カーチェック

ここでは、毎回1車種をピックアップし、雑誌等ではあまり触れられていない
デザイン、質感、使い勝手にこだわって徹底的にチェックしていきます。

(2004/9〜モデル)
取材日:2004/9/13

SUZUKI アルト

[外観デザイン 外装パーツ インパネ周り シート周り 荷室]

 スズキのベーシックセダンである「アルト」が、6年ぶりにフルモデルチェンジしました。
 ライバルの「ミラ」に遅れること約2年、すっかり影が薄くなっていた「アルト」ですが、今回はデザインを大胆に変更しての登場となりました。
 旧型の面影はほとんどないように見えるこの車ですが、シンプルで親しみやすいという「アルト」らしさはしっかり受け継いでいるようです。
 早速、細かくチェックしてみましょう。

フロントフェイス フロントは、四角いライトに四角いルーフが特徴で、見方によっては少しクラシックな感じにも見えます。
 フロントグリルは通気性が悪そうなデザインですが、なかなかおしゃれだと思います。
 ボンネットからグリルそしてバンパーまで、段差なく滑らかにつながっていながら、ボンネットにはくっきりとしたプレスラインがあり、今までにない存在感があります。
 なんとなく外国車っぽくも見えますよね。
 フロントデザインに関しては、旧型までは非常に地味なイメージがあったのですが、ずいぶんハンサムになったと思います。
 しかし、ライトをつり目にしたりメッキグリルを入れたりといった派手な演出はなく、あくまで素直でおとなしい印象になっているところは、やはり「アルト」らしい部分ではないでしょうか。
 インパネ中央のエアコンの吹き出し口が飛び出ているのが外からも見えますね。
 これは新型アルトのインテリアの特徴的な部分の一つだと思いますが、外から見てもけっこう目立ちます。
 これがなんとなく車格を上げているというか、「どんなインテリアなんだろう?」と期待を持たせていると思いませんか?

斜めから 斜めから見ると、正面から見たときとは少し印象が違います。
 正面からは四角く見えるのに、横から見ると丸い部分も目立ちます。
 この直線と丸の両方を取り入れたデザインがエクステリアの最大の特徴で、直線で構成されたキャビンと円で構成されたボディをくっつけてしまった何ともユニークな手法です。
 このデザインコンセプトは、すぐ後に発売される小型車にも採用されていて、これからのスズキ車のデザインの特徴ということになるのかもしれません。
 この角度だとフロントの滑らかなラインがよくわかります。
 正面から見たときに、四角いのに威圧感がなくやさしく見えるのは、このフロントのデザインのおかげだと思います。
 空気抵抗も少ないでしょうし、なかなかスポーティな感じもします。

サイドビュー 横から見ると、まっすぐ伸びたルーフと丸まったボディのデザインがよくわかります。
 これは居住性の確保とかわいいデザインを両立させるためのアイデアでもあるのでしょう。
 旧型に比べるとフロントウィンドウが立ち、ボンネットも短くなっているので、ルーフがずいぶん長くなっています。
 単にルーフが長いというだけではなく、室内長も旧型より140mm長い1840mmとなっているので、居住性もずいぶんアップしました。
 スズキにはもう一つ「ラパン」というセダンがあり、こちらも直線基調のデザインでルーフを長くして広々感を出していますが、室内長・幅はこの「アルト」の方が上回ります。
 もう一つ目立つのが、大げさなほど大きなフェンダーの膨らみです。
 カタログ表紙のイラストでもそのフェンダーの形状が強調されているように、この車の大きな特徴の一つであることは間違いありません。
 リヤはその膨らみがそのままバンパーに続くデザインで、スバルの「R2」にも通じるイメージがあります。
 ただ、「アルト」の場合は居住性を優先させながらデザインにも遊び心を持たせているという点が「R2」と異なります。
 デザインも重視したいけど、実用性が損なわれては「アルト」ではなくなってしまうというところでしょうか。

斜め後ろ 斜め後ろから見ると、セダンというよりもセミトールワゴンに近くなったような印象です。
 「ワゴンR」の背を少し低くした車という感じに見えますね。
 単に四角くなったというだけではなく、全高も旧型より50mmアップの1500mmとなったので、やはり大きくなったように見えます。
 リヤバンパーの形は非常に特徴的で、シンプルでありながらキュートなイメージです。
 いろいろと飾り立ててかわいくした「ラパン」とはまた違ったアプローチです。
 ボディカラーは、香水をイメージしたというムスクブルーメタリックやココナッツベージュメタリックの他に、赤や白のソリッドカラーからミントグリーンなどのメタリックカラーまでバラエティ豊かな9色が用意されています。
 旧型にはなかったパールホワイトやブラックパールが新たに設定されているところを見ても、今度の「アルト」は単なるベーシックセダンという位置づけではなく、所有する喜びを味わえるプレミアムセダンを目指しているように思えます。
 グレードは、必要最低限の装備に絞ることで消費税込み70万円を切る価格を実現した廉価グレードの「E」、パワーウィンドウやキーレスなど日常でよく使う装備を充実させた「G」、電動格納式ドアミラーやスモークガラスなど快適装備をさらに充実させた「X」、そしてアルミホイールやフォグランプなどを装備した「Xセットオプション」という4種類。
 この「Xセットオプション」がなかなかおもしろくて、この車のおとなしい雰囲気には不似合いな(?)力強いデザインの14インチアルミホイールを装備し、Aピラーからリヤドアサッシュまですべてがブラックアウトされるので、イメージがガラリと変わります。
 以前は「アルト」と言えば「ワークス」というスポーティなモデルが人気だったわけですが、この「Xセットオプション」はそのスポーティモデルの復活を期待させるようなおもしろさがあります(外観だけですが・・・)。
 とりあえず発売時にはターボ車は設定されませんでしたが、この「Xセットオプション」の人気次第では後で走りを重視したグレードが登場する可能性はあります。
 それにしても、「Xセットオプション」というグレード名はどうにかならなかったのでしょうか・・・。

リアビュー リアビューは、本当にシンプル。
 バックドアの幅をぎりぎりまで広くするため、リヤコンビランプは縦長に配置。
 エンブレムは最低限にし、キーシリンダーも廃止。
 マフラーは下に向けてテールを斜めにカットし、後ろからはほとんど見えません。
 バンパーとバックドアの段差もなく、使い勝手の良さと高品位なデザインを両立させていて、好感度の高いリヤビューになっています。
 リヤで注目なのはデザインだけではなく、バックドアのタッチの良さです。
 バックドアハンドルを引くと、普通は「ボンッ」とロックが外れる大きな音がするものですが、この車は「カチリ」と非常に上品な音で、手に伝わる衝撃もほとんどないのです。
 軽でこれほどタッチの良いバックドアは初めてです。
 閉めるときも軽く静かに閉まりますし、これは車のイメージに大きく影響すると思います。
 買い物に行って荷物を積み下ろしするたびに、ちょっといい車に乗っているような気分にさせてくれるはずです。
 また、ライバルの「ミラ」はバックドアハンドルがなく、キーで開けるようになっているのでやや使いにくい面があるのですが、この車はキーを差し込む必要がないので、その点でも使いやすいです。

 では、もう少しエクステリアを詳しく見てみます。


   


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