MITSUBISHI アイミーブ
三菱から、待望の量産型電気自動車「アイミーブ」が発表されました。
今までにも、各社から電気自動車が発売されたことはありましたが、一般の使用を前提としたものではなく、主に官公庁や企業などを対象としたもので、実質的には公道実験車に過ぎず、私たち一般ユーザーの使用を前提とした車ではありませんでした。 しかし、今回の「アイミーブ」は、ガソリンエンジンの軽自動車の代わりとしての一般使用を前提とした車であり、価格面やメンテナンス面での制約はあるものの、一般ユーザーが普通に買うことができる初の量産型電気自動車といえます。
この「アイミーブ」は、電力会社との共同研究なども進められていたので、すでに実際に目にしたことがある(または乗ったことがある)人もいるかもしれませんが、今回は市販モデルとしてLEDヘッドライトなどの先進装備を採用して正式デビューを果たしました。
正式デリバリーは7月から(個人ユーザーは2010年4月から)ということですので、イベントなどで見る機会はあっても、実際に走っている姿を見るのはまだ少し先になりそうですが、外観は既存軽自動車の「アイ」とほぼ同じで、前後のランプがLED化されているのが一番大きな違いです。 ハイブリッドカーのようにエンジンとモーターの両方を積んでいるわけではなく、電気のみで走る車なので、ガソリンの補給は必要ありません。 充電は、急速充電器なら約30分で80%まで完了するほか、AC100VやAC200Vでの充電も可能なので、自宅車庫保管中に一般のコンセントにつないで毎日充電するといった使い方が可能です。 1回の充電で走れる距離は、10・15モードで160kmとなっていて、実際の走行でもおそらく100km程度は連続走行が可能と思われますので、毎日の通勤や買い物に使っても困ることはないでしょう。
電気自動車は、排ガスを排出せず、騒音も少ないため、ガレージでの保管や夜間の出入りなども気を使うことがなく、また、低回転から力強い加速が得られるなど、非常にメリットの多い車です。 最高出力はガソリンエンジンのターボ車と同じ64馬力で、最大トルクはなんとターボエンジンの2倍という力強さです。 車両重量は2割程度増していますが、今までの軽自動車とはまったく違う加速感が得られ、静粛性の面でも今までの軽自動車の常識を覆すレベルになっています。
ところで、気になる価格ですが、なんと、4,599,000円という、軽自動車のボディとしては超高額の価格設定となっています。 もちろん、多額の研究開発費がかかっていますので、これは仕方のないことですが、経済産業省からの補助金を利用すれば、約320万円という現実的(?)な価格で購入することができます。 実際には、月々6万円程度のリース契約になるようですが、お金に余裕のある人なら、「ちょっと冒険してみようかな?」と思える金額ですよね。 メーカーは、将来的には200万円を切る価格で購入できるようにコストダウンを図る考えのようですが、そうなれば、ハイブリッドカーはさらなる値下げを迫られることになり、エコカーの値下げ競争が一気に加速することも考えられます。 「アイミーブ」は海外へも輸出されるようですし、世界中の自動車メーカーに大きな影響を与えることになるでしょう。
「アイ」が発売されたときには、その近未来的なフォルムに驚きましたが、この「アイミーブ」によって、中身がそのデザインに追いついた気がしますね。 なお、スバルも軽自動車の「ステラ」をベースとした電気自動車「プラグインステラ」をほぼ同時期に発売しました。 こちらも性能面では「アイミーブ」に近いレベルですが、価格は、4,725,000円と、やや高めで、販売方法などについても具体的なアナウンスがされていないため、一般ユーザーにより近い存在なのは「アイミーブ」ということになるでしょう。 いずれにしても、自動車の新しい未来に向けた大きな一歩となる量産電気自動車が、軽自動車をベースとして開発されたというのは、軽自動車ファンとしてはうれしいことですし、次世代動力源にも対応できるポテンシャルの高さを改めて証明したということになるでしょう。
なお、ブログで大量の写真と試乗レポートを紹介していますので、興味のある方はぜひこちらもご覧下さい。
今回の新型車のポイント
- 一般ユーザーの一般使用を前提とした量産電気自動車
- 軽自動車「アイ」をベースに、電気モーターと1速固定のトランスミッションを搭載
- 家庭用コンセントからの充電も可能
- 軽自動車初のLEDヘッドランプを採用
- 160km(10・15モード)の航続可能距離と、高出力(64馬力)高トルク(18.4kg・m)を実現
- 価格は約460万円(補助金活用で約320万円に!)
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