DAIMLERCHRYSLER スマートK
このシートの出来がまたすばらしいです。 外国車だけあって非常に大きく、座高の高い私でも頭の上までしっかりサポートしてくれます。 強化スチール製となっていて、衝突時には変形することによって衝撃を吸収するようになっています。 よく見ると運転席の方が前に出ているのがわかります。 これは、別に助手席を下げているというわけではなくて、もともとこういう配置になっているのです。 こんなの国産車にはないですよね。 これは何のためかというと、横からの衝突時に人同士がぶつかるのを避けるためと、ドライバーの視界を助手席の人が妨げないようにするためなんです。 こんなところまで考えてあるなんてビックリです。 リアシートがないことをプラスに働かせていて、アイデアものです。
このシフトレバー、かわいいですね。 しかし、ただのオシャレなコミューターとあなどってはいけません。 実はこれ、6速マニュアルモード付きATなんです。 メーターのところで触れたように、車の指示に合わせてシフトチェンジすれば経済走行ができますし、自分の意思でシフトチェンジすればスポーツ走行も楽しめるのです。 なんと欲張りなんでしょう。 トルクコンバーターを使用していないということなので、CVT(無段階変速)式なのかと思いましたが、通常のATと同じように変速ショックはあるらしいです。
走りの話題が出たところで、気になるのがエンジンですよね。 この車はRR(リアエンジンリアドライブ)方式を採用していて、トランクルームの床をめくるとエンジンが出現します。 このエンジンがいいんですよ。 写真で見えるかどうかわかりませんが、ヘッドカバーにあのMercedes-Benzの文字が刻まれているんです。 わずか127万円でメルセデスベンツのエンジンに乗れるなんて信じられます? こんなところに隠しておくのはもったいないですね。
排気量は600ccで直列3気筒ターボ。 一見平凡ですが、なんと各シリンダーに2個ずつのプラグを配置して燃焼効率を上げたり、一時的にターボの過給圧を上げて滑らかな加速を得るオーバーブースト機能を採用したりと、非常に贅沢なエンジンなんです。 燃費もカタログ値で19km/lと軽の中でもトップクラス。 静粛性も高いらしいので試乗してみたかったのですが、この日は試乗車がありませんでした。残念です。 走りについてはオーナーレポを参考にしてくださいね。
最後にラゲッジルームのチェックもしておきましょう。 テールゲートは上下分割式を採用しています。 まずガラスのみを上に跳ね上げて、その後にゲート部分を下に下げます。 このタイプの利点は、なんといっても後ろにスペースがないときに、ガラスだけを開けて物を取り出すことが可能だということでしょう。 しかし、開閉が2段階で面倒だったり、手前に出てきたゲート部分が邪魔だったりといったマイナス面もありますので、購入を考える前に実際に操作してみた方がいいかもしれません。 ちなみに、荷物はけっこう積めますが、オイル交換のときなどは床をめくるので荷物を全部移動する必要があります。
右上枠の写真はテールゲートオープナーなんですが、これが実は電磁ロック式なんです。 なんと贅沢な! なんだか高級車に思えます。 本当に「軽であることを忘れさせてくれる」車です。
どうですか? デザインはオシャレで楽しいけれど、造りはまじめで合理的。安全性も妥協なし。 いかにも外国車らしいですね。 この車のライバルは当分登場しないでしょう。 すでに相当の人気を得ていますから、軽に占める「外国車」の割合がどのくらいになるのか、楽しみです。
この車の登場によって、軽のラインナップはますます充実しました。 来年、ダイハツからオープンスポーツカーが発売されれば、軽自動車もあらゆる要求に応えられるスマートな車として認知されていくのではないでしょうか。 国産車も大いに刺激されてもっと魅力的になっていくきっかけになるといいですね。
|