Q11.OEMって何ですか?
A.最近発売された新型車のスピアーノやモコといった車、どちらもスズキの車にそっくりですね。 それもそのはず、これらの車は「OEM車」といって基本部分はスズキが造った車なのです。
OEMとは、あるメーカーが他のメーカーのブランドで売られることを前提として製品を製造することをいいます。 ちょっとわかりにくいので、身近な例(?)で紹介します。
(例) 主婦であるA子さんは、夕食のおかずを買うのを忘れ、時間もないのでとっさの思いつきで買いだめしてあったレトルトカレーとお茶漬けを混ぜて「カレー茶漬け」を作りました。 すると、これが意外にも家族に好評で、こんなに手軽に喜んでもらえるなら、他のお友達にも教えてあげようと思いました。 そこで、日夜おいしい料理の研究に励んでいたB子さんに、カレー茶漬けを作ってあげました。 B子さんは、これにパセリをのせて「B子スペシャル」と名づけ、家族に食べさせたらこれがまた好評。 そこで、A子さんは毎日B子さんにカレー茶漬けをつくってあげるようになり、B子さんは材料費をA子さんに払い、パセリを添えて自分で考えた料理として家族に食べさせるようになりました。 A子さんにとっては大量仕入れで安く材料を仕入れることができ、また、自分の考えた料理を世の中に広めることができるメリットがあり、B子さんにとっては、自分で料理を考え出す手間を省きながら家族に喜んでもらえる料理が出せるというメリットがあるわけで、二人は今後もこの関係(OEM)を続けていくことにしたのでした・・・。
いったい何のホームページなのかわからなくなってしまいましたが、この話のA子さんがスズキというメーカーであり、B子さんがマツダや日産というメーカーに当たるわけで、この「カレー茶漬け」こそがOEM車となるわけです。
つまり、日産モコという車は、実はスズキが開発したMRワゴンという車の一部を変えて日産車らしく仕上げただけでの車で、基本的には同じ車ということなのです。 スズキにとっては日産の販売網を利用してスズキの車(見ためには日産車)をより大量に世に送り出すことができるメリットがあり、日産にとっては開発費をほとんどかけずに軽の市場に参入できるというメリットがあります。 マツダは、平成10年の新規格移行時からすべての軽自動車がスズキからのOEM車となりました。 マツダも厳しい経営環境の中で開発費を抑えながら既存軽ユーザーの買い替え需要に応えられるというメリットがあるわけです。
このような関係は軽に限ったことではなく、ダイハツからトヨタ、ホンダからいすゞなどにもOEM供給がされています。 一見バラバラに見える自動車メーカーも、それぞれの得意分野を活かしながら生き残りをかけた提携関係を結んでいます。 こういったことにも少し興味を持ってみるとなかなかおもしろいものですよ。
Q12.中古車に表示されている「記録簿」って何?
A.中古車の表示の見方についての質問ですね。 中古車をインターネットや雑誌などで探す場合、装備などの表示をきちんと理解していないとその車がどういう車なのかわかりませんね。
「記録簿」というのは、正式には点検整備記録簿というもので、保証書と一緒になっているケースが多いと思います。 新車を買ったときには、取扱説明書とともに車検証入れに入っているはずです。
この記録簿には、無料の1か月点検及び6か月点検、そしてその後の1年ごとの点検内容を記録できるようになっています。 つまり、記録簿はその車のカルテのようなものです。 ですから、記録簿があれば、その車がいつどこでどのような点検をし、どのような整備(部品交換など)をしたかがわかり、その車の使用状態をより詳しく知ることができるわけです。 中古車は新車と違って前オーナーの使い方によって車の状態が千差万別ですから、記録簿はその状態を判断するための重要な資料になります。
また、この記録簿がなければ新車からの保証期間がまだ残っていてもそれを継続することができないこともあります。 こういった理由から、記録簿つきの車は記録簿なしの車よりも安心して乗れるということで、高めの価格で取引される傾向にあります。 自分で整備ができる人であれば記録簿がなくてもある程度車の状態を判断することができますが、よくわからない人は記録簿をよく見て中古車を選んだほうが良いと思います。
本来は常に車に備え付けておくべきものですが、なぜか無くなっているケースもよくあります。 記録簿にしっかり記録が残っていて、取扱説明書とともにきちんと保管されている車は、前オーナーから大事にされていた可能性も高いですよね。 また、細かいことですが、取扱説明書をある程度読んだ形跡があるなら、前オーナーは正しい取り扱いを心がけていたのではないかと思えます。 説明書を読むということは、人任せにしておらず、少なくともその車に興味があったということですから、大事にされている可能性が高いと思います。
この他にも中古車を選ぶ時に注意する点は多々ありますが、また質問をいただいたときに具体的に説明することにします。 中古車選びは新車選び以上に難しいですから、日ごろから実車をよく見てまわって、目を肥やしておくことが大切です。
Q13.カタログにある10・15モード燃料消費率とは?
