HONDA ザッツ
ラゲッジスペースはかなり広いです。
リア席の足元スペースがそれほど広くないことからも、この車は２人＋荷物というシチュエーションを想定しているようですね。
ただし、開口部が少し狭く、タイヤハウスの出っ張りも大きいので、あまり幅の広いものは積めそうにないです。
ムーヴのようにリアシートのスライドができると便利なんですけどね。
大きな荷物を積む時には、このようにリアシートをたたんでしまうことでほぼフラットなスペースをつくることができます。
操作はピロー（枕）を外し、シートバックを倒し、ロックを外して足元にフォールダウンするという３段階なので少々面倒です。（ライフと同じです）
そのかわり、フロントシートのすぐ後ろまですべて床面となるので、無駄がありません。
せめて、ワゴンＲなどのようにピローを外さずに折りたためるようにしてもらえるとよかったですね。
なお、床面には若干の段差ができます。
再三紹介しているロング＆ワイドルーフは、明るいグレーのクロス張りで暗い内装色による圧迫感を和らげています。
ルームランプは高級車のように天井の中央にフラットに埋め込まれ、ルームミラーの付け根の処理も工夫してあるので、まったく軽という感じがしないほどの質感があります。
助手席のバニティミラーは標準装備で、非常に大きく使いやすい上にフタが上開きとなっていて、フタをいちいち閉めなくてもサンバイザーを収納すれば自動的にフタも閉まるようになっています。
フロントウィンドウがドライバーからかなり遠くにあり、頭上空間の広さや天井の質の高い処理のおかげもあって、とにかく大きな車に乗っているような感覚になります。
エンジンは、ライフと同じハイパー１２バルブエンジンのＮＡとインタークーラーターボ付きの２種類。
加速時の静粛性やスムーズさ、そして街乗りでの扱いやすさに定評があるエンジンですが、ＳＯＨＣであることとミッションが３ＡＴであることで、やはり高回転ではちょっと苦しいです。
４ＡＴ＆ＤＯＨＣ化を望むところです。
感心したのは、ボンネットフードの裏に遮音＆遮熱用のカバーがついていること。
これ、軽でついている車は今まで見たことありません。
これによってエンジンの熱によるボンネットの塗装劣化を多少は防いでくれます。
しかし、静粛性の向上については実感できませんでした。
この展示車にはオプションの１３インチアルミホイール（タイヤサイズは１５５／６５Ｒ１３）がついていました。
ＮＡ車は標準では１２インチ（同１４５／８０Ｒ１２）のプアなタイヤになってしまいます。
ホンダは昔からタイヤが小さいですが、他社では１５インチも採用されている時代に、１２インチはあんまりだと思うのですが・・・。
このアルミホイールのデザインはモーターショーのときのものをそのまま小さくしたデザインで、切削タイプのキレイなものです。
これが標準装備でないのが残念です。
＜ここからが試乗レポです＞
やっと試乗車が用意されましたので、試乗してきました。
今回試乗したのは、ザッツ（ＮＡ）のアルミホイール付きです。
まずは静粛性ですが、エンジンの音は全体的にシュルシュルと軽い音で心地よいのですが、発進時のドーっという低音と振動が気になりました。
これでも十分静かだとは思うのですが、最近の新型はどれも静粛性に気を使っているだけに、相対的にそう感じたのかもしれません。
また、全体的にフラットトルクで扱いやすいのですが、高回転の伸びがなく爽快感はあまり感じられません。
やはり４ＡＴ＆ＤＯＨＣの採用を検討すべきでしょうね。
ターボ車だとかなり改善されるのかもしれませんが・・・。
乗り心地に関してはさすがホンダという感じで、フワフワとした感じは無く、引き締まった足になっています。
通常の走行では路面の凹凸を気持ち良く吸収してくれ、カーブではしっかりと踏ん張ってくれる快適な乗り心地です。
ライフよりもさらに快適性が高くなっていて、これは「座面柔らかサポートしっかり」の優秀なシートのおかげでしょう。
今回試乗して一番魅力的に感じたのは「安心感」です。
フラットで快適な乗り心地や１ＢＯＸにも匹敵する頭上空間と長くて良く見えるボンネット、そして剛性感の高いボディ、それら全てが融合して軽らしくない安心感を感じることができるのは、この車ならではだと思います。
この車、最初はライフのデザインをちょっと変えただけの車だとあまり期待していなかったのですが、実車を見るとそのクオリティの高さに驚かされました。
基本的に新しいメカニズムは採用していませんが、まるで大きな車に乗っているかのような「安心感」が味わえるのがこの車の一番の魅力ではないかという感じがしました。
ザッツだけの特別な世界をぜひみなさんにも感じていただきたいです。
