SUZUKI ラパン X
天井はスズキ車共通の明るいグレー色の全面クロス張りで、上質感と開放感があります。 また、形状もより立体的になりさらに質感を向上させています。 さらに、頭上空間はMRワゴン以上で、フロントウィンドウが遠くにあることと併せて圧迫感をまったく感じさせません。 上部を絞ったデザインのMRワゴンに比べてルーフの幅は明らかに広く、実際に乗り比べてみるとMRワゴンの頭上空間が(視覚的に)窮屈に思えるほどです。 運転席には大型のバニティミラーが装備され、そのフタはチケットホルダーになっているという無駄の無さ。 そしてフタは上開きなのでサンバイザーを収納すればフタも自動的に閉まるという親切設計。
幅の広いルーフの実用スペースをさらに広げるために、アシストグリップは回転収納式を採用しています。 これによってリアシートに座っても目の前に突起物がまったくなく、絶対的な広さに加えて視覚的な広さも感じさせます。 また、一体成形でネジなどもまったく見えないので見た目の質感も高く、手を離すとゆっくりと収納される様子はまるで高級車に乗っているかのような気分にさせてくれます。
セダンタイプながらフルフラットが可能なのも魅力です。 リアシートのリクライニングも使えば、このように仮眠するには十分なスペースを生むことができます。 全席ともクッションが柔らかいので、気持ちいいでしょうね。(さすがにここで実際に寝てみることまではできませんでした・・・)
ラゲッジスペースはなかなかの広さを確保していて、まず困ることはないと思います。 もちろんシートバックを倒せば荷室を広げることができるわけですが、その操作がたった一つでできるのが魅力です。 左右一体型のシートバックと片側だけで操作可能なレバーのおかげで、レバーを引くだけで簡単に写真上部のような状態にできるのです。 最近は荷室を平らにするためにピロー(枕)を外して、シートバックを倒して、さらに座面をフォールダウンするといった操作を左右ともやらなければいけないような車も多いですが、実際の場面では、簡単にそれなりのスペースを作れることのほうがずっとありがたいような気もしますよね。
13インチのアルミホイールは専用デザインで、高級感とレトロ感をうまく融合させています。 エンジンはDOHC12バルブVVTエンジンの1種類のみ。 燃費はカタログ値で19.0km/Lとなかなかの低燃費。 このエンジンがとてもスムーズで4ATとの相性もよく、低速から高速まで自然なトルク感と伸びがあります。 上り坂でも踏み込んでいけばグングン登ってくれますので、スポーツ走行を目的とする人以外は不満を感じることはまずないと思います。 乗り心地は、今までのゴツゴツ感があるスズキ車とはちょっと違って柔らかくしっとりとした印象で、路面の凸凹も気持ち良く吸収してくれます。 カーブでのロールはそれなりにありますが、フワフワした感じではないので不快感はなかったです。 信号待ちでの振動も今までのスズキ車よりはかなり抑えられているように感じました。 サスペンションのセッティングも良いのでしょうが、やはりシートの造りの良さが効いているように思えました。 見た目にはかわいい車ですが走り出すととにかく上質で快適な乗り心地で、車内の静かさも手伝って、隣に乗っていた営業マンとの話も思わずはずんでしまいました。 軽最小クラスの小回り性能とよく見えるボンネットのおかげで運転のしやすさも抜群でしたよ。
いかがでしょうか。 すでに女性に大人気のようですが、男性が乗っても楽しめるし、ファーストカーとしても十分使える車だという印象を受けました。 この大きさで1,068,000円(今回取材したXグレードの2WDの基本価格)という価格がちょっと引っかかるかもしれませんが、一度見て乗って造りの良さを実感すれば、決して高くはないと思うはずです。 おそらく、この車がスズキが考える「これからの軽のスタンダード」なのでしょう。 ダイハツの猛追を受け、スズキも本気になって軽の魅力アップを図ろうとしているという意気込みをひしひしと感じました。 これからの軽がますます楽しみになってきましたね。
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