A.車を選ぶときはカタログなどで性能をチェックすると思いますが、その中でも特に気になるのが燃費ではないでしょうか。 カタログには10・15モード燃料消費率というふうに記載してありますね。 これって、どういう意味なのでしょう。
車の性能は、カタログの最後のほうのページに「主要諸元」という表で記載されているのが一般的です。 車の性能などを調べる時はここを見れば良いわけですが、燃費に関してはちょっと気を付けなければいけない点があります。 ここに記載されている燃費は、あくまで「国が定めた一定の条件で測定した場合にこの数値でしたよ」という数値なのです。 その「一定の条件」というのが10・15モードというわけです。
10・15モードとは、市街地走行を想定してアイドリング、加減速など組み合わせた10パターンと、都市高速などの高速走行を想定した15パターンと組み合わせた走行パターンです。 また、乗車人数は2名、エアコンはOFFの状態を条件としているそうです。 しかし、実際の走行では、道路状況、乗車人数、運転の仕方、メンテナンスの状態など様々な条件によって燃費は大きく変化します。 ですから、このカタログ記載の数値はあくまで目安であって、自分が使用する場合にこれだけの燃費が保証されるわけではないのです。
ほとんどの車では、実際に使用した場合の燃費はこのカタログ記載値よりも悪くなる傾向にあります。 もちろん、ずっと平地を60km/hで走りつづければこれよりも良くなりますが、現在の道路状況でいつもそのような状態で走ることはほぼ不可能ですね。 現実には信号待ちや渋滞など、燃費を悪化させる要因がたくさんあります。 軽自動車の場合は、この10・15モードのおおよそ6割から8割程度の燃費を想定しておくと、だいたい実際の燃費に近くなるようです。(もちろん目安です。使用状況によって大きく変化します)
実際の燃費が少しでもカタログ記載の燃費に近づくように、経済走行を心がけたいですね。
Q14.アーシングって何ですか?
A.最近噂になっていますね。 Web上だけでなく雑誌などでも頻繁に登場する「アーシング」という言葉、車好きならもう知っている人も多いと思いますが、あまり車に詳しくない人にとっては「何のこと?」という感じですよね。 詳しくはいろいろなところで解説されていますので、ごくごく簡単に解説します。
車を動かすためには、まずセルスターターでエンジンをかけますね。 その後スパークプラグで火花を散らしてエンジンを動かし、オーディオで音楽を聴き、夜になればライトを点けるわけですが、そのすべてに電気が使われています。 このように現在の車は電気に支配されていると言っても過言ではないのです。(いや、ちょっと過言かな?) とにかく、電気が車にとってとても重要なものであることは理解していただけると思います。
その電気はどのように供給されているのでしょう。 そう、ご存知のとおりバッテリーのプラス端子から出た電流が各部を通ってマイナス端子に戻ってくることによって供給されているのです。 ちょうど乾電池と同じです。
ここで、理科の実験を思い出してみてください。 銅線でつながった電球の銅線の両端を電池のプラスマイナスそれぞれにつなぐと電気がつきますね。 しかし、間に電気を通しにくいもの(抵抗)を入れると電気が暗くなりますよね。 実は、車のバッテリーの配線というのはこの抵抗を入れた状態となっているのです。 ですから、その抵抗(ボディパネルなど)の長さをなるべく短くして、電流の流れを良くしようというのがアーシングなのです。
具体的には、写真のようにエンジンルームの各部からバッテリーのマイナス端子に銅線(写真では青いコード)をつなぐことによってその効果を得ます。 この接続ポイントをどこにするかによって効果が大きく違ってくるので、それを自分なりに探すのもアーシングの楽しみの一つです。 効果としては、燃費の向上、ライトの光量増大、オーディオの音質改善、トルクアップなどさまざまなものが確認されています。 ただし、車種や接続ポイントなどによって効果はまちまちです。 また、作業には正しい電気の知識を必要とするので、素人が手を出すには危険な面もあります。 最近はボルト留めをするだけの簡単車種別キットも販売されていますが、定期的にボンネットを開けて点検するクセのついている人以外は、取りつけには慎重になったほうがいいと私は思います。 しかし、安く比較的簡単にさまざまな効果が期待できるということで、自分の車をチューンナップしたい人にとっては人気のチューニング方法となっています。
もっと詳しくしりたい方は、THAT'S MY ROADさんのアースチューニングの解説を参考にしてみてください。 とてもわかりやすく詳細に解説されています。
Q15.ボディコーティングについて教えて!
