方はぜひ参考にしてください↓ エブリィバンJOINターボ(2006年型)4ATのユーザーレポート
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