SUZUKI Kei ワークス
インパネは、ステアリングホイールやメーターパネルのデザインを変更し、センターパネルをシルバー塗装にしてクールなイメージになっています。 あまり大きなイメージチェンジはしていませんが、ステアリングホイールのデザインは高級感がありますし、本革の手触りが最高に良いです。 エアコンはカテキン・エアフィルター付きになりさらに快適にになりましたが、操作パネルの質感がイマイチですね。(カテキンは緑茶に含まれる成分で、高い消臭効果があります) デビューしたころは液晶パネル付きのオートエアコンもあったのですが、最近は少し車格が落ちてきた気がします。 また、オーディオは装備されないので、これは別途出費が必要になります。(旧型ではCD/MD/カセットオーディオが標準装備でした)
メーターパネルは、奥行きを持たせたデザインのシルバーメーターで、レッドの指針がスポーティです。 最近はメーターにもこだわった軽が増えてきましたが、この車はごくシンプルで少々もの足りない気もしますが、走り優先という感じで、これも良いのかもしれません。
なんといっても一番の注目はこのシートでしょう。 レカロ社とKei専用に共同開発したこだわりのシートです。 レカロ社はドイツのシート専門メーカーで、その人間工学に基づいた快適性・安全性の高いシートは世界中で支持されています。 走り好きの人ならレカロを知らない人はいないというほど有名な、ある意味憧れのシートでもあるのです。 それを軽で標準装備してくれているのですから、これはかなり魅力です。 実際に座ってみると、単にスポーツ走行を重視したシートというわけではなく、座面はやわらかく左右のサポートはしっかりとしていて、非常に快適で安心感があります。 また、シートバックの高さが肩までしっかり確保されているので全身をシートに預けることができます。 これならスポーツ走行から長距離走行まですべてに満足できそうです。 普通、この手のシートだと乗り降りが大変だったりするのですが、このシートはそういった心配もありません。 ハイトアジャスター付きで座面の上下調整が可能なのもうれしいですね。 「軽のシートは小さくて・・・」という人でも、このシートならきっと満足できるはずです。 自分で買おうとすると20〜30万円ほどかかりますし、軽の狭い室内ではいろいろなところに干渉してしまうこともあるので、「専用設計で標準装備」というのは非常にうれしいです。
もう一つのウリが新たに採用したこの4輪ディスクブレーキ。 ディスクブレーキは放熱性が高いため、連続したブレーキングなどでもブレーキ性能が安定しているのが特徴です。 これを4輪に採用しているのは高性能車の証であり、軽では珍しいことです。 また、ホイールの隙間からチラッと見えるディスクがまた走り好きの人にとってはうれしいのです。 アルミホイールのデザインも細いスポークのデザインに変更されましたが、これはまさに4輪ディスクであることを見せ付けるための変更でしょう。 もちろん、軽量化の意味もあると思いますが、こういった演出が走り好きの人にはたまらないわけです。 また、5MT車にはLSDも標準装備され、まさに走りの装備は完璧といったところです。
ご存知の方も多いと思いますが、「ワークス」という名前は、以前アルトのスポーツモデルに採用されていたもので、その圧倒的な速さで走り好きの人の心をつかんでいました。 しかし、平成10年のモデルチェンジであまりにも個性が強すぎるスタイルが敬遠され、スポーツカー市場低迷のあおりも受け、結局販売伸び悩みによるモデル廃止に追い込まれたのです。 しかし、その「ワークス」という名は「速い軽」というイメージを今でも持ち続けていて、復活を望む声も少なくなかったのです。 そこで、実質的にアルトワークスの後継車とも言われている「Keiスポーツ」を改良し、「Keiワークス」として「ワークス」の名を復活させたというわけです。 スズキも「ワークス」の名にはプライドを持っているようで、「KeiWorks」というエンブレムをなんと4箇所につけてしまいました。 ちょっとやり過ぎのような気もしますが、最近他メーカーのスポーツモデルが好調なのを見て、黙っていられなくなったのでしょう。
個人的には、エンジンやサスペンションに手が加えられなかったことに不満も感じていますが、5MTのスポーツモデルが少なくなった今では、純粋に走りを楽しめる貴重な車だと言えるでしょう。 また、Keiは燃費や使い勝手も優れているので、日常の使用にも何ら不都合はありません。 今回の変更ではちょっと「間に合わせ」的な部分も見えなくはないですが、次のモデルチェンジではさらにスポーティに変身するのではないかという期待が持てる内容となっています。 これを機に、再びKeiが注目されるようになるとうれしいです。(個人的に) 普通車では「ゆとり」を重視した車ばかりが増えていますが、軽の場合はこういったスポーツモデルも数多く存在していて、その勢いもコペンの登場を機にさらに加速している気がします。 このように趣味性の高い車が次々と登場し、選ぶ楽しみが味わえるのも軽の良いところではないでしょうか。
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