MITSUBISHI タウンボックス
見てください、この明るくて高い天井。 リアシート座面から天井までの距離は1080mmと、軽1BOXで2番目の数値を誇ります。 この天井をフルフラットになったシートの上から眺めていると、何とも言えない開放感が味わえるのです。 これだけでも十分なのですが、さらにチルトアップ機構付きのガラスサンルーフまでオプションで用意されています。 なんと贅沢なのでしょう。 室内照明はフロントに2つとラゲッジに1つの合計3つ。 フロントは左右に独立していて使い勝手が良いですが、リアシート上に照明がないため、後席の人は暗いかもしれません。 フロントのレンズがスモークになっているのはちょっとしたこだわりですね。
ドアトリムはあまり質感は高くないですが、使い勝手はなかなかです。 ドアアームレストが大きく、高さもちょうど良いため、くつろげます。 それだけに、センターアームレストがないのは惜しいですね。 布は肌が直接触れる部分に最小限に貼ってあります。 スイッチやレバーなどの配置も問題ないですし、ドアポケットの多きさもそれなりにあります。 ドアアームレストに大きな穴があいているのは、取っ手の役目だけではなく、ドアポケットに入りきれないような大きな地図なども収納できるようにするための工夫です。 こんなところも実用的ですね。
ラゲッジスペースは文句なしです。 段差もなく、隅々までいっぱいに使えます。 リアコンビランプをバンパーに埋め込んだことで、バックドアの開口部は限界まで広げられていて、荷物の出し入れに邪魔になるものがまったくありません。 重く大きな荷物を積むときなどは、ちょっとした出っ張りでも案外気になることが多いので、これはうれしい配慮です。
リアシートをフォールダウンすれば、このとおりさらに荷室を拡大することができます。 リアシートは6:4に分割されているので、3名乗車+長尺物というケースにも対応します。 フォールダウンは2段階の操作が必要ですが、ヘッドレストは外さなくていいのでそれほど面倒ではありません。 シートバックと床面にはほんの数センチの段差ができますが、実用上は問題ないレベルでしょう。 シートアレンジもすべてのニーズに対応できる柔軟な設計です。
ラゲッジスペースを見ていたら、こんなものを発見しました。 下にあるものは収納ポケットで、なかなかの容量があり、これが左右両方についていますから重宝しそうです。 それにしても、この上のゴツゴツは何でしょう。 実はこれ、オプションの突っ張り棒を固定するところなんです。 突っ張り棒にネットをつけてカゴとして使ったり、道具を吊り下げたりと、ラゲッジルームを多様に活用することが可能になっているわけです。 ここまでやるとは恐れ入りましたね。 この車、人を乗せたくなる、荷物を載せたくなる、遠くへ出かけたくなる・・・そんな気にさせてくれる車ですね。
今回は残念ながら試乗車がなかったので、一応エンジンのスペックだけ紹介しておきます。 エンジンラインナップは、3気筒SOHCエンジン(48馬力)と、同ターボエンジン(64馬力)の2種類。 ターボエンジンは最大トルクは控えめですが、低回転でも扱いやすいように設計されているようです。 しかし、燃費はカタログ値で14.2km/L(RX、2WD、4AT)と、比較的燃費の悪い1BOXの中でも、最も悪い数値。 実用燃費がどうかはわかりませんが、これはもう少し改善の余地がありそうです。 NAエンジンは性能は平均的ですが、やはり燃費は15.0km/L(LX、2WD、4AT)と、ライバル中もっとも悪くなっています。 車両重量は平均的なレベルなので、エンジン性能の向上が今後の課題ではないでしょうか。
いかがでしたか? あまり派手さはありませんが、使う人のことを考えた実用性の高い車だということがおわかりいただけたのではないかと思います。 私もこの車をここまで細かくチェックしたのは初めてだったのですが、なるほど日産がこの車(実際には商用タイプの「ミニキャブ」)に興味を示すのもわかるなという気がしました。 明るく開放的なインテリア、機能性重視のデザイン、人と荷物を載せることに徹底してこだわっている部分など、外から見ただけではわからない魅力がたくさん詰まっている車だと思いました。 最近はトールワゴンタイプなどに押され気味で影が薄くなった感じのする軽1BOXですが、他のタイプでは味わえない実用性の高さとリラックス感は、やはり1BOXならではです。 最も1BOXらしい1BOXとも言えるタウンボックス、軽の可能性を示す1台と言えると思います。
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