カーチェック アルトターボRS(HA36S)
(2015/3〜)
取材日:2015/3/30

SUZUKI アルトターボRS(HA36S)

 スズキから、かつての人気車種「アルトワークス」の後継車種となるスポーツモデル「アルトターボRS」が発売されました。
 ここでは、豊富な写真でこの車の魅力を紹介していきます。

 なお、装備内容などはグレードや年式により異なることがありますのでご了承ください。
 また、2015年より1ページにまとめて表示するレイアウトに変更しています(各画像をクリックすると拡大画像と説明が見れます。javascriptをonにしてお楽しみください)。

アルトターボRS エアロバンパーや専用ヘッドライトなどの採用により、ノーマルのアルトとは異なるイメージのフロントビュー。 アルトターボRS ベースのアルトが旧型の丸みをおびたスタイルから角張ったスタイルのデザインになったことで、エアロパーツもよく似合ってます。ボディカラーは、白赤黒の3種類のみ! アルトターボRS 15インチの専用アルミホイールやレッドのサイドデカールなどによって、いかにも走り重視というイメージに仕上がっています。 アルトターボRS 最近の車としては珍しくリヤコンビランプをバンパー埋め込みにしたことで、独特の存在感を放つリヤビュー
アルトターボRS ルーフとウインドウ下部にダブルでスポイラーが付くのも、アルトワークスを彷彿させる部分です。 アルトターボRS メッキの縁取りでより大きく見えるヘッドライトは、プロジェクター式のディスチャージヘッドランプを採用。 アルトターボRS リヤコンビランプは、最近はほとんどの車がLEDを採用していますが、この車は普通の電球式です。 アルトターボRS ウインドウ下部のスポイラーはメッキとなっていて、バックカメラもその中に埋め込まれます。
アルトターボRS 165/55R15というサイズは、他のワゴンタイプのスポーツモデルなどと同じ。アルミホイールは専用デザインでかっこいいです。 アルトターボRS チラッと見えるショックアブソーバーには、「KYB」のロゴが。走り好きにはたまりませんね。 アルトターボRS インパネデザインはノーマルのアルトと共通ですが、ブラックインテリアにレッドのアクセントが入り、スポーティかつ上質なイメージになっています。 アルトターボRS メーターは盤面発光タイプで、レッドの縁取りでスポーティな印象になっています。
アルトターボRS エアコンはプッシュタイプのオートエアコンを採用。インパネシフトで運転もしやすいです。ピアノブラックパネルとレッドステッチ入りのシフトブーツがかっこいいです。 アルトターボRS この車には通常のMT車の設定はなく、AGS(オートギヤシフト)という、2ペダルMTのみの設定となっています。AT免許で運転できますが、構造上はMT車であり、クラッチ操作を車が自動でやってくれるというものです。オートモードの他に、パドルシフトを使って自分でギヤチェンジするマニュアルモードも備えます。AT車の楽々運転とMT車のキビキビ運転の両方がこの1台で味わえるわけです。 アルトターボRS オートギヤシフトはオートマ免許で乗れますが、構造上はMT車なので坂道発進時などにはMT車同様の注意が必要で、サイドブレーキの使用などが必要となります。 アルトターボRS エンジンスタートはプッシュボタン式で、アイドリングストップOFFなどのスイッチもここにあります。
アルトターボRS インパネ下部には収納ボックスがあり、運転席シートヒーター用のスイッチもここにあります。 アルトターボRS フロント用のドリンクホルダーは座席の間にあり、やや使いにくいです。 アルトターボRS 後席用のドリンクホルダーも、足元にあるため使いにくいです。 アルトターボRS フロントドアトリムはオーソドックスなデザインですが、運転席と助手席でドアアームレストの長さが違うという、おもしろい仕様になっています。
アルトターボRS リヤドアトリムも非常にシンプル。ドアポケットもなく、必要最低限の機能とデザインといった感じです。 アルトターボRS 室内は決して広くはないですが、横方向に伸びた直線基調のデザインのおかげで、広々とした印象はあります。自動ブレーキや誤発進抑制などの安全装備も標準装備。 アルトターボRS フロントシートはホールド感を重視したもので、スポーツモデルらしい雰囲気。 アルトターボRS リヤシートはスライドやリクライニングがなく、座り心地も良いとは言えませんが、特に窮屈ということもなく、足元のスペースは余裕があります。
アルトターボRS バニティミラーは、照明はないですがサイズはやや大きめ。 アルトターボRS ルームランプはずっと昔から使っているデザインで質感は低いです。また、マップランプもありません。 アルトターボRS 荷室は狭いです。日常の買い物程度ならなんとかなるというレベル。ファーストカーとして使うには、収納スペースが不足するでしょう。

<試乗レポート>

アルトターボRSは、ベースはアルトですが、エンジンルームから足回りまで随所に専用設計品を使うこだわりのスポーティカーです。
 見た目が違うのはもちろんですが、その走りもベースのアルトとは当然異なります。
 専用に改良されたターボエンジンと670kgという超軽量ボディによる加速感は、シートに押し付けられるというほどではないものの、胸のすく思いどおりの加速が味わえるといった印象です。
 絶対的な速さという点では、驚くほどの加速感ではありませんが、CVT車の加速とは明らかに質が違い、エンジンの力がダイレクトに加速に反映され、回転数の上昇に伴って速度も増していくので、アクセルワークと車の動きとが常に一致していて安心感と楽しさがあります。
 このあたりは、機構的にはMT車と同じであるAGS(オートギヤシフト)ならではです。
 ただし、AGSは新開発だけあって、まだまだ熟成が必要といった感じ。
 減速時は比較的スムーズに変速してくれますが、加速時はシフトチェンジが遅く、変速ショックもかなり大きめです。
 自分でクラッチ操作をするMT車であれば、もっとスムーズでクイックな変速が可能なだけに、もどかしく感じますし、同乗者に不快感も与えるかもしれません。
 アルファロメオなどの2ペダルMTはかなりよくできていて楽しいですが、それを期待して乗るとがっかりしてしまいます(価格もノウハウの蓄積も違うので当たり前ですが・・・)。
 実は以前に軽でも2ペダルMTを採用している車(スマートK)があったのですが、その出来がかなりひどく、楽しさよりもストレスのほうが大きかった印象があります。
 それと比べればかなりマシだとは思いますが、まだまだ改良の余地があるなぁというのが正直な感想です。
 トランスミッションに関しては不満が大きかったのですが、それ以外についてはかなり好印象で、タワーバーなどの追加によるがっちりした剛性感、硬めのサスペンションながら軽量ボディのためフラットかつ軽快なフットワーク、意外に高い静粛性など、約130万円という価格でよくここまでやったなと思います(自動ブレーキやHIDなどの各種安全装備もすべて標準装備です)。
 見た目の存在感もありますし、ひとりで乗るぶんには気を遣わずに楽しく乗れる車だなと思いました。
 しかし、よくできた車であるだけに、AGSの出来だけが本当に惜しいという気がします。
 自分ひとりなら慣れでなんとかなるかもしれませんが、他人を乗せたときに違和感を持たれてしまいそうで、その点が気になります。
 しかし、そこをおもしろいと感じることができれば、非常にお買い得で楽しく愛着の沸く車となるかもしれません。
 軽自動車の高価格化が進む中で、安価で速いアルトターボRSの存在価値は大きいと思いますので、今後の改良に期待したいところです。


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