DAIHATSU タントエグゼ
G [外観 外装パーツ インパネ周り シート周り 荷室&試乗レポ]
カスタムRS [外観 外装パーツ インパネ周り シート周り 荷室ほか]
この車のシートは、グラマラスコンフォートシートと名付けられています。 最近はトールワゴンといえばベンチシートが当たり前になってきていますが、この車はあえてセパレートシートを採用することで、ホールド感やプレミアム感を強調しています。 といっても、スポーツタイプの車ではないので、それほど窮屈なホールド感を持たせたシートではありません。 「タント」と比べて明らかに大きなサイズのフロントシートは、シートバックの高さも普通車並みで、腰周りと太もも周りをゆったり包み込む感じです。 余裕のサイズと厚みのあるヘッドレストなどによって、見た目にも非常に上質です。 デザイン面では、座面がゆるやかにラウンドしているのが特徴で、シート生地も立体感のあるものなので、今までの軽自動車とはまったく違う優雅な雰囲気が漂っています。 座り心地も、当たりは柔らかくフワっとしていますが、必要以上に体が沈み込むこともないしっかりした感じのクッションで、とても快適です。
センターアームレストは、収納もなく幅もあまり広くありません。 長さもあまりないので、腕を置くというよりは肘をかけるといった感じの使い方になりますが、肌触りはとてもよいので、使い心地はなかなかよいです。 ドアアームレストとの高さも揃っていて、快適性は高いです。 ただし、「G」と「S」しか装備されないというのがちょっと残念ですね。
この車のインテリアで独特の雰囲気を演出しているもののひとつが、このセンターフロアコンソールです。 スイッチのデザインにまでこだわったこのフロアコンソールは、両脇にイルミネーションを内蔵し、今までにない新しい高級感を演出しています。 これはセパレートシートを採用したことによって実現できたもので、ベンチシートを採用している他車ではなかなか真似ができないものです。 写真ではわかりにくいかもしれませんが、この雰囲気は本当に独特です。 ただし、これも「G」と「S」以外のグレードには装備されませんので、廉価グレードでは「タントエグゼ」らしさをあまり感じることができないのが残念です。
フロアコンソールは、単に高級感の演出のためだけにあるわけではなく、ちゃんと収納ボックスになっています。 コンソールの前部を押すとボックスが開き、筆記用具などを収納することができます。 イルミネーションは、標準ではブルー(写真右下)ですが、オプションで様々な色に変化させることも可能となっています。 このイルミネーションは、常時点灯させたりドア開閉に連動させたりと、スイッチ操作によっていろいろと設定できるようになっています。
センターコンソールは後ろまでずっと続いていて、細かく分かれたトレイになっています。 一番前の小さいトレイには携帯電話などが収納できそうですし、その後ろにはCDなどが収納できます。 この車は大きな収納はあまりないものの、ドライバーの手の届く範囲に細かくたくさんの収納が用意されているので、小物をすっきり整理して収納するのにはとても便利ですね。
そしてもうひとつの注目の装備が、このオーバーヘッドコンソールです。 ルームミラー部からルーフ中央までの大型サイズで、なんといってもそのデザインが今までの軽自動車では考えられなかった上質なものなのです。 「ムーヴ」にも同じようなオーバーヘッドコンソールが採用されていますが、それよりもさらに高級なデザインです。 非常に滑らかなデザインのこのコンソールボックスは、イルミネーションを両脇に内蔵し、グロスブラックパネルも採用するなど、徹底して高級感を追求したもので、天井を見上げていると軽自動車であることをすっかり忘れてしまいます。 しかも、よく見れば実に多くの部品が使われていて、ほぼすべてが新たに設計されたものです。 さすがにこれだけコストをかければ、それに見合った高級感も得られるというものです。 特に、後席に座ったときの光景は感動モノです。
マップランプもオーバーヘッドコンソールにきれいに埋め込まれています。 スイッチも上質なデザインに改良されてますね。 マップランプから後端のルームランプまで、実に滑らかに一体感のあるデザインにまとまっています。
もちろん、このオーバーヘッドコンソールも飾りではなくちゃんと収納になっていますよ。 初代「タントカスタム」のような大型のものではありませんが、サングラスホルダーなどとして使えるくらいのサイズは確保されています。
さて、この車の特等席が、このリヤシートです。 「タント」や「ムーヴ」などのリヤシートも広さの面では特等席と言えますが、座り心地やそこからの眺めなどをトータルで考えると、現時点ではこれがもっとも贅沢なリヤシートと言えます。 なにが贅沢かというと、まずはその形状です。 軽自動車のリヤシートは、シートアレンジを優先するために平坦な形状になっているのが常識でしたが、この車はなんとセパレートタイプのシートを採用しているのです。 左右のシートバックを完全に独立させた形状とし、サイドサポートをしっかりさせることで、前席と同等の座り心地を実現しています。 特に腰周りのサイドサポートがしっかりしているので、車が左右に揺れても体が安定しています。 軽自動車はもともと4人乗りですから、こういったシートがあっても不思議ではなかったのですが、ここまで後席の乗り心地を本気で考えた軽自動車は今まで無かったのです。 そして、実際の座り心地とともに、そのデザインも大きなインパクトがあります。 座面がふくらはぎまでサポートするような形状になっていて、まるでオットマン付きのシートであるかのような印象になっています。 高級ミニバンの2列目のキャプテンシートのような、そんな高級感が漂っているのです。 実際、深く腰掛けてバックドアぎりぎりまでリクライニングすると、きちんとふくらはぎまで支えてくれるので、固定式オットマン付きのシートと言ってもいいですね。 この贅沢なリヤシートこそ、「タントエグゼ」の価値そのものと言っても過言ではありません。