A.地球温暖化が進み、酸性雨、黄砂、強い紫外線などが深刻な問題となっていますね。 このような過酷な条件下でも新車のボディをいつまでも保つために有効なのがボディコーティングです。 最近はディーラーでもコーティングを積極的に勧めるようになりました。 しかし、その効果などがわかりにくいという人も多いようで、質問のメールなども多くいただきます。 そこで、ボディコーティングについて簡単に解説したいと思います。
まず、ボディコーティングには大きく分けて、1.専門業者によるコーティング、2.ディーラーで施工するコーティング、3.自分で施工するコーティング(DIY)の3種類があります。 ディーラーが専門業者に委託している場合もありますが、おおよそこの3つのパターンがあると考えていいと思います。 価格は一般的に専門業者>ディーラー>DIYとなりますが、仕上がりや持続効果も価格に比例します。 それぞれ具体的に説明しましょう。
専門業者によるコーティングは、文字どおり専門の会社が専門の技術者を使って専用のマシンで専用のコーティング剤を塗ってくれます。 作業は、マスキングテープなどによるマスキング(コーティング剤が窓枠などにつかないよう目隠しをすること)を施し、直射日光を遮る室内で行なわれます。 ですから、仕上がりの良さはピカイチで、小キズも見事に消えます。 完全に乾くまで1週間くらいかかるため、「できれば1週間預からせてほしい。そうすれば完全に乾くので水滴跡などもつかずに最高の仕上がりになる」とまで言う業者もあります。 専門業者の場合、とにかく仕上がりにこだわりを持っていて、保証期間(保証については後述)も3〜5年と長く、専用メンテナンス剤によるメンテや無料洗車などサービスも充実しているのが特徴です。 ただし、費用は3〜5万円程度用意しておく必要があります。
次に、ディーラーでのコーティングですが、これは、研修を受けたサービスマン(整備士)が専用マシンなどを使って施工するケースが多いようです。 人も設備も「専門」というわけではないため、専門業者に比べると仕上がりが劣るケースが多いようですが、そのぶん価格が安いですし、コーティングまですべて仕上がった状態で納車してもらえるというメリットがあります。 保証期間は1〜3年が一般的です。 価格は2〜3万円ですが、そのほとんどが人件費なので、契約時の最後の切り札として「ポリマーコートをサービスしてくれるなら契約します」と言えばほとんどの場合サービスしてもらえます。 「お金はかけたくないが、塗装は守りたい」という人は、これがオススメです。
最後にDIYですが、これはもう説明は要らないでしょう。 コーティング剤も数百円から様々なものが出ているので、自分の好みに合わせて選んでください。 注意点として、「○ヶ月持続」という表示をそのまま信用しないこと。 これはあくまで「シャワリングテストの結果によると」ということなので、特に屋外駐車の過酷な条件下ではこの半分くらいでコーティング効果が切れると考え、その前に再びコーティングしておくことをお勧めします。
業者やディーラーでコーティングしてもらうと、保証がついてきます。 この保証というのは、「保証期間内に光沢度(グロスチェッカーで定期的に検査を受けます)が一定値を下回ったら、無料で再コーティングします」というのが一般的。 その他にも、事故などで板金・塗装したときに、その部分だけをコーティングし直してくれる場合もあります。 このあたりはそれぞれの業者で違うので、しっかり確認しておきましょう。
「コーティングは新車時にしたほうが良いの?」という質問をよくいただきます。 結果から言うと、新車時にしておくべきです。 ある程度経過してからコーティングするとなると、汚れが付着した塗装面を磨き上げて新車の状態に戻し、その後にコーティングすることになるので、施工料が高くなる場合があります。 また、その場合は保証期間も短くなるか、無保証となるケースが多いようです。 コーティングには紫外線による色褪せを防止する効果もありますから、新車時にコーティングしておけば新車の塗装を長く維持できます。 保証期間が切れる前に再コーティング(コート・オン・コートといいます)をしておけば完璧でしょう。
Q16.軽自動車の維持費は安い?
