2018年7月、20年ぶりにフルモデルチェンジした新型ジムニーは、すでにカタログが品切れになる店舗が続出しているほどの人気!
注目なのはデザインだけではなく、快適性の目覚ましい向上にもあるので、そこを体験すべく新型ジムニーに試乗してきました。
また、エンジンとタイヤサイズなどが異なる新型ジムニーシエラにも試乗してきたので、新型シエラとの比較も紹介したいと思います。
まず、ドアを開けて乗り込むときの床の高さ。
まさに本格オフロード4WD車の「ジムニー」だなと思わせるとともに、ドアを閉めたときの「ガチャリ」という重厚な音も他の軽自動車とはまったく違います。
そもそも、ラダーフレームという、他の軽自動車とは異なるボディ構造を採用しているので、軽自動車の中でもジムニーだけはまったく別物と考えたほうが正解です。
ラダーフレームを採用するのは、普通車でもランクルなど一部の本格オフロード4WD車だけ。
ボディサイズこそ軽自動車枠に収まっていますが、そのポテンシャルの高さは軽自動車の枠を超え世界に誇れる車なのです。
と、前置きはこのへんにして、早速試乗レポートです。
この車、今回のモデルチェンジでかなり無骨なデザインになったので、さぞかし乗り心地もワイルドなのだろうと思ったら、びっくりするほど快適です。
静粛性の高さは軽自動車の中でも飛び抜けていて、完全に普通車レベル。
ボンネットが長くエンジン音が車内に侵入しにくいことや、ラダーフレームが路面からの騒音を吸収してくれるのか、オフロード系のタイヤを履いているにもかかわらずロードノイズもとても静か。
正直、静粛性の高さだけでこの車を選ぶ意味があると思えるほどです。
ただ、重心が高く幅が狭いボディのため、横揺れはけっこうあります。
乗り心地がとても柔らかくサスペンションの動きが大きいため、ゆったり走っていると眠くなるような乗り心地ですが、これはオフロードを重視した設計のためであり、それを理解して乗ればただただ快適。
逆に、本格オフロード4WD車ということを意識せずに乗れば、「ずいぶん揺れる車だな」と思う人もいるかもしれません。
ジムニーのことをよく知っている人ならなんの問題もないところですが、ただデザインだけで選んだという人は、乗り心地に抵抗を感じる人もいるかもしれません。
いずれにしても、無骨な見た目からは想像できないほど街乗りではとても快適な車です。
ミッションがCVTでなく4ATであるところも気になる部分ですが、変速ショックはまったく気にならず、CVT特有の騒音もないのでとにかく静かで快適。
4ATであることで気になるのは燃費ぐらいでしょうか。
でも、燃費を気にして乗る車じゃないので、メーカーもそのへんはわかっていて、耐久性や信頼性などを重視して設計しています。
あえてエネチャージを採用していないのも、リチウムイオンバッテリーという余計なものを搭載しないためなのだとか。
燃費は正直悪いですが、その代わりにずーっと長く乗り続けられる車なので、トータルのコストで考えたらむしろ経済的と言える部分もあるかもしれません。
個人的にはパドルシフトがついているとありがたいかなと思いましたが、そういう人は5MTを買ってくださいということなのでしょう。
新型で一番気になるのは加速でしょうか。
乗り心地もそうなんですが、全体的に非常にまったりとしています。
旧型よりも少々重くなっていることもあり、ボディの重さを感じる場面はけっこうあります。
でもそこはジムニーだから許せるんですよね。
で、ジムニーで気になった点を一気に解消してくれるのが新型ジムニーシエラ。
こちらは同じボディに1.5Lエンジンを積んでいるので、ジムニーと比べると明らかに余裕があります。
ジムニーの試乗で気になったボディの重さはまったく感じることがなく、思った通りの加速をしてくれるという感じ。
また、オーバーフェンダーを装着してタイヤが太くなりトレッドも広がっているので、安定感も全然違います。
ジムニーで気になった横揺れがシエラには全然ないんです。
エンジン音もジムニーよりさらに小さくなるので車内が本当に静か。
普通に小声で会話できます。
残念ながら室内はジムニーと共通なので広くはならないし、車内から見る光景はまったく同じなのですが、快適性に関しては軽自動車と普通車の違いがはっきり感じられます。
維持費の差が気にならないなら絶対シエラのほうがおすすめだと思いました。
スズキには同じ価格帯にクロスビーもありますが、室内は軽自動車サイズでも車の魅力はシエラのほうが圧倒的に上だと感じます。
いま、総額200万円程度で買える車としては(広さやドア数など関係なければ)もっとも魅力的なんじゃないでしょうか。
ジムニーは、水平に伸びた長いボンネットを視界に入れながら運転するので運転しやすく、また、ボンネットも旧型よりフラットになったので、高いヒップポイントのおかげもあって非常に眺めがいいんです。
外から眺めても楽しい車ですが、ぜひ機会があれば試乗してみてほしいです。
いまは20年ぶりのモデルチェンジでデザインも高評価ということで非常に注目されていますが、おそらくこれから試乗や他の人に乗せてもらう機会が増えることで快適性の高さという点でも人気が出てくるでしょう。