リヤシートは、255mmの超ロングスライドも可能となっています。 この写真は、シートを一番前にスライドさせた状態です。 上の写真と比べると、どれだけすごいスライド量かがよくわかると思います。 フロアも段差のないフラットな状態になっているので、少々前にスライドさせても足元は広々としています。 もちろん、一番後ろにスライドさせれば余裕で足が組めるほどの大空間ですから、大型ミニバンの2列目シートに乗り慣れた人でもきっと満足できるはずです。 座り心地も、「ムーヴ」などのリヤシートのようにドスンと硬い感じではなく、フロント同様に柔らかしっかりの上質なクッションですから、長時間座っていても疲れないでしょう。 ただ、スライドが左右一体型になっている点はちょっと惜しいですね。 ライバルの「パレット」はスライド量は少ないものの左右独立スライドとなっていますし、「タント」だって260mmのスライドが左右独立で可能となっているのですから、この車も独立スライドにしてほしかったと思います。 広さに関しても、2070mmの室内長は「パレット」より15mm短く、現実的には差が感じられないにしても、ちょっと気になります。 しかし、頭上空間に関してはさすがに1385mmを実現しているだけあって、明らかに余裕があります。 前後方向の余裕は「タント」のほうがありますが、頭上空間に関してはこの車のほうが余裕がありますので、結果的に「タント」並みの広さに感じます。
この車のリヤシートが贅沢であるもうひとつの理由が、このリヤセンターアームレストの存在です。 実は、今までにもリヤセンターアームレストを装備した軽自動車は複数あります。 しかし、空間も座り心地も質感もここまでハイレベルにした上でアームレストまで装備したという点が贅沢なのです。 リヤアームレストは、幅はフロントより狭いものの、高さや長さはフロントと同等のものとなっていますので、一人で使う分には本当にくつろげます。 このシートに身をゆだねてインテリアを眺めていると、この上なく贅沢な気分が味わえますよ。 ただ、ちょっと欲を言えば、アームレストの角度が変えられればさらに良かったですね。 アームレストは右側のシートバックに取り付けられていて、右側のシートバックのリクライニングによって角度が変わってしまいますので、左側に座っているときはちょっと不便です。 また、ドアアームレストとの高さも合っていないので、そこが解消されれば完璧なエグゼクティブシートになると思います(贅沢すぎますけど・・・)。
フロアコンソールの後端にある後席用のフロアイルミネーションも、独特の雰囲気を演出しています。 夜間のドライブでは、ルーフのイルミネーションとともに足元をブルーに照らしてくれるのです。 ここまで後席のことを考えた軽自動車は、今までありませんでしたね。
ドアトリムは、肘が当たる部分を大きくえぐっているため、ドアアームレストの幅が広く使えて快適です。 「ムーヴ」と比べると、有効幅が倍くらいある感じで、ドアの厚みがあるように見えるデザインなので安心感があります。 質感については、2トーンカラーが上質な雰囲気を演出していますが、全面プラスチックであることも影響して、高級感は今一歩というところです。 カスタム系にはメッキモールが採用されているのでかなり高級感がアップするのですが、残念ながらノーマル系には採用されていないので、何か物足りない感じがします。 スズキは積極的かつ効果的にクロスを使って上質さを持たせていますが、ダイハツはドアトリムに関しては全体的にやや質感が劣る印象があります。 しかし、使い勝手の面では、「タント」などと同様にドアスピーカーの位置を高くすることでドアポケットを大型化し、軽自動車では珍しくフロントドアにドリンクホルダーを設置していますので、その点は評価できますね。
リヤドアトリムも、フロントと同等の使い勝手と質感を確保しています。 こちらもスピーカーのスペースをリヤピラーに移すことでドアポケットの大型化を図っていますし、パワーウインドウスイッチもドアアームレスト上の使いやすい位置に設置しています。 後席のパワーウインドウスイッチもイルミネーション付きとなっているので、夜間でも探さずに済みますし、プレミアム感もありますよ。 ドアアームレストは、幅はそれなりに確保できていますが、問題なのは位置です。 ドアアームレストの高さが低く、また、シートを後ろにスライドさせると離れすぎて使えなくなります。 せっかくセンターアームレストを装備しているのですから、ドア側にもきちんと腕を置くスペースを確保して欲しかったというのは、贅沢すぎる要求でしょうか?
2mを超える室内長ですから、当然フルフラットもOKです。 「タント」が助手席の前倒しを可能としたことでフルフラット不可となっているので、フルフラットが必須という人は「タントエグゼ」を選べばいいですね。 しかし、4座セパレートシートを採用していることや特殊なリヤシートの座面形状などによって、フラット感はイマイチで、フロントのシートバックとリヤの座面とのつながりもよくありません。 フルフラットは一応可能なのですが、この車のシートは座り心地優先となっていることを覚悟しておきましょう。
次は、荷室やその他の装備について見ていきます。
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