(2008/9〜現行モデル) 取材日:2008/9/25
SUZUKI ワゴンR
[外観デザイン 外装パーツ インパネ周り シート周り 荷室&試乗レポ]
スズキを代表する車種として、登場以来ずっと高い人気を保っている「ワゴンR」が、フルモデルチェンジして4代目になりました。 「ワゴンR」といえば、愛嬌のあるスタイルと使い勝手のよさが特徴で、ずっとキープコンセプトでモデルチェンジしてきましたが、今回は思い切ったイメージチェンジを実施し、グッとスタイリッシュになっての登場です。 メーカーも新たな挑戦と位置づけているこの新型「ワゴンR」、いったいどこが変わってどこが変わっていないのか、早速細かくチェックしていきましょう。 まだ「スティングレー」の展示車がなかったので、ひとまずノーマル系の「ワゴンR」について先に紹介します。 なお、グレードや年式によって装備内容等は異なりますので、購入を検討される際は、必ずカタログ等でご確認ください。
縦長のヘッドライトにシンプルなフロントグリルとバンパーのデザイン。 初代から続く「ワゴンR」のその特徴は、新型にもしっかり受け継がれています。 横まで大きく回りこんだヘッドライトなどは、いわゆる最近のスズキ顔なんですが、それでも一目で「ワゴンR」とわかるデザインにまとめているのはさすがです。 実際、パッと見では新型と気付かない人も多いようで、発売日にすぐに試乗したのですが、他の新型車のようにジロジロ見られることはありませんでした。 その、誰が見ても自然に受け入れられるデザインこそ、「ワゴンR」の人気の秘密でもあり、そのルールは新型でもしっかり守られています。 しかし、実際に目の前にすると、歴代の「ワゴンR」とはかなり雰囲気が違い、ずいぶんスタイリッシュになっています。 細かく見ていくと、旧型と似ているところはほとんどないのです。 それなのに、全体の雰囲気は「ワゴンR」そのもの。 この巧みなデザインこそ、スズキの一番の武器なのです。 フロントマスクで具体的に新しいのは、ヘッドライトの斜めのラインが強調されてシャープな印象になったことと、フロントグリルからバンパーまでが一体化され凹凸が極力押さえられていることです。 これによって、先代までの特徴だったどこか愛嬌のあるフロントマスクから一変して洗練された上級感のある印象のフロントマスクになっています。 また、「クラウンアスリート」のような凝った立体造形デザインのフロントグリルも、今までの軽になかった高級感を出しています。 さらに、ボンネットとフェンダーの切れ目を横に回したことで、非常に滑らかで幅広く見えるボンネット周りを実現。 このような細かなこだわりの積み重ねにより、非常に高品位で洗練されたイメージのフロントマスクになっているのです。 写真の車は、エアロパーツやメッキの縁取りが入ったフロントグリルなどが装備される「FXリミテッド」というグレードで、ひときわ上級感があります。
フロントから見ると、左右の絞込みが大きくなったこともあって、旧型より少し小さくなったように見えます。 実は、本当に小さくなっています。 「全高は1660mmで、旧型より15mm大きくなっているのに、どういうこと?」という声が聞こえてきそうですが、フロントは小さくなって、リヤは大きくなっているということなのです。 これこそが新型のデザインの一番の特徴で、フロントウインドウの傾斜が強くなり、ルーフも傾斜して前が下がっているので、頭が小さくお尻が大きいのです。 四角いデザインの車でルーフがこれほど前に傾斜している車というのは普通車を含めてもあまり例がなく、今までにない新鮮なかっこよさが感じられます。 また、サイドパネルも張りのある滑らかなデザインになり、質感が大幅にアップしています。 モデルチェンジのサイクルが「ムーヴ」よりも長く、デザインもあまり変わらないということで、どこか保守的なイメージのあった「ワゴンR」ですが、今回は思い切って勝負に出たという感じがしますね。 メーカー別の販売台数トップをダイハツに奪われたことで、いよいよスズキが本気モードに突入したということがはっきり伝わってくるデザインです。
横から見ると、新型の特徴がはっきりわかります。 ルーフがかなりの角度で傾斜し、ウエストラインもそれと平行して後ろ上がりになっています。 また、ガラスの上下が狭くなり、ボディの厚みが増しているので、どっしりとした重量感のあるサイドビューになっています。 歴代「ワゴンR」の特徴であった、段差の大きな分厚く目立つ窓枠と、大きなリヤクォーターウインドウも、新型では思い切って廃止。 そのおかげでドアの大型化が可能となり、開口幅の拡大によって乗降性が大幅に向上しています。 センターピラーをブラックアウトすることでルーフとウエストラインの傾斜も強調され、まったく新しいサイドビューを完成させています。 ホイールベースは、旧型より40mm長い2400mmで、「パレット」と同じ。 それでも最近の軽の中では短いほうに入りますが、40mmの延長はドアの大型化にも貢献していますし、走りの安定感は他の車に負けていません。 ただ、ホイールベースの延長によって、最小回転半径が4.2〜4.4mと、旧型よりやや大きくなってしまったのは少し残念です。
斜め後ろから見ると、ずいぶん大きいです。 全高は、「ムーヴ」よりも30mm高く、トールワゴンの中では平均値くらいの高さです。 リヤ周りは旧型のイメージにかなり近いですが、リヤコンビランプを横に大きく回りこませ、リヤウインドウもラウンドさせるなど、全体的に洗練されたイメージになっています。 新型「ワゴンR」には、上級モデルの「スティングレー」も用意されていますが、それは別に紹介しますので、ここではノーマルシリーズに絞って紹介していきます。 グレード構成は、商用グレードに近い廉価グレード「FA」、実質的なベースグレードとなる「FX」、エアロパーツやアルミホイールなどが付く上級グレードの「FXリミテッド」、ターボエンジン搭載の「FTリミテッド」という4種類になっています。 「FTリミテッド」は、約135万円と価格が高くなっていますが、従来の60馬力のMターボではなく、64馬力ターボが搭載されています。 つまり、無理に上級モデルの「スティングレー」にしなくても、64馬力ターボに乗れるようになったということで、こういった選択の幅の広さも「ワゴンR」の人気の秘密です。 ボディカラーは、新色のブリーズブルーメタリックやブルームピンクメタリックを含む全9色で、淡いメタリック色が中心ですが、定番の白、真珠、黒なども用意されています。
リヤビューは旧型と変わっていないように見えますが、旧型よりも少し幅広に見えます。 もちろん、実際の全幅は変わっていないので、デザインでそう見えるだけです。 バックドアの形状なども工夫し、荷室開口幅は「パレット」より70mm広い1055mmとなっています。 しかし、開口高は915mmとそれほど大きくないし、開口地上高も660mmと高めなので、トータルで考えれば積載性はトールワゴンの中では平均的。 どこをとっても大きなマイナスポイントがなく、平均点以上の性能を持っているところが、まさに「ワゴンR」です。
では、エクステリアのパーツや装備をもう少し細かく見てみます。
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