A.「軽自動車って、どのくらい維持費が安いの?」というご質問が多いのですが、車の維持費というのは、車種、使用用途、使用環境などによって大きく変化しますので、一概に比較することはできません。 ですから、ここでは税金などの主な維持費について簡単に説明します。
まず、最も注目なのが自動車税です。 自動車税とは、毎年4月1日現在の所有者に課される税金で、軽乗用車の場合は7,200円(標準税率の場合)です。 ※2015年4月以降の新車は10,800円になります。 小型車で最も安い1000cc以下の場合でも29,500円ですから、その差は22,300円以上ということになります。 自動車税は毎年支払わなければいけませんので、その差は数年後にはかなりの額になります。排気量が大きければ差はさらに大きくなります。 ちなみに、正確には都道府県税である「自動車税」と市町村税である「軽自動車税」は別ものであり、月割納付の有無など、制度が一部異なります。
次に、車検の際に支払う重量税や自賠責保険料などですが、重量税=8,800円、自賠責保険料=22,540円となっており、1000ccクラス(1t以内)の車と比べると合計で21,490円安くなります。(2年分の金額。一部地域により異なります。) また、車を買う時に支払う自動車取得税の税率も、小型車の5%に対して軽自動車は3%と負担が軽くなっています。(環境対策による軽減措置などは考慮していません)
この他にも、高速・有料道路の通行料金が小型車より2〜5割程度割引されたり、自動車保険(任意保険)も一般的に安くなるなど、軽自動車は様々な面で優遇されています。 このような制度による優遇だけでなく、タイヤやバッテリーなどの消耗品も安い場合が多く、それらを総合的に考えると一般的に維持費の負担は軽いと言えます。
しかし、実際にどれだけ安くなるかというのは、それぞれのケースによって違ってきます。 例えば、自動車保険(任意保険)の保険料は、年齢、使用用途、保険会社など様々な条件によって大きく違いますし、タイヤなどの消耗品も、特殊なサイズや仕様のものを使っている車種の場合は、小型車よりも高くなる場合もあります。 また、高速道路をあまり使わない人にとっては通行料金の優遇はほとんど意味がありませんし、燃費に関しては小型車より劣る場合も多く、走行距離の多い人にとっては燃料代の負担が大きくなり、必ずしも「維持費が安い」とは言えない場合もあります。
軽自動車の魅力の一つに「維持費の安さ」があるのは事実ですが、軽自動車であっても車一台を所有することに変わりはありません。 それなりの出費は必要ですし、場合によっては小型車のほうが得な場合もあり得るということも考える必要があります。 軽自動車に「維持費の安さ」だけを期待すると、期待はずれになることもないとは言えないのです。
軽自動車の本当のメリットは、「小さいこと」だと私は思います。 小さいから、洗車がラク、狭い道での行き違いがラク、駐車がラクというふうに、精神的な負担が少ないのです。 それに加えて経済的な負担も少ない傾向があるから、軽自動車は魅力的なのだと思います。 軽自動車の購入を検討される際には、お財布への優しさだけでなく、ぜひ環境やドライバーへの優しさにも目を向けて欲しいと思います。
※税額・税率等は、2003年7月現在のものです